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代償分割の相続税は、代償金を払った人は「取得した現物の財産の価額から、払った代償財産の価額を引いた額」、受け取った人は「取得した現物の財産の価額に、受け取った代償財産の価額を足した額」を課税価格として計算します(相続税法基本通達11の2-9、国税庁タックスアンサー No.4173)。代償財産の価額は、原則として代償債務の額の相続開始の時の金額で、代償金が代償分割の時の通常の取引価額を基に決められているときなどは調整します(同11の2-10)。申告書では第11表の付表4に「代償財産」と書き、払う人は負数、受け取る人は正数で記入します。相続税は、代償金を払う人も受け取る人も、自分の課税価格に応じた税額を納めます。この記事では、計算の仕方を計算例つきで原文から整理します。代償分割の仕組みと代償金の決め方は代償分割とは?実家を一人が相続する場合の代償金の計算と注意点に、贈与税や譲渡所得は代償分割で贈与税がかかるのは?にあります。
相続税法基本通達11の2-9は、代償分割が行われた場合の相続税の課税価格を、次のように定めています。
代償分割の課税価格(通達11の2-9)
| 立場 | 相続税の課税価格 | 根拠 |
|---|---|---|
| 代償金を払う人(代償財産の交付をした者) | 相続または遺贈により取得した現物の財産の価額から、交付をした代償財産の価額を引いた金額 | 相続税法基本通達11の2-9(2)、国税庁 No.4173 |
| 代償金を受け取る人(代償財産の交付を受けた者) | 相続または遺贈により取得した現物の財産の価額と、交付を受けた代償財産の価額の合計額 | 相続税法基本通達11の2-9(1)、国税庁 No.4173 |
通達の注は、代償分割を「共同相続人または包括受遺者のうち1人または数人が、相続または包括遺贈により取得した財産の現物を取得し、その現物を取得した者が他の共同相続人または包括受遺者に対して債務を負担する分割の方法」と説明しています。
払う人から引いた額が受け取る人に足されるので、2人の課税価格の合計は、代償金を払っても変わりません。相続税の総額は、課税価格の合計から基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を引き、法定相続分で分けたと仮定して税率をかけて求めます(国税庁 No.4152・No.4155)。各人の相続税額は、その総額に、各人の課税価格が合計額に占める割合をかけた金額です(相続税法第17条)。代償金の額は、総額ではなく、誰がいくら払うかの割り振りを動かします。
自分に近い行から見てください。右の列は、そのあとに読む節や記事です。
状況ごとの、課税価格の計算と次に読むもの
| あなたの状況 | 課税価格の計算 | 次に読むもの |
|---|---|---|
| 実家を1人で相続し、兄弟に代償金を払う | 実家などの現物の財産の価額から、払う代償財産の価額を引く。申告書の付表4には負数で書く | 「計算例」と「申告書」の節 |
| 代償金を受け取る | 取得した現物の財産の価額に、受け取る代償財産の価額を足す。現物の財産を取得していないときは、代償財産の価額が課税価格になる。付表4には正数で書く | 「計算例」と「申告書」の節 |
| 代償金の額を、実家の今の売買の相場を基に決めた | 代償財産の価額を、通達の算式で調整する場合がある(11の2-10の(2)) | 「代償財産の価額」の節 |
| 兄弟全員で、代償財産の額の計算方法を決めて申告したい | 全員の協議に基づき、合理的と認められる方法で計算して申告した金額によれる(11の2-10の(1)) | 「代償財産の価額」の節 |
| 代償金として、現金でなく不動産などを渡す | 相続税のほかに、渡した人に譲渡所得の税金が出る | 代償分割で贈与税・譲渡所得がかかる場合 |
| 代償金を一括で用意できない | 分割払い・換価分割(売って分ける)を、協議書で決める | 代償金を払えないときは |
| 代償金の額で話がまとまらない | 弁護士への相談、家庭裁判所の調停がある | 兄弟で相続が揉めたら、遺産分割調停とは |
| 申告期限(10か月)までに、分け方が決まらない | 分割が決まっていないときの申告になる | 遺産が未分割のまま相続税を申告する方法 |
代償財産の価額は、原則として代償債務の額の、相続開始の時における金額です。通達11の2-10は、次の場合に例外を定めています。
代償財産の価額(通達11の2-10)
| 場合 | 代償財産の価額 |
|---|---|
| 原則 | 代償債務の額(相続開始の時における金額) |
| 共同相続人と包括受遺者の全員の協議に基づき、下の算式に準じて、または合理的と認められる方法で代償財産の額を計算して申告したとき((1)) | その申告した金額 |
| (1)以外で、代償債務の額が、代償分割の対象となった財産が特定され、かつ、その財産の代償分割の時における通常の取引価額を基として決定されているとき((2)) | 代償債務の額 × (相続開始の時の相続税評価額 ÷ 代償分割の時の価額) |
算式の記号は、通達の注で、A=代償債務の額、B=代償債務の額の決定の基となった代償分割の対象財産の代償分割の時における価額、C=その財産の相続開始の時における価額(評価基本通達の定めにより評価した価額)とされ、A×(C÷B) で計算します。
