相続人全員が遺産の分け方について合意したら、その内容を書面に残す必要があります。 この書面が「遺産分割協議書」です。銀行の払い戻し・不動産の名義変更・相続税申告のすべてで必要となる重要書類です。 書き方のルールを正確に把握しておきましょう。
遺産分割協議書とは、相続人全員が参加した遺産分割協議の結果——つまり「誰がどの財産を取得するか」——を 書面にまとめたものです。法律上、必ず作成しなければならないという義務はありませんが、 実務上はほぼ必ず必要になります。 国税庁の統計によると、2022年に相続税の申告があった被相続人は約15万人で、課税された割合は死亡者全体の約9.6%です。
遺産分割協議書は公的な書式が決まっているわけではなく、任意の書式で作成できます。 ただし有効な協議書にするためには、一定の要件を満たす必要があります。
遺産分割協議書には以下の事項を記載します。
遺産分割協議書は相続人全員の直筆署名と実印(印鑑登録した印鑑)が必要です。 認印では不可です。
さらに、各相続人の印鑑が実印であることを証明するため、 市区町村が発行する印鑑証明書(発行後3か月以内のもの)を 協議書とセットで提出するのが一般的です。
「本人が本当に合意した」ことを証明するために実印が使われます。 相続人が遠方にいる場合は、郵便でページに割印を押す形で順番に回付する方法(持ち回り)が一般的です。 全員が一堂に集まる必要はありません。
不動産は登記記録(登記事項証明書)の記載通りに記載します。 土地の場合は「所在・地番・地目・地積」、建物の場合は「所在・家屋番号・種類・構造・床面積」を そのまま転記します。
「○○銀行○○支店 普通預金 口座番号○○○○○ 残高全額」のように記載します。 「残高全額」と書けば、死亡後に利息が加算された分も含めて取得できます。
「○○証券会社(○○支店)に保管する被相続人名義の株式および有価証券のすべて」のように 証券会社単位でまとめて記載する方法が一般的です。
記載内容の比較
| 財産種別 | 必要な特定情報 |
|---|---|
| 土地 | 所在・地番・地目・地積 |
| 建物 | 所在・家屋番号・種類・構造・床面積 |
| 預貯金 | 金融機関名・支店名・種別・口座番号 |
| 株式 | 証券会社名・支店名(銘柄まで書くのが望ましい) |
| 自動車 | 車種・登録番号・車台番号 |
遺産分割協議書がないと、以下の手続きができません。
遺産分割協議書は自分で作成することもできますが、 不動産が含まれる場合や相続人が多い場合は専門家への依頼が安心です。
専門家への依頼費用の目安
| 専門家 | 主な業務 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 司法書士 | 不動産登記申請・協議書作成 | 5〜15万円程度 |
| 行政書士 | 協議書作成(登記は不可) | 3〜10万円程度 |
| 弁護士 | 相続人間に争いがある場合 | 20万円〜(事案による) |
| 税理士 | 相続税申告とセット | 申告報酬に含む場合あり |
不動産の相続登記までまとめて依頼する場合は司法書士、 協議書のみ作成する場合は行政書士が費用対効果で選ばれることが多いです。 複数事務所に見積もりを依頼することをお勧めします。
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