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代償金を一括で払えないときは、協議書で支払期限と回数を決めて分割で払うか、不動産を売って代金を分ける換価分割に切り替えるかを考えます。どちらも、受け取る側を含む相続人全員の合意が要ります(民法第907条第1項)。売ったときは、売った人(換価分割なら各相続人)に譲渡所得の税金が出ます。国税庁の質疑応答事例によると、換価分割の譲渡所得は、換価の時に換価代金の取得割合が決まっているかどうかで、申告する割合が変わります。また、代償分割で取得した不動産を売って代償金を払う場合、払った代償金は、売った不動産の取得費に入りません(所得税基本通達38-7(1))。この記事では、分割払い・換価分割・売るときの税金・話がつかないときの調停を、原文から順に整理します。代償金の相続税の計算は代償分割の相続税は?にあります。
手段は4つあります。どれも、協議で決めるため、受け取る側を含む相続人全員の合意が前提です。
代償金を払えないときの手段
| 手段 | 内容 | 税金で確かめること |
|---|---|---|
| 分割払い | 協議書に、支払期限・回数・各回の額を書いて、代償金を分けて払う | 代償財産の価額は、代償債務の額を基準に決まる(通達11の2-10) |
| 換価分割 | 不動産を売って、売却代金を分ける。代償金の準備は要らない | 売った分の譲渡所得を、所有割合に応じて各相続人が申告する |
| 自分の不動産などで払う | 代償金に代えて、自分の資産を渡す | 渡した人に譲渡所得が出る。代償分割で贈与税・譲渡所得がかかる場合 |
| 取得した不動産を売って払う | 代償分割で取得した不動産を売り、その代金で代償金を払う | 売った人に譲渡所得が出る。払った代償金は取得費に入らない(通達38-7(1)) |
自分に近い行から見てください。右の列は、そのあとに読む節です。
状況ごとの、先に確かめること
| あなたの状況 | 先に確かめること | 次に読む節 |
|---|---|---|
| 数年に分ければ払える | 受け取る側が分割払いに合意するか。協議書に期限と回数を書く | 「分割で払うには」の節 |
| 実家を手放してもよい | 売って分ける換価分割にできるか。売ったときの申告の割合 | 「換価分割」の節 |
| 実家は残したいが、代償金が足りない | 分割払い、または自分の資産で払う場合の税金 | 「分割で払うには」の節、代償金の代わりに不動産を渡すとき |
| 代償分割をしたあとで、取得した実家を売って払う | 売った人の譲渡所得、取得費、特例 | 「売って払うとき」の節 |
| 払い方で話がまとまらない | 家庭裁判所の調停、弁護士への相談 | 「話がまとまらないとき」の節 |
共同相続人は、いつでも、その協議で遺産の全部または一部の分割をすることができます(民法第907条第1項)。代償金の払い方も、この協議で決めます。分割払いにするときは、協議書に次の項目を書いておくと、あとで食い違いにくくなります。
分割払いの協議書に書いておく項目
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 代償金の総額と受け取る人 | 「金○○円」と数字で、受け取る人ごとに書く |
| 支払期限と回数 | 「令和○年から○年間、毎月末日に○万円」など、各回の額と日付が分かる書き方 |
| 支払方法 | 振込先の口座と、振込手数料の負担 |
| 支払いが遅れたとき | 残りをどうするか(例:残額を一括で払う)を決めて書く |
この表は書いておくと確かめやすい項目の例で、法令が定めた書き方ではありません。受け取る側の合意があって、はじめて分割払いにできます。
相続税の計算では、代償財産の価額は代償債務の額を基準にします(通達11の2-10)。通達の文は、支払いが分割か一括かで計算式が変わるとは書いていません。申告期限(死亡を知った日の翌日から10か月)までに協議が成立しないときは、遺産が未分割のまま相続税を申告する方法で確かめます。
換価分割は、遺産を売って、売却代金を相続人で分ける方法です。国税庁の質疑応答事例は、換価分割を「遺産分割の一形態」と説明しています。
3つの分け方の違い
| 分け方 | 内容 | 代償金の準備 |
|---|---|---|
| 現物分割 | 遺産そのものを、相続人で分ける | 要らない |
| 代償分割 | 現物を取得した人が、他の相続人に代償金を払う | 現物を取得した人が用意する |