国税庁のタックスアンサー No.4173 は、(2)の例として、相続税評価額4,000万円・代償分割時の時価5,000万円の土地を取得した人が、代償金2,000万円を、その時価を基に決めて払った場合を挙げています。この場合の代償財産の価額は 2,000万円×(4,000万円÷5,000万円)=1,600万円です。
次の前提で、2通りの代償金で計算します(小規模宅地等の特例などの控除や特例は考えず、端数も省きます)。
ケースA:評価額で折半し、代償金を1,500万円とした場合
| 長男(払う人) | 次男(受け取る人) | |
|---|---|---|
| 現物の財産の価額 | 自宅 4,000万円 | 預貯金 1,000万円 |
| 代償財産の価額 | −1,500万円 | +1,500万円 |
| 課税価格 | 2,500万円 | 2,500万円 |
| 課税価格の割合 | 0.5 | 0.5 |
| 各人の相続税額(総額80万円×割合) | 40万円 | 40万円 |
評価額の合計5,000万円を折半すると各2,500万円で、次男は預貯金1,000万円を取得するので、代償金は1,500万円になります。
ケースB:自宅の時価5,000万円を基に、代償金を2,000万円とした場合(通達11の2-10の(2))
| 長男(払う人) | 次男(受け取る人) | |
|---|---|---|
| 現物の財産の価額 | 自宅 4,000万円 | 預貯金 1,000万円 |
| 代償財産の価額 | −1,600万円(2,000万円×4,000万円÷5,000万円) | +1,600万円 |
| 課税価格 | 2,400万円 | 2,600万円 |
| 課税価格の割合 | 0.48 | 0.52 |
| 各人の相続税額(総額80万円×割合) | 38.4万円 | 41.6万円 |
時価の合計6,000万円(自宅5,000万円+預貯金1,000万円)を折半すると各3,000万円で、次男は預貯金1,000万円を取得するので、代償金は2,000万円になります。
分け方は同じでも、代償金を何を基に決めたかで、2人の税額は40万円ずつから38.4万円と41.6万円に動きます。相続税の総額80万円は変わりません。実際の税額は、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例、2割加算などで変わります。
国税庁の「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」のQ&A「代償財産がある場合の記入方法は?」は、代償財産を申告書第11表の付表4に記入するとしています。書き方は次のとおりです。
前の計算例のケースAを、付表4に書く場合
| 細目 | 財産の名称等 | 価額 | 取得財産の価額 | |
|---|---|---|---|---|
| 長男(払う人) | 代償財産 | 現金 | 0 | △15,000,000円 |
| 次男(受け取る人) | 代償財産 | 現金 | 0 | 15,000,000円 |
記入の例示は国税庁のQ&Aの書き方に合わせたものです。実際の記入は、申告書の様式と手引きで確かめてください。
どちらかが全額を払う形ではなく、それぞれが、自分の課税価格に応じた相続税額を納めます。ケースAなら、長男も次男も40万円ずつです。
相続税の納め方
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 各人の相続税額 | 相続税の総額に、各人の課税価格が合計額に占める割合をかけた金額 | 相続税法第17条 |
| 申告と納付の期限 | 被相続人が死亡したことを知った日(通常は死亡の日)の翌日から10か月以内 | 国税庁 No.4205 |
| 連帯納付 | 同一の被相続人から財産を取得した全ての者は、受けた利益の価額に相当する金額を限度として、互いに連帯納付の責めに任ずる(延納の許可を受けた場合などの例外がある) | 相続税法第34条第1項 |
期限までに現金が足りないときの手段は相続税が払えないとどうなるにまとめました。
代償金を払う人は、取得した現物の財産の価額から、払った代償財産の価額を引いた額が課税価格です。受け取る人は、取得した現物の財産の価額に、受け取った代償財産の価額を足した額です(相続税法基本通達11の2-9、国税庁 No.4173)。
受け取った代償財産の価額は、受け取った人の課税価格に足して計算します。相続税がいくらになるかは、課税価格の合計から決まる相続税の総額と、各人の課税価格の割合で変わります(相続税法第17条)。
原則は代償債務の額の、相続開始の時における金額です。代償金が代償分割の時の通常の取引価額を基に決められているときなどは、A×(C÷B) の算式などで調整します(通達11の2-10)。
第11表の付表4です。「細目」欄に「代償財産」、「価額」欄に「0」と書き、「取得財産の価額」欄に、払う方は負数、受け取る方は正数で金額を書きます(国税庁「相続税の申告のしかた」のQ&A)。
減りません。払う人から引いた代償財産の価額は、受け取る人の課税価格に足されるため、課税価格の合計は変わらないからです。代償金の額で動くのは、各人が納める税額の割り振りです。
それぞれが、相続税の総額に自分の課税価格の割合をかけた額を納めます(相続税法第17条)。申告と納付の期限は、死亡を知った日の翌日から10か月以内です。
遺産にかかる相続税は、先に計算機で確かめられます
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