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相続を放棄した人は、その相続に関しては初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法第939条)。そのため、放棄した人が空き家の解体を依頼し、費用を負担する立場にはなりません。ただし、放棄の時に空き家を現に占有しているときは、相続人などに引き渡すまで、自己の財産と同じ注意で保存する義務があります(第940条)。また、放棄の前に相続財産を処分すると、単純承認とみなされるため(第921条第1号)、放棄を考えている間は解体しないでください。
放棄した人と相続した人の違い(民法)
| 放棄した人 | 空き家を相続した人 | |
|---|---|---|
| 立場 | 初めから相続人にならなかったとみなされる(第939条) | 相続人として、空き家の所有者になる |
| 解体の依頼 | 依頼する立場にない | 所有者として、解体の依頼と費用の支払いをする |
| 占有している場合 | 相続人などに引き渡すまで、自己の財産と同じ注意で保存する義務(第940条第1項) | ― |
全員が放棄したときの管理は、相続財産の清算人(第940条、第952条第1項)が関わります。
条文は、放棄した人の負担を「引き渡すまでの保存」に限っています。解体のような大きな工事の費用を、放棄した人に負わせる定めは、この条文にはありません。
相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなされます(民法第921条第1号)。単純承認をすると、放棄はできなくなります。放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に申し述べます(第915条第1項・第938条)。
解体費用は、坪数×単価といった計算式で出され、建物の構造(木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造)や築年数で単価が変わると、解体工事比較ナビの公式ページは説明しています。見積もりの内容は業者によって異なるため、複数の業者から見積もりを取って比べることが大切、とも書かれています。費用が決まる項目、補助金、相続人どうしの費用の分け方は、実家の解体費用の記事にまとめています。
解体したあとに売る場合、取壊し費用は譲渡費用になります(国税庁 No.3202)。3,000万円特別控除を使うなら、取り壊す順番に条件があります(解体して売る場合の記事)。
相続人が数人のときは、遺産分割までは全員の共有です(民法第898条)。共有物の管理の費用は、各共有者が持分に応じて支払います(第253条第1項)。解体は共有物に変更を加える行為になり得るため、他の共有者の同意が要ります(第251条第1項)。
誰が依頼して、費用をどう分けるかは、解体の前に相続人全員で合意して書面に残しておきます。進め方は兄弟で売る場合の記事にもあります。
条文では、放棄の時に現に占有している人には保存義務があります(民法第940条)。具体的な責任の範囲は事情で変わるため、弁護士に相談してください。
相続財産を処分すると単純承認とみなされ(民法第921条第1号)、放棄ができなくなるおそれがあります。解体の前に弁護士か司法書士へ相談してください。
見積もりを取るだけなら、通常は相続財産を処分する行為ではないと考えられますが、判断は事情によります。実際の工事の契約は、放棄を考えている間は避けてください。
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