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この記事では、実家を片付け、売る・貸す・解体するなどして手放すまでの一連の作業を「実家じまい」と呼びます。進める順番の目安は、相続人での話し合い、相続登記、家の中の片付け、解体するかの判断、売却、翌年の確定申告です。相続した不動産を売る前には相続登記が必要で、相続を知った日から3年以内の申請が義務になっています(法務省)。費用のうち、公的資料で数字が取れるのは、相続登記の登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)と、仲介手数料の上限(国土交通省)です。片付けと解体の相場は、確認できた範囲では公的機関が公表しておらず、見積もりで決まります。費用を払うのは実家の所有者で、遺産分割の前は相続人全員が持分に応じて負担します(民法第253条)。この記事では、自分の場合、工程ごとの費用、相続した実家の売り方、費用を払う人、補助金、親が存命のうちの準備、最初に済ませることを、法令と公式ページで整理します。
自分に近い行から見てください。
状況ごとの、最初にすること
| あなたの状況 | 最初にすること |
|---|---|
| 親が亡くなって、実家を相続した | 相続人で実家の行き先(売る・貸す・残す)を話し合います。相続登記は、相続を知った日から3年以内の申請が義務です(相続登記の3年の期限) |
| 兄弟など、相続人が複数いる | 遺産分割が済むまでは実家は全員の共有で、解体や売却は全員の意思がそろわないと進みません(兄弟で相続した実家を売るには) |
| 実家が遠方にある | 片付け・査定・解体の見積もりを、現地に行かずに頼めるかを、頼む先ごとに確かめます。自治体の補助金は、窓口や申請の方法が市区町村で違います |
| 相続放棄を考えている | 家の中の物を処分する前に、相続放棄ができなくなるおそれがないかを確かめます(実家を片付ける前に確かめること、相続放棄しても空き家の解体費用は払うか) |
| 親がまだ存命で、施設に入った | 実家は親の名義のままです。親が元気なうちにできる準備は、親が存命のうちの準備の節にまとめました |
2と3の順番は、決まっていません。相続放棄をするかもしれないうちは、片付けを後にして、先に相続人と放棄の判断を済ませます。
工程ごとの費用と、公的資料で取れる数字
| 工程 | かかるお金 | 公的資料で取れる数字 |
|---|---|---|
| 家の中の片付け | 業者に頼む費用、自治体の処分手数料など | 公的機関が公表する相場は、確認できた範囲にありません。見積もりで決まります(実家の片付けを業者に頼む費用) |
| 解体 | 解体工事費、付帯工事、建物の滅失登記など | 公的機関が公表する市場の相場は確認できず、補助金の算定単価だけが載っています(実家の解体費用の記事) |
| 相続登記 | 登録免許税、書類の実費、司法書士に頼む場合は報酬 | 登録免許税は、土地も建物も、相続による所有権の移転は不動産の価額の1,000分の4です(国税庁 No.7191) |
| 売却(仲介) | 仲介手数料、売買契約書の印紙税 | 仲介手数料には、国の告示で上限があります(国土交通省)。印紙税で売主が負担したものは、譲渡費用になります(国税庁 No.3255) |
| 売却益への税金 | 譲渡所得の所得税・住民税 | 相続した実家を売却すると税金はいくらかで、計算式と税率を整理しています |
登録免許税と仲介手数料の上限は、計算で出せます。次の数字は、説明のための仮定です。
登録免許税と仲介手数料の上限の例(仮定)
| 項目 | 前提 | 金額 |
|---|---|---|
| 相続登記の登録免許税 | 土地800万円、建物200万円(固定資産税評価額の合計1,000万円) | 1,000万円×0.4%=4万円 |
| 仲介手数料の上限(原則) | 売却価格1,000万円 | 200万円以下の部分5.5%+200万円超400万円以下の部分4.4%+400万円超の部分3.3%(税込)=39万6,000円 |
| 仲介手数料の上限(800万円以下の特例) | 売却価格300万円 | 原則の上限は15万4,000円。低廉な空家等の特例で、33万円(30万円の1.1倍)まで受け取れる場合があります |
登録免許税の課税標準は、原則として固定資産課税台帳の価格です。特例は、媒介契約の前に報酬額を依頼者に説明し、合意する必要があります。
国土交通省の資料によると、物件価格が800万円以下の「低廉な空家等」は、媒介に要する費用を勘案して、原則の上限を超えて報酬を受け取れる場合があります(令和6年7月1日施行)。売却価格が低い実家ほど、仲介手数料の上限が相対的に高くなりえます。媒介契約を結ぶ前に、報酬額の説明を受けます。
相続登記を司法書士に頼む費用と、自分でやる費用は、相続登記を司法書士に頼む費用と相続登記を自分でやった費用で整理しています。
相続した実家を売る方法は、大きく2つあります。業者が買い手を探す仲介と、業者が直接買い取る買取です。仲介手数料の上限は前の節のとおりで、買取は業者が直接買い取るため、仲介手数料がかからないと書く業者もあります。査定の取り方の違いは、相続した不動産の査定の方法で整理しています。
売る前に、実家の状態で確かめること
| 確かめること | 内容 | 詳しい記事 |
|---|---|---|
| 名義 | 相続登記が済んでいないと売れません。相続を知った日から3年以内の申請が義務で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になりえます | 相続登記をしていない実家は売れるか |
| 建物を残すか、解体するか | 解体費用は、売るために直接かかった費用として、確定申告で譲渡費用になります(国税庁 No.3255)。更地にすると、固定資産税の住宅用地の特例が外れます | 解体費用と確定申告 |
