相続税の申告期限は「死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内」です
不動産の売却 2026年10月28日 読了 約9分

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空き家の解体費用は取得費?譲渡費用?確定申告の扱いと、更地で売るか現状で売るかの違い

空き家を売るために建物を取り壊したときの取壊し費用と、その建物の損失額は、確定申告で譲渡費用になり、売った金額から差し引けます(国税庁 No.3255)。取得費ではありません。譲渡費用は「売るために直接かかった費用」とされているため、売らずに持ち続ける場合の管理の費用は含まれません。一方、更地にすると、取り壊したあとに迎える1月1日に家屋がなければ、固定資産税の住宅用地の特例(課税標準が価格の6分の1または3分の1)が使えなくなります(地方税法第349条の3の2・第359条)。この記事では、解体費用の確定申告での扱い、更地にして売る場合と建物を残して売る場合の違い、固定資産税の変化を、国税庁と e-Gov の原文で整理します。

1. 解体費用は、取得費ですか、譲渡費用ですか

譲渡所得は、土地や建物を売った金額から、取得費と譲渡費用を差し引いて計算します(国税庁 No.3202)。解体費用は、このうち譲渡費用に入ります。

取得費と譲渡費用の違い(国税庁 No.3252・No.3255)

区分内容解体費用との関係
取得費売った土地や建物の購入代金・建築代金・購入手数料のほか、設備費や改良費など。相続で取得したときの登録免許税や登記費用も含みます建物付きの土地を購入し、おおむね1年以内に建物を取り壊すなど、当初から土地の利用が目的と認められる場合の、建物の購入代金や取壊しの費用が含まれます。これは購入した場合の扱いなので、相続した実家の取り壊しには当たりません
譲渡費用土地や建物を売るために直接かかった費用。仲介手数料、売主負担の印紙税、貸家を売るときの借家人への立退料など土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの、取壊し費用とその建物の損失額が含まれます
どちらでもない修繕費や固定資産税など、その資産の維持や管理のためにかかった費用売るためでなく、管理のために取り壊した費用は、譲渡費用になりません

譲渡費用に当たるかどうかは、「売るために直接かかった費用か」で決まります。迷うときは税務署か税理士に確かめてください。

2. 自分の場合、解体費用はどう扱いますか

自分に近い行から見てください。

状況ごとの扱い

あなたの状況解体費用の扱い
売ることが決まっていて、更地にして売る売るために直接かかった費用として、譲渡費用に入れます。請求書や領収書は、売却後の申告まで取っておきます
売るかどうか決めていない譲渡費用は、売ったときの譲渡所得を計算するための項目です。売っていない年の確定申告で引く項目ではありません。取り壊す前に、売る方針を決めておきます
3,000万円特別控除を使いたい相続した家は、昭和56年5月31日以前に建築されたことなどが要件で、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、かつ令和9年12月31日までに売る必要があります(国税庁 No.3306)。取り壊してから売る場合の順番は空き家を解体して売る場合の記事、要件は3,000万円特別控除は使えるかにあります
昭和57年以降に建てた実家3,000万円特別控除の対象になる被相続人居住用家屋は、昭和56年5月31日以前の建築が要件です。対象外でも、売るために取り壊した費用は譲渡費用になります
相続人が複数相続人が3人以上のときの控除は、2,000万円までです(国税庁 No.3306の注)。解体費用を誰がいくら払ったかの記録を揃え、売却代金の分け方と合わせて決めます(兄弟で相続した実家を売るには)
貸す予定3,000万円特別控除は、相続の時から譲渡の時まで貸付けの用に供されていないことが要件です。貸した収入の税金は、売る場合と別の計算になるため、この記事では扱いません

3. 譲渡費用に入れると、税金はいくら変わりますか

譲渡所得の金額は、売った金額から取得費と譲渡費用を引いて出し、特別控除があればさらに引きます(国税庁 No.3208)。解体費用を譲渡費用に入れると、税金がかかる所得が、その分だけ減ります。

売却1,800万円、解体費用150万円の例(仮定)

項目解体費用を譲渡費用に入れる入れ忘れた場合
売った金額1,800万円1,800万円
取得費(概算取得費5%)90万円90万円
譲渡費用216万円(仲介手数料など66万円+解体費用150万円)66万円(仲介手数料など)
譲渡所得1,494万円1,644万円
税額(所有期間5年超で20.315%)約303万円約334万円

数字は説明のための仮定です。取得費が分からないとき、または実際の取得費が売った金額の5%より少ないときは、5%を取得費にできます(国税庁 No.3258)。相続した家の所有期間は、被相続人が取得した日から数えます(国税庁 No.3202)。税率は、所得税15%、復興特別所得税(所得税額の2.1%)、住民税5%を合わせた約20.315%です(国税庁 No.3208)。3,000万円特別控除を使うときは、この控除後の金額に税率を掛けるため、譲渡益が控除の範囲に収まれば税額は変わりません。

