相続税の申告期限は「死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内」です
終活 2026年10月28日 読了 約10分

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おひとりさまの終活で決めておくこと|遺言・死後事務・身元保証・見守りの順番

おひとりさまの終活で決めておくことは、5つに整理できます。判断能力が落ちたときの備え、財産を誰に残すか(遺言)、亡くなった後の手続を誰が担うか(死後事務)、入院・入所のときの連絡先や保証、日々の見守りと緊急連絡先です。令和8年版高齢社会白書では、65歳以上の一人暮らしは令和2年に男性15.0%、女性22.1%で、令和32年には男性26.1%、女性29.3%になると見込まれています。この記事では、5つの決めること、家族の状況別に先に決めること、遺言、死後事務、身元保証、判断能力と見守りを、公式の資料で順番に確かめます。

1. おひとりさまが決めておくことと、その順番は?

決めることは5つあります。順番は、時間がかかるものと、判断能力があるうちにしかできないものから先に決めるのが目安です(筆者の整理です)。

おひとりさまの終活で決める5つ

決めること中身確かめる先
1 判断能力が落ちたときの備え任意後見契約を結ぶか、法定後見を使うか。判断能力があるうちにしか結べない日本公証人連合会、裁判所
2 財産の行き先(遺言)誰に何を残すか。遺言執行者を誰にするか公証役場、法務局、遺言書の作成を相談する先
3 死後事務死亡届、葬儀・火葬・納骨、住まいの片付け、公共料金の解約を誰が行うか戸籍法、墓地埋葬法、ガイドライン
4 入院・入所のときの連絡先緊急連絡先、保証人の要否消費者庁、厚生労働省
5 日々の見守り安否確認、終活情報の登録自治体の終活支援事業

1を先に置く理由は、任意後見契約が、判断能力が十分なうちに結ぶ契約だからです(日本公証人連合会)。判断能力が落ちたあとは、結べるかどうかが個別の判断になります。

2. 自分の場合は?|家族・住まい別に、先に決めること

家族の有無や住まいで、先に決めることが変わります(筆者の整理です)。

状況別に先に決めること

状況先に決めること根拠
相続人が誰もいない遺言で財産の行き先を決める。遺言がなく相続人もいない場合、家庭裁判所が相続財産の清算人を選び、処分されなかった財産は国庫に帰属する民法第952条・第959条
親族はいるが、疎遠・遠方死亡届を出す人と、死後の手続を頼める人を決める。同居の親族以外の親族も、死亡の届出ができる戸籍法第87条
賃貸住まい部屋の明け渡しと家財の片付けを誰が担うか。ガイドラインは、死後事務の例に家屋等の賃貸借契約や残置物の処理を挙げるガイドライン 表1
持ち家売却・解体・相続人への引き継ぎの方針。相続人がいなければ遺言で決める相続した空き家を売る流れ
入院・施設入所が近い緊急連絡先と、身元保証人の要否の確認消費者庁ポイント集

3. 遺言で決めること|財産の行き先と遺言執行者

日本公証人連合会は、公正証書遺言を、遺言者本人が公証人と証人2名の前で遺言の内容を口頭で告げ、公証人が遺言者の真意であることを確認したうえで文章にまとめるものと説明しています。原本は公証役場に保管され、遺言者が高齢や病気で公証役場に出向けないときは、公証人が自宅や病院へ出張することもできます。自筆証書遺言は、財産目録以外は全文を自分で手書きするため、体力が弱って手書きが難しくなると作れません。

名古屋市は、市の生前契約の事業の対象条件に、自筆証書遺言書保管制度の利用または公正証書遺言で遺言執行者を定めていることを挙げています。遺言で財産の行き先と遺言執行者を決めておく考え方は、自治体の事業でも前提になっています。

遺言の制度は、令和8年の改正で変わる部分があります。民法等の一部を改正する法律(令和8年法律第45号、令和8年6月24日公布)には、パソコンで作った遺言のデータやプリントアウトを法務局に提供し、本人が対面かウェブ会議で口述して保管してもらう「保管証書遺言」の創設や、押印の任意化が含まれます。遺言制度の施行は、公布から1年(システム改修を要するものは3年)を超えない範囲で政令で定める日です。

手順と費用は遺言書の作成の流れと期間、公正証書遺言の費用、法務局の保管制度にまとめています。

4. 死後事務|届出・葬儀・住まいの片付けを誰が担いますか

死亡の届出は、届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内にしなければなりません(戸籍法第86条)。届出人は、同居の親族、その他の同居者、家主・地主・家屋や土地の管理人の順で、順序にかかわらず届出もできます。同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人と任意後見受任者も届出ができます(第87条)。

