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相続の弁護士費用は、何を頼むかで形が変わります。争いのある遺産分割や遺留分は「着手金と報酬金」、争いのない遺言の作成や執行は「手数料」です。日弁連の2008年度アンケートで金額が分かるのは、法律相談(1時間で5千円〜1万円が9割強)、遺産分割調停(着手金30〜50万円前後、報酬金100万円前後が最多)、公正証書遺言の作成(10万円前後が50.7%)、遺言執行(40万円前後が27.1%)です。遺留分と相続放棄の弁護士費用の設例は、日弁連の資料にありません。相続放棄の書類作成は、司法書士の2024年アンケートで平均40,892円です。
相続の費用の区分別の目安(公表資料で金額が分かるもの)
| 区分 | 費用の形 | 目安 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 法律相談(1時間) | 相談料 | 5千円が36.1%、1万円が55.7%(回答1,015件) | 日弁連 2008年度アンケート 設例A-1 |
| 遺産分割調停 | 着手金・報酬金 | 着手金30万円前後31.1%・50万円前後41.4%。報酬金100万円前後が最多30.7% | 同 設例A-15。詳しくは遺産分割の弁護士費用の相場 |
| 公正証書遺言の作成 | 手数料 | 10万円前後50.7%、20万円前後30.2%、30万円前後12.7% | 同 設例A-14 |
| 遺言執行 | 手数料 | 40万円前後27.1%、100万円前後19.6%、60万円前後18.6%、20万円前後18.3% | 同 設例A-14 |
| 遺留分の請求 | 着手金・報酬金 | 設例なし。遺産分割調停の設例が一番近い公表資料 | 遺留分請求の弁護士費用 |
| 相続放棄の申述書類の作成(司法書士) | 報酬 | 平均40,892円(有効回答752) | 日司連 2024年(令和6年)3月アンケート |
| 相続登記(司法書士・設例) | 報酬 | 平均74,888円(有効回答1,109) | 同 |
| 遺産承継(司法書士・設例) | 報酬 | 平均272,780円(有効回答502) | 同 |
日弁連のアンケートは2008年11月実施(弁護士の回答1,026名)、日司連のアンケートは令和6年3月実施です。どちらも設例ごとの参考値で、実際の金額は事務所ごとに決まります。相続放棄を弁護士に頼む費用の設例は、日弁連の資料に見当たりません。
日弁連のページは、争いの有無で費用の形が分かれると説明しています。
同じ「相続」でも、遺言の作成(手数料型)と遺産分割の調停(着手金・報酬金型)では、金額の出方が違います。日本弁護士連合会のページは、費用の種類を次のように説明しています。
弁護士費用の種類(日本弁護士連合会のページ)
| 種類 | 内容 | 相続での例 |
|---|---|---|
| 法律相談料 | 法律相談の費用 | 最初の相談 |
| 着手金 | 事件を依頼した段階で支払う。結果に関係なく、不成功でも返還されない。報酬金の内金や手付ではない | 遺産分割の調停・審判の依頼、遺留分の請求の依頼 |
| 報酬金 | 事件が成功に終わった場合に、事件終了の段階で支払う。一部成功も含み、全面敗訴なら支払わない | 調停や審判で取得する財産が確定したとき |
| 手数料 | 当事者間に実質的に争いのない事務的な手続を依頼するときに支払う | 遺言書の作成、遺言執行 |
| 実費・日当 | 印紙代、切手代、記録の謄写費用、鑑定料、交通費、宿泊費、日当など | 調停の申立費用、戸籍の取得費用 |
同じページには、依頼するときは総額でどの程度必要になるのか、よく確認するようにと書かれています。実費は別途必要です。
状況別の区分と、費用の見方
| あなたの状況 | 当てはまる区分 | 見方 |
|---|---|---|
| 話し合いで済みそう。名義変更や預貯金の解約を頼みたい | 司法書士の相続登記・遺産承継 | 日司連の設例:相続登記は平均74,888円、遺産承継は平均272,780円。争いのない手続の代行 |
| 兄弟と揉めている | 弁護士:遺産分割(協議・調停) | 着手金と報酬金。調停の設例は30〜50万円前後と100万円前後。遠方なら日当・交通費も確認 |
| 調停になった | 弁護士:遺産分割調停 | 裁判所の費用は収入印紙1,200円分と切手。弁護士が付いた割合は80.2%(令和6年・終局15,379件) |
| 遺留分を請求したい・された | 弁護士:遺留分 | 設例なし。遺留分請求の弁護士費用で、費用の種類の当てはめを確かめられます |
| 借金があり、相続放棄を考える | 司法書士:書類作成、または弁護士:相談・代理 | 司法書士の書類作成は平均40,892円。相続放棄の司法書士費用に分布があります |
| 遺言書を作りたい | 手数料 | 公正証書遺言の作成手数料は10万円前後が過半。遺言書の作成費用 |
司法書士法第3条第1項は、司法書士の事務として、登記・供託の手続の代理(第1号)、裁判所に提出する書類の作成(第4号)、簡易裁判所の一定の手続の代理(第6号)などを挙げています。家庭裁判所の遺産分割調停の代理は、この条文には挙がっていません。弁護士は、弁護士法第3条第1項により、訴訟事件、非訟事件その他一般の法律事務を職務とします。
そのため、遺産分割で相続人どうしが争っているときは、弁護士に相談する流れになります。争いがなく、名義変更や預貯金の解約を代行してもらいたいときは、日司連のアンケートにある相続登記・遺産承継の設例が参考になります。どちらに頼めるかは、自分の事案を相談して確かめてください。
日弁連のページが挙げる費用の種類を、見積もりの質問に直すと、相談の場で次の5点を聞けば総額に近づきます(筆者の整理です)。
調停を自分で申し立てる場合の裁判所への費用は、収入印紙1200円分と連絡用の郵便切手です(裁判所の公式ページ)。弁護士に頼むときも、この実費は別にかかります。
日本弁護士連合会のページには、自動車保険や火災保険、傷害保険などの特約として売られている弁護士費用保険に入っている人は、対象となる事故などの被害に遭って弁護士に頼むとき、相談料や弁護士費用が保険会社などから支払われると書かれています。相続の争いが対象になるかは、このページには書かれていません。契約している保険の約款で確かめてください。
日本弁護士連合会のページには、標準小売価格のようなものはないと書かれています。2008年度アンケートの遺産分割調停の設例では、最頻の着手金と報酬金の合計が130〜150万円前後です。区分によって形も金額も違うので、上の表で自分の区分を確かめてください。
日弁連の2008年度アンケートの設例には、遺留分の請求はありません。遺産分割調停の設例が一番近い公表資料です。
司法書士法第3条第1項第4号により、司法書士は裁判所に提出する書類の作成ができます。弁護士は一般の法律事務ができます。司法書士の書類作成の平均は40,892円(日司連 令和6年3月アンケート)です。
日本弁護士連合会のページには、着手金は事件の結果に関係なく、不成功に終わっても返還されないと書かれています。
裁判所の公式ページには、遺産分割調停は被相続人1人につき収入印紙1200円分と、連絡用の郵便切手が必要と書かれています。郵便切手の額は、裁判所ごとに異なります。
2008年11月の調査なので、参考にとどめてください。相談料は、弁護士会の法律相談センターで30分5,500円前後が目安と、日弁連のページに書かれています。
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