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相続した実家の行き先で後悔しやすいのは、期限のある制度を逃すことと、決めないまま毎年の負担が続くことです。売る場合は、3,000万円特別控除を、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売らないと使えません(国税庁 No.3306)。貸した実家は、この特例の対象になりません。残す場合は、毎年1月1日の所有者に固定資産税がかかり、空家法は所有者等に適切な管理に努めることを求めています。国土交通省の令和6年空き家所有者実態調査では、相続前に対策をしていない空き家は、対策をした空き家より「空き家として所有していた」割合が約1.5倍でした。相続人が複数いるときは、遺産分割の協議で決め、まとまらなければ家庭裁判所に請求できます(民法第907条)。この記事では、3つの選び方の違い、自分の場合、売るとき・貸すとき・残すときの確かめること、相続人での決め方を、法令と公式資料で整理します。
売る・貸す・残すの比較
| 選び方 | 毎年かかるもの・入るもの | 期限・特例 | 先に確かめること |
|---|---|---|---|
| 売る | 売るまでは、固定資産税などがかかります | 3,000万円特別控除は、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があります。制度は令和9年12月31日までの譲渡が対象です(国税庁 No.3306) | 家の建築年、耐震、売り方、相続人の数(次の節以降) |
| 貸す | 賃料が入ります。不動産の貸付けによる所得は、不動産所得として申告します(国税庁 No.1370) | 相続の時から譲渡の時まで貸付けの用に供されていたことがないことが、3,000万円特別控除の要件です。貸したあとに売ると、この特例の対象外になります | 借り手の見込み、貸す前の修繕、共有のときの決め方 |
| 残す | 固定資産税がかかり続けます。建物の管理は所有者の責任です | 相続登記は、相続を知った日から3年以内の申請が義務です(法務省) | 管理の手間、勧告を受けたときの固定資産税、相続土地の国庫帰属 |
3つのうち、期限があるのは売るだけです。期限から逆算して売るかどうかを先に決めると、貸す・残すを選ぶときも、特例を逃したことを承知して選べます。
状況ごとの、起きやすい失敗と、先にすること
| あなたの状況 | 起きやすい失敗 | 先にすること |
|---|---|---|
| 親が亡くなって、実家を相続した | 決めないまま時間が過ぎ、3,000万円特別控除の売却期限(3年目の年末)が近づく | 亡くなった日から数えて、期限を日付で出します(3,000万円特別控除の売却期限) |
| 親が施設に入った | 老人ホーム等に入所していた場合は、特例の要件が別に定められています(国税庁 No.3306 に記載のコード3307)。要件を知らずに貸したり、他の人を住まわせたりする | 貸す・住まわせる前に、特例の要件を国税庁のページで確かめます |
| 実家が遠方にある | 管理に通えず、放置のまま固定資産税だけがかかる | 管理は所有者の責任で、空家法は適切な管理に努めることを求めています(第5条)。売る・貸す・残すのどれかを、期限をつけて決めます |
| 兄弟で共有している | 1人が反対して、解体も売却も貸すことも進まない | 遺産分割の協議で、実家の行き先を決めます(相続人で決めるときの進め方) |
| 建物が古く、傷んでいる | 解体するか、そのまま売るかで迷ったまま、固定資産税を払い続ける | 解体費用と確定申告、更地で売るか現状で売るかで比べます |
令和6年空き家所有者実態調査では、使用目的のない空き家を持つ世帯の今後の利用意向は、「空き家として所有しておく(物置含む)」が40.6%、「除却する」が19.2%、「売却する」が18.3%でした。
3,000万円特別控除は、相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または敷地等を売って、一定の要件に当てはまるときに、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できる特例です(国税庁 No.3306)。
3,000万円特別控除の主な要件
| 確かめること | 内容 |
|---|---|
| 家屋 | 昭和56年5月31日以前に建築されたこと。区分所有建物登記がされている建物でないこと。相続の開始の直前に、被相続人以外に居住していた人がいなかったこと |
| 売り方 | 家屋を耐震基準に適合させて売るか、家屋を全部取り壊したあとの敷地を売るか、売ってから翌年2月15日までに耐震化・全部の取壊し等を行います(令和6年1月1日以後の譲渡) |
| 使い方 | 相続の時から譲渡の時まで、事業の用・貸付けの用・居住の用に供されていたことがないこと |
| 期限 | 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること |
| 売却代金 | 1億円以下であること |
| 相続人の数 | 家屋と敷地等を取得した相続人が3人以上のときは、上限が2,000万円 |