この例では、解体費用150万円を譲渡費用に入れたかどうかで、税額が約30万円変わります。申告のしかたは相続した実家を売ったら確定申告は必要かで、税額の全体は相続した実家を売却すると税金はいくらかで確かめられます。

4. 更地にして売るのと、建物を残して売るのでは、何が違いますか

更地にして売る場合と、建物を残して売る場合

比べる点更地にして売る建物を残して売る
解体費用売主が払います。譲渡費用として、売った金額から引けます(国税庁 No.3255)売主は解体費用を先に払いません。買主が取り壊す場合の費用の負担は、売買契約で決めます
3,000万円特別控除家屋の全部を取り壊したあとに敷地を売る方法です。取壊しの時から売るまで敷地を建物や構築物の敷地に使わないことなどが要ります(国税庁 No.3306)耐震基準を満たす家屋を売るか、売ったあと翌年2月15日までに家屋の全部を取り壊します(令和6年1月1日以後の譲渡。国税庁 No.3306)
固定資産税取り壊したあとに迎える1月1日から、住宅用地の特例が使えなくなります家屋が建っている間は、住宅用地の特例の対象になる土地であれば続きます
売れなかったとき取り壊しは元に戻せず、更地のまま持つ間の固定資産税が上がります建物を残したまま、売り方や売る相手を変えられます
再建築不可の土地更地にしても、建築基準法の接道義務を満たさなければ建て替えはできません(再建築不可の実家)現状のまま売る方法が中心になります

どちらが有利かは、土地の条件・価格・買主で変わります。この表は税金の違いだけを整理したものです。

5. 更地にすると、固定資産税はどう変わりますか

固定資産税の賦課期日は1月1日で、その日の所有者に課されます(地方税法第359条)。登記簿上の所有者が賦課期日前に死亡しているときは、その日に現に所有している者に課されます(第343条第2項)。専ら人の居住の用に供する家屋などの敷地で政令で定めるものは「住宅用地」とされ、課税標準は価格の3分の1です。そのうち住宅用地で200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地)は、6分の1です(第349条の3の2第1項・第2項)。都市計画税も、住宅用地は3分の2、小規模住宅用地は3分の1になります(第702条の3)。家屋を取り壊して更地になると、住宅用地ではなくなります。

土地の固定資産税評価額1,200万円、200㎡以下の住宅用地の例(仮定)

住宅用地の特例あり更地(特例なし)
課税標準200万円(価格の6分の1)1,200万円
固定資産税(標準税率1.4%)2万8,000円16万8,000円

標準税率は1.4%です(第350条第1項)。実際の税額は、市区町村の税率や、税額を段階的に調整する仕組みで変わります。取り壊す時期と課税の切り替わりは、市区町村の資産税の担当に確かめてください。

放置して勧告を受けても、特例は外れる:空家法による勧告を受けた管理不全空家等と特定空家等の敷地は、住宅用地から除かれます(地方税法第349条の3の2第1項、空家法第13条第2項・第22条第2項)。解体しないまま放置した場合も、固定資産税が上がることがあります。

空き家が住宅用地として課税されているかは、納税通知書の課税明細書か、市区町村の資産税の担当で確かめられます。

よくある質問

相続した実家を解体した費用は、取得費に入れられますか?

入れられません。取得費に含まれる取壊しの費用は、建物付きの土地を購入して、おおむね1年以内に建物を取り壊すなど、当初から土地の利用が目的と認められる場合の扱いです(国税庁 No.3252)。売るために取り壊した費用は、譲渡費用です(国税庁 No.3255)。

解体したあと売れなかった場合、解体費用は確定申告で引けますか?

譲渡費用は、土地や建物を売ったときの譲渡所得を計算するための項目です(国税庁 No.3202・No.3255)。売っていない年の確定申告で引く項目ではありません。資産の維持や管理のための費用も、譲渡費用になりません(No.3255)。

解体費用は、3,000万円の特別控除に含まれますか?

含まれません。3,000万円は譲渡所得の金額から差し引く控除額で、取り壊し費用は売った金額から差し引く譲渡費用という別の項目です(国税庁 No.3202・No.3306)。

更地にすると、固定資産税は何倍になりますか?

住宅用地の特例が使えなくなると、条文上の課税標準は、小規模住宅用地では6分の1から価格の全額へ、そのほかの住宅用地では3分の1から全額へ変わります(地方税法第349条の3の2)。実際の税額は、市区町村の税率や調整の仕組みで変わるため、市区町村の資産税の担当に確かめてください。

実家の解体費用の相場や補助金は、どこで分かりますか?

費用の決まり方と補助金は、実家の解体費用は誰が払うかにまとめています。

参考・出典

実家を売る前に、相続税がかかるかどうかは計算機で確かめられます

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