| 換価分割 | 遺産を売って、売却代金を分ける | 要らない(売却代金を分ける) |
売るために、共同相続人の1人の名義で相続登記をしても、それが単に換価のための便宜で、売却代金が分割の内容どおり実際に分配されるなら、贈与税の課税は問題になりません(国税庁 質疑応答事例「遺産の換価分割のための相続登記と贈与税」)。
売ったときの譲渡所得は、各相続人が、次の割合で申告します(国税庁 質疑応答事例「未分割遺産を換価したことによる譲渡所得の申告とその後分割が確定したことによる更正の請求、修正申告等」)。
換価分割の譲渡所得の申告の割合
| 換価の時の状況 | 譲渡所得を申告する割合 |
|---|---|
| 換価代金を、法定相続分で取得する(換価代金を後で遺産分割の対象に含める合意などの特別の事情がない) | 所有割合=法定相続分に応じて申告 |
| あらかじめ、換価の時までに換価代金の取得割合を定めている | 換価代金の取得割合に応じて申告 |
| 換価の時に取得割合が決まっておらず、後日分割される(審判による換価分割や、換価代金を分割の対象に含める合意など) | 換価の時の所有割合(法定相続分)で申告。ただし、所得税の確定申告期限までに換価代金が分割され、共同相続人の全員が取得割合で申告したときは、その申告も認められる |
法定相続分で申告したあとで換価代金が分割されても、更正の請求はできないと、同じ質疑応答事例に書かれています。
遺産の分割について、共同相続人間で協議が調わないときは、各共同相続人が、分割を家庭裁判所に請求できます(民法第907条第2項)。まず話し合いの場として調停があります。
調停や審判には時間がかかり、その間も相続税の申告期限は進みます。期限の扱いは遺産が未分割のまま相続税を申告する方法で確かめられます。
代償分割で不動産を取得した人が、その不動産を売って代償金を払うなら、売った人に譲渡所得の税金が出ます。
取得した不動産を売るときの、譲渡所得の考え方
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 譲渡所得の計算 | 売った金額(収入金額)から、取得費と譲渡費用を引いて計算する | 国税庁 No.3202 |
| 取得費 | 被相続人がその土地建物を買い入れたときの購入代金や購入手数料などを基に計算する。業務用でない土地建物では、相続人が払った登記費用なども含められる | 国税庁 No.3270 |
| 代償金 | 代償分割により負担した債務に相当する金額は、取得費に算入されない | 所得税基本通達38-7(1) |
| 所有期間 | 被相続人の取得の時期が引き継がれ、長期か短期かが決まる | 国税庁 No.3270 |
| 取得費加算の特例 | 相続税が課された人が、相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売ると、相続税額の一部を取得費に加算できる | 国税庁 No.3267 |
売ったあとの計算と申告は、相続した実家を売却すると税金はいくら?、使える特例は?、確定申告は必要?にあります。相続登記が済んでいないと売れないときは相続登記をしていない実家は売れる?を確かめます。
協議書で支払期限と回数を決めて分割で払う、不動産を売って分ける換価分割に切り替える、の2つが主な手段です。どちらも、受け取る側を含む相続人全員の合意が前提です(民法第907条第1項)。
共同相続人は、協議で遺産の分割をすることができます(民法第907条第1項)。受け取る側の合意があれば、協議書に支払期限・回数・各回の額を書いて、分割払いにできます。
相続人全員が合意すれば、売って分ける形にできます。話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所に調停を申し立てられ、審判では換価を命じる裁判もあります(家事事件手続法第194条)。
各相続人が申告します。換価の時に取得割合が決まっていないときは、法定相続分で申告します。取得割合が決まっているときは、その割合です(国税庁 質疑応答事例)。
代償分割により負担した債務に相当する金額は、取得費に算入されません(所得税基本通達38-7(1))。取得費は、被相続人が買い入れたときの購入代金などを基に計算します(国税庁 No.3270)。
単に換価のための便宜で、売却代金が分割の内容どおり実際に分配されるなら、贈与税の課税は問題になりません(国税庁 質疑応答事例)。
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