| 売る期限 | 3,000万円特別控除は、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があります(国税庁 No.3306) | 3,000万円特別控除の売却期限 |
| 相続人の人数 | 特例の対象になる家屋と敷地を取得した相続人が3人以上のときは、控除の上限が2,000万円です(令和6年1月1日以後の譲渡) | 相続人の数で変わる上限 |
| 共有名義 | 共有のまま売るには、共有者全員が売主として契約します | 兄弟で相続した実家を売るには |
片付けや解体を頼んで費用を払うのは、実家の所有者です。相続人が数人いて遺産分割が済んでいないときは、実家を含む相続財産は全員の共有になります(民法第898条)。共有物の管理の費用は、各共有者が持分に応じて負担します(第253条第1項)。
相続のどの段階かで変わる、費用の払い方
| 段階 | 費用の払い方 |
|---|---|
| 遺産分割の前 | 相続人全員が持分に応じて分担します。誰が立て替えて、後でどう精算するかを、書面に残します |
| 遺産分割で、1人が実家を取得した | 取得した人が払います。他の遺産とのバランスを見て、費用を見込んで分け方を決める方法もあります(代償分割) |
| 実家を売って、代金を分ける | 売却代金から、片付け・解体・仲介手数料を先に差し引いて分けるかを、遺産分割協議書に書いておきます(遺産分割協議書の書き方) |
| 全員が相続放棄をした | 放棄した人が、実家の管理や解体の費用を負担するかは、相続放棄しても空き家の解体費用は払うかで整理しています |
税金の面では、仲介手数料と、売るために建物を取り壊した費用は、譲渡費用になります。家の中の片付けの費用は、国税庁の譲渡費用の主な例には挙がっていません。確定申告で差し引けるかは、税務署か税理士に確かめてください(国税庁 No.3255)。
家の中の家財道具の処分に出る補助金を、自治体の公式ページで2件確認しました。2件とも、空き家を売る・貸すために出す場合が対象です。
確認した家財処分の補助金
| 自治体 | 対象 | 補助の額 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 宇陀市(奈良県) | 空き家の所有者またはその相続人。空き家情報バンクに登録する空き家、または市内の宅地建物取引業者と媒介契約を結ぶ(結ぶ予定の)空き家 | 対象経費の2分の1、上限10万円 | 申請の受付は予算の範囲内で先着順です。必要書類をすべて提出した時点で受け付けられます(2025年4月1日更新) |
| たつの市(兵庫県) | 空き家バンクに登録し、売買契約または賃貸借契約が成立した空き家の所有者または購入者等 | 対象経費の2分の1以内、上限10万円 | 交付決定の前に片付けを行った場合は、補助の対象になりません。ハウスクリーニングは対象外です(2026年1月27日更新) |
2つの市の制度です。あなたの市区町村の制度とは別なので、額や条件は目安になりません。
解体の補助金は、国土交通省の空き家対策総合支援事業を土台に、市区町村が設けています。確認した3市の内容は、実家の解体費用は誰が払うかにあります。
あなたの市区町村の制度は、公式サイトで「市区町村名 空き家 家財 補助」「市区町村名 空き家 解体 補助」などの語で探します。どの補助金も、片付けや解体の契約より前の申請が条件になりやすいので、頼む前に窓口へ確かめます。
国土交通省の令和6年空き家所有者実態調査によると、空き家の取得方法は相続が57.9%です。相続した空き家のうち、相続前に何らかの対策をしていたのは23.0%で、対策の内容は「被相続人との話し合い」が16.7%で最多でした。相続前に対策をしていない空き家は、対策をした空き家より、建物の活用や解体の意向がなく「空き家として所有していた」割合が約1.5倍(45.1%と29.4%)でした。
親が存命のときに、確かめられること
| 確かめること | 内容 |
|---|---|
| 親と話し合う | 実家を将来どうしたいか、誰が引き継ぐか、家の中の物をどうするかを聞いておきます |
| 親本人が売る場合の特例 | 以前に住んでいた家屋は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば、居住用財産の3,000万円特別控除の対象になります(国税庁 No.3302)。親子や夫婦など特別の関係がある人に売ったものは対象外です |
| 親が認知症になると | 親の判断能力が下がると、実家の売却や契約が進めにくくなります(親が認知症になる前に実家を売れるようにするには) |
| 生前に売るか、死後に売るか | 税金の違いを比べる方法は、不動産を生前に売るか死後に売るかにあります |
片付けと解体は、公的機関が公表している市場の相場を確認できていません。見積もりで決まります。公的資料で数字が取れるのは、相続登記の登録免許税(不動産の価額の1,000分の4)と、仲介手数料の上限(国土交通省)です。
実家の所有者が払います。遺産分割の前は、相続人全員が持分に応じて負担します(民法第253条第1項)。売って代金を分けるときは、費用を売却代金から差し引くかを、遺産分割協議書に書いておきます。
確認した宇陀市とたつの市のうち、たつの市は、交付決定の前に片付けを行った場合は補助の対象にならないと書いています。宇陀市も、事前相談のあとに書類を出して交付決定を受け、申請どおりに事業を行う流れです。頼む前に窓口へ確かめます。
建物を残したまま売る方法もあります。解体するかどうかで、税金や固定資産税の扱いが変わります(空き家の解体費用と確定申告の記事)。
実家を売る前に、相続税がかかるかどうかは計算機で確かめられます
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