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遺産分割で弁護士に頼んだ費用は、依頼した人が、自分の弁護士に払うのが基本です。日本弁護士連合会のページには、着手金は依頼した段階で支払い、報酬金は事件が成功に終わった段階で支払うと書かれています。調停・審判の手続費用(収入印紙や切手など)は、家事事件手続法第28条第1項で「各自の負担」が原則です。「遺産から払える」「他の相続人に請求できる」と定めた条文は、確かめた範囲では見当たりませんでした。「3分の1」については、日弁連の設例では取得額の3%前後で、3分の1ではありません。
日本弁護士連合会のページが説明する費用の払い方です。
弁護士費用の払い方(日本弁護士連合会のページ)
| 費用 | 払うとき | 内容 |
|---|---|---|
| 法律相談料 | 相談したとき | 依頼者に対して行う法律相談の費用 |
| 着手金 | 事件を依頼した段階 | 事件の結果に関係なく、不成功に終わっても返還されない。報酬金の内金でも手付でもない |
| 報酬金 | 事件が成功に終わった、事件終了の段階 | 一部成功も含み、その度合いに応じて支払う。全面敗訴なら支払わない |
| 実費・日当 | 事件の処理で出費したとき | 印紙代、切手代、記録の謄写費用、鑑定料、交通費、宿泊費、日当など |
これは弁護士と依頼者の間の契約で決まる費用です。遺産分割では、依頼した相続人が、その弁護士に払います。日弁連のページには、依頼していない相続人が払うとは書かれていません。
弁護士費用とは別に、家庭裁判所の手続費用があります。家事事件手続法は次のように定めています。
手続費用の負担(家事事件手続法 第28条・第29条)
| 場面 | 定め |
|---|---|
| 原則(第28条第1項) | 審判費用と調停費用は、各自の負担とする |
| 例外(第28条第2項) | 裁判所は、事情により、各自が負担すべき手続費用の全部または一部を、当事者や、審判を受ける者となるべき者などに負担させることができる |
| 調停が成立したとき(第29条第3項) | 費用の負担について特別の定めをしなかったときは、各自が負担する |
調停の申立ての収入印紙は、被相続人1人につき1,200円分です(裁判所の公式ページ)。
この「手続費用」の範囲は、民事訴訟費用等に関する法律が定めています(同法第1条は家事事件の手続も対象にしています)。同法第2条の一覧には、手数料、当事者の旅費・日当・宿泊料、書類の作成・提出の費用などが並びますが、当事者が自分で選んで頼んだ弁護士への報酬は含まれていません。弁護士報酬が出てくるのは、裁判所が選任を命じた場合などを定めた第10号です。
民法第885条は、「相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁する」と定めています(相続人の過失によるものは除く)。ただし、遺産分割のために依頼した弁護士の費用がこの「相続財産に関する費用」に入るかは、条文に書かれていません。民事訴訟費用等に関する法律の一覧にも、依頼した弁護士の報酬は挙がっていません。
そのため、次のことは、条文だけでは決められません。
相続人の全員で、費用の持ち方を決める場合は、全員の合意が必要になると考えられます(筆者の整理です)。実際に請求や精算ができるかは、依頼する弁護士に、自分の事案で確かめてください。
状況別の費用の負担
| あなたの状況 | 弁護士費用 | 裁判所の手続費用 |
|---|---|---|
| 自分が調停を申し立てる | 自分の弁護士に、自分が払う | 申立てに収入印紙1,200円分と切手。原則は各自の負担 |
| 相手方として調停を申し立てられた | 自分の弁護士に頼むなら、自分が払う | 原則は各自の負担。申立人が納めた印紙・切手の扱いは、裁判所が事情により決め得る(第28条第2項) |
| 同じ立場の兄弟で、1人の弁護士に一緒に頼む | 費用の割り方は、依頼者と事務所の契約で決める | 相続人ごとの負担は、各自の負担が原則 |
| 遠方で、交通費や日当が心配 | 日当・交通費は、弁護士費用の見積もりに含まれるかを確かめる | 遠方の裁判所への出頭は、調停の申立先(相手方のうち1人の住所地)で決まる |
| すぐには払えない | 法テラスの立替制度を使える場合がある(条件と審査) | 同じ制度の対象かは、法テラスで確かめる |
日本弁護士連合会のページには、弁護士の費用は個々の弁護士がその基準を定めることになっており、標準小売価格というようなものはないと書かれています。「3分の1」という決まりも、このページには書かれていません。
参考になる日弁連の2008年度アンケート(設例A-15、遺産1億円・妻が5,000万円相当を取得)では、着手金は30万円前後と50万円前後で72.5%、報酬金は100万円前後が最多(30.7%)でした。最頻の組み合わせで130〜150万円前後、取得額5,000万円に対して2.6〜3.0%です(筆者の計算)。3分の1(約33%)とは大きく離れています。ただし、事件が複雑なとき、相手との争いが激しいときは金額が変わります。設例の表は遺産分割の弁護士費用の相場にあります。
民事訴訟費用等に関する法律の費用の一覧には、当事者が選んで頼んだ弁護士の報酬は挙がっていません。調停や審判で費用の負担を決めるのは裁判所です(家事事件手続法第28条第2項)。自分の事案でできるかは、弁護士に確かめてください。
日本弁護士連合会のページには、着手金は事件の結果に関係なく、不成功に終わっても返還されないと書かれています。
家事事件手続法第29条第3項は、調停が成立した場合に、費用の負担について特別の定めをしなかったときは、各自が負担すると定めています。
弁護士費用は、依頼者と弁護士の契約で決まる費用です。ほかの相続人が割る仕組みは、日弁連のページには書かれていません。割る取り決めをするなら、相続人の全員の合意が必要と考えられます(筆者の整理です)。
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