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遺産分割の調停を弁護士に頼む設例(遺産1億円、相続人は妻と子2人、妻が5,000万円相当を取得)で、日本弁護士連合会のアンケートは、着手金が30万円前後(31.1%)と50万円前後(41.4%)で72.5%、報酬金は100万円前後が最多(30.7%)でした。最頻の組み合わせを足すと130〜150万円前後で、取得額5,000万円の2.6〜3.0%にあたります(筆者の計算)。ただし回答は2008年11月の調査で、弁護士費用は個々の弁護士が決めるものです。遺産分割の話し合い(協議)の段階だけを頼む場合の設例は、日弁連の資料に載っていません。
日弁連が2008年11月に弁護士へ行ったアンケート(回答1,026名)の設例A-15です。被相続人は自宅不動産、山林、株券、預金など総額1億円の遺産を残し、遺言書はなく、相続人は妻と子2人の合計3人。遺産の範囲に争いはないが協議がまとまらず、妻の依頼を受けて調停を申し立て、妻は5,000万円相当の法定相続分の遺産を取得して納得した、というものです。
遺産分割調停の弁護士費用(日弁連 2008年度アンケート 設例A-15)
| 項目 | 金額 | 回答の割合 |
|---|---|---|
| 着手金 | 30万円前後 | 31.1%(307件) |
| 着手金 | 50万円前後 | 41.4%(409件) |
| 着手金 | 70万円前後 | 7.1%(70件) |
| 着手金 | 90万円前後 | 8.4%(83件) |
| 着手金 | 110万円前後以上 | 110万円前後6.4%・130万円前後0.8%・150万円前後2.4%・その他2.3%(合計987件) |
| 報酬金 | 60万円前後 | 11.7%(115件) |
| 報酬金 | 100万円前後 | 30.7%(301件) |
| 報酬金 | 140万円前後 | 12.0%(118件) |
| 報酬金 | 180万円前後 | 14.9%(146件) |
| 報酬金 | 220万円前後 | 11.5%(113件) |
| 報酬金 | 260万円前後以上 | 260万円前後4.5%・300万円前後9.2%・その他5.6%(合計982件) |
日弁連のコメントは、着手金は30万円前後から50万円前後で4分の3近く、報酬金は100万円前後を中心に60万円前後から220万円前後がほとんどです。
この設例の取得額5,000万円に当てはめると、着手金50万円は1.0%、30万円は0.6%、報酬金100万円は2.0%、60万円は1.2%、220万円は4.4%です(筆者の計算)。報酬金は、取得する経済的利益が大きいほど増える設例なので、取得額が違えば、この割合どおりにはなりません。
状況ごとに、公表資料で確かめられる費用を並べます。
状況別の費用の見方
| あなたの状況 | 見込む費用 | 公表資料での裏付け |
|---|---|---|
| 話し合いで済みそう(まだ弁護士に頼むか迷う) | 法律相談料。頼むかどうかは、相談で見積もりを聞いてから決める | 日弁連アンケート設例A-1:1時間の相談で5千円が36.1%、1万円が55.7%(回答1,015件)。弁護士会の法律相談センターは30分で5,500円前後が目安(日弁連のページ) |
| 揉めている(協議が止まった) | 着手金(依頼の段階)と報酬金(終了の段階)。協議から頼む場合の金額は事務所の見積もりで確かめる | 協議のみの設例は日弁連の資料にありません |
| 調停になった | 着手金・報酬金(設例A-15の表)と、調停の実費 | 裁判所:申立ては収入印紙1,200円分と郵便切手。令和6年の終局15,379件のうち、代理人の弁護士が付いたのは12,336件(80.2%) |
| 遠方の相続人がいる | 交通費・宿泊費・日当 | 日弁連のページ:出張を要する事件は交通費、宿泊費、日当がかかる。調停の申立先は相手方のうち1人の住所地の家庭裁判所(裁判所のページ) |
遺産が少ない場合でも、弁護士が付く割合は高い統計があります。令和6年に調停成立・認容となった遺産分割事件で、遺産1,000万円以下でも77.7%に代理人の弁護士が付いていました。遺産の額別の件数・期間・弁護士が付く割合に、表があります。
日弁連の設例A-15は調停の費用です。調停が不成立になると、裁判所の公式ページには、自動的に審判の手続が始まると書かれています。審判まで進んだときの弁護士費用の設例は、日弁連の資料に見当たりません。
遺産分割事件の終局区分(令和6年・全家庭裁判所。司法統計年報)
| 終局の区分 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 調停成立 | 6,776件 | 44.1% |
| 調停に代わる審判 | 4,817件 | 31.3% |
| 取下げ | 2,289件 | 14.9% |
| 認容(審判) | 1,198件 | 7.8% |
| 調停をしない・却下・分割禁止・当然終了 | 299件 | 1.9% |
| 合計 | 15,379件 | 100% |
調停から審判へ進む割合ではなく、令和6年に終局した事件の内訳です。審理期間は1年以内が10,377件(67.5%)、1年を超えたのは5,002件(32.5%)でした。
日弁連のコメントには、遺産分割調停も基本的には話し合いで、弁護士は依頼を受けた相続人の立場に立ち、各関係者が納得できるように資料や意見を書面にして提出するなど円満な合意形成に向けて活動するため、相続をめぐる争いの内容などによって弁護士報酬に幅があると書かれています。審判に進んだときの追加の有無は、依頼する前に事務所へ確かめてください。
日弁連のページは、依頼するときは総額でどの程度必要になるのか、よく確認するようにと書いています。遺産分割で聞く点を、次の6つに絞りました(筆者の整理です)。
不動産が主な遺産で、分け方に争いがあるときは、評価額の決め方で報酬金の基準も変わり得ます。評価の方法を先に聞いておくと、見積もりの比較がしやすくなります。
収入と資産が一定の基準以下なら、法テラスが弁護士・司法書士の費用を立て替え、分割で返す制度があります。条件と審査は相続の弁護士費用が払えないときにあります。費用の種類と相談先ごとの違いは相続の弁護士費用の相場と相続の弁護士に無料で相談するにはに整理しています。
日本弁護士連合会のページには、弁護士費用は個々の弁護士が基準を定め、標準小売価格のようなものはないと書かれています。2008年度アンケートの設例(取得額5,000万円)では、最頻の着手金と報酬金の合計が130〜150万円前後で、2.6〜3.0%にあたります(筆者の計算)。取得額や争点で変わります。
日弁連の2008年度アンケートの設例は、調停(A-15)と遺言(A-14)で、協議だけの設例はありません。事務所の見積もりで確かめてください。
裁判所の公式ページには、被相続人1人につき収入印紙1,200円分と、連絡用の郵便切手と書かれています。切手の額は裁判所ごとに異なります。
令和6年に調停成立・認容となった遺産分割事件で、遺産が1,000万円以下でも77.7%に代理人の弁護士が付いていました(司法統計年報)。頼むかどうかは、費用と取得見込みを比べて決めます。
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