| 売る相手 | 親子や夫婦など、特別の関係がある人に売ったものでないこと |
1つでも当てはまらないと使えません。家の建築年や耐震基準は、売る前に登記事項証明書や自治体の窓口で確かめられます。詳しい要件は3,000万円特別控除は使えるか、解体して売る場合は空き家を解体して売ると3,000万円特別控除は使えるかで整理しています。
売る方法の比べ方は相続した不動産の査定の方法、手順は相続した空き家を売る流れにあります。
実家を貸して得る賃料は、不動産所得として申告します。不動産所得は、総収入金額から必要経費を差し引いて計算します(国税庁 No.1370)。
貸す前に確かめること
| 確かめること | 内容 |
|---|---|
| 特例への影響 | 3,000万円特別控除は、相続の時から譲渡の時まで貸付けの用に供されていたことがないことが要件なので、貸した実家を後で売っても使えません(国税庁 No.3306) |
| 共有のとき | 共有物に、建物の賃借権等で3年を超えないものを設定することは、各共有者の持分の価格の過半数で決められます(民法第252条第1項・第4項)。3年を超える場合は、この規定の対象になりません |
| 貸す前の準備 | 貸すには、家の中の片付けや、傷んだ部分の修繕が要るかを見積もります(実家の片付けを業者に頼む費用) |
| 貸す期間の見通し | 貸したあとで売る可能性があるなら、特例が使えなくなることを、相続人全員で共有しておきます |
固定資産税は、毎年1月1日の所有者に課されます。登記簿上の所有者が1月1日より前に亡くなっているときは、その日に現に所有している者に課されます(地方税法第343条第2項・第359条)。
残すときに確かめること
| 確かめること | 内容 |
|---|---|
| 管理 | 空家法は、空家等の所有者等に、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切に管理する努力を求めています(第5条) |
| 放置したとき | 市町村長は、管理不全空家等や特定空家等の所有者に、指導や勧告ができます。勧告を受けた管理不全空家等と特定空家等の敷地は、固定資産税の住宅用地の特例から除かれます(空家法第13条・第22条、地方税法第349条の3の2。解体費用と確定申告の記事) |
| 相続登記 | 相続を知った日から3年以内の申請が義務で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になりえます(法務省) |
| 土地だけ手放したいとき | 相続土地国庫帰属制度は、建物の存する土地は承認申請ができません。要件は相続土地国庫帰属制度に向かない土地はにあります |
遺産の分割は、相続人全員の協議でいつでもできます。協議が調わないときは、各相続人が家庭裁判所に分割を請求できます(民法第907条)。
相続人での決め方
| 決め方 | 内容 | 根拠・詳しい記事 |
|---|---|---|
| 希望を並べる | 売る・貸す・残すの希望と、費用を払える額を、相続人全員が出します | ― |
| 遺産分割協議で決める | 実家の行き先と、片付け・解体・登記の費用の払い方を、協議書に書きます | 民法第907条第1項、遺産分割協議書の書き方 |
| 1人が取得する | 取得する人が他の相続人に代償金を払う方法があります | 代償分割とは |
| 売って代金を分ける | 全員が売主として契約し、代金から費用を引いて分けます | 兄弟で相続した実家を売るには |
| 協議が調わない | 家庭裁判所に遺産分割を請求し、調停・審判で決めます | 民法第907条第2項 |
| 決まるまで共有のまま持つ | 共有物の変更(解体など)は他の共有者の同意が要り、管理は持分の価格の過半数で決めます。管理の費用は持分に応じて負担します | 民法第251条第1項・第252条第1項・第253条第1項 |
共有のまま持つ間も、固定資産税や管理の費用は続きます。決めるまでの費用を誰が立て替えるかを、書面に残しておきます。弁護士や司法書士、税理士に相談する前に、希望と数字を並べておくと、話が早く進みます。
期限があるのは売るです。3,000万円特別控除は、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があります(国税庁 No.3306)。貸す・残すには、この特例のような売却の期限はありませんが、相続登記は相続を知った日から3年以内の申請が義務です。
相続の時から譲渡の時まで貸付けの用に供されていたことがないことが要件なので、貸した実家は対象になりません(国税庁 No.3306)。
遺産分割の協議がまとまらないときは、各相続人が家庭裁判所に分割を請求できます(民法第907条第2項)。進め方は兄弟で相続した実家を売るにはにあります。
固定資産税がかかり続けます。空家法は所有者等に適切な管理に努めることを求めており、管理不全空家等や特定空家等になると、指導や勧告を受けることがあります(第5条・第13条・第22条)。
実家を売る前に、相続税がかかるかどうかは計算機で確かめられます
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