墓地、埋葬等に関する法律第9条は、死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が行わなければならないと定めています。

高齢者等終身サポート事業者ガイドラインが挙げる死後事務サービスの例

区分例
届出・確認死亡の確認と関係者への連絡、死亡診断書の請求、火葬許可の申請、死亡届の申請代行
葬送葬儀に関する事務、火葬手続、収蔵(納骨堂)・埋蔵(墓処)・永代供養の手続
住まいと遺品費用精算、病室等の整理、家財道具や遺品等の整理、残置物等の処理、墓地の管理や撤去
行政・ライフライン後期高齢者医療制度・国民健康保険の資格喪失届、公共料金・インターネット・携帯電話等の解約

出典のガイドラインの表1(サービスの例)を整理したものです。

民法第653条は、委任者の死亡を委任契約の終了事由としています。そのためガイドラインは、死後事務委任契約には「委任者が死亡した場合においても、本契約は終了せず、相続人は、委任者の本契約上の権利義務を承継する」旨を明記することが望ましい、と書いています。死後事務の契約をする場合は、推定相続人がいれば事前に説明し、できる限り了解を得ておくことが望ましい、ともされています。

5. 身元保証と入院・入所|保証人がいなくても入れますか

消費者庁のポイント集は、身元保証サービスを、入院や介護施設への入所の際に、支払を一時的に立て替えたり、緊急時の連絡先になったりしてくれるサービスと説明し、「基本的に身元保証人がいなくても入院や介護施設等への入居は可能です」と書いています。ガイドラインも、医療機関・介護保険施設等は、正当な理由なくサービスの提供を拒否できず、身元保証人等がいないことのみを理由に入院・入所を拒むことは不適当とされている、と書いています。

民間の高齢者サポートサービスを使うかどうかは、契約の前に確かめます。費用の内訳、預託金の管理、解約と返金の扱いは自治体の終活支援事業の最後の節に載せています。消費者庁は、不安がある場合は消費生活センターや地域包括支援センターに相談するよう案内しています。

6. 判断能力が落ちたときと、日々の見守りはどう備えますか

任意後見は、判断能力が十分なうちに、公正証書で契約を結ぶ制度です。日本公証人連合会は、身内に適任の人がいない場合は、弁護士、司法書士、行政書士、社会福祉士などの専門家に依頼する方法や、市町村等の支援を受けて後見業務を行う市民後見人、社会福祉協議会などの法人に頼む方法があると説明しています。任意後見人の仕事は、家庭裁判所が任意後見監督人を選んだ時から始まります。

契約を結んでいない場合は、家庭裁判所が成年後見人等を選ぶ法定後見を使います。裁判所は、法定後見が本人が回復するか亡くなるまで続くと説明しています。令和8年6月公布の改正で、後見・保佐は補助の制度に一元化され、利用の必要がなくなったときに終了できる仕組みが設けられます。施行日は公布から2年6か月を超えない範囲で政令で定める日です。違いは認知症対策の家族信託と成年後見で比べています。

日々の見守りと、緊急連絡先や遺言書の保管場所の登録は、自治体の事業が担っている例があります。横須賀市の「わたしの終活登録」、奈良市の終活情報登録事業とIoT機器による見守り、名古屋市の見守り・安否確認などです。住んでいる市区の事業は自治体の終活支援事業で確かめられます。

よくある質問

相続人がいない場合、財産はどうなりますか?

相続人のあることが明らかでないとき、家庭裁判所は利害関係人や検察官の請求によって相続財産の清算人を選任します(民法第952条)。処分されなかった相続財産は国庫に帰属します(第959条)。遺言を書くと、財産の行き先を自分で決められます。

亡くなったとき、死亡届は誰が出しますか?

同居の親族、その他の同居者、家主・地主・家屋や土地の管理人の順で届出をします。同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人、任意後見受任者も届出ができます(戸籍法第87条)。死亡の事実を知った日から7日以内です(第86条)。

身元保証人がいないと、入院できませんか?

消費者庁のポイント集は、基本的に身元保証人がいなくても入院や介護施設等への入居は可能と説明しています。

死後事務は、誰に頼めますか?

消費者庁のポイント集は、事業者のほか、地域によっては自治体や社会福祉協議会、弁護士・司法書士が死後事務の支援を提供している場合もあると書いています。自治体の事業は自治体の終活支援事業で確かめられます。

遺言と死後事務委任契約は、どちらが先ですか?

公的な資料に順番の決まりは書かれていません。財産の行き先は遺言、亡くなった後の手続は死後事務の契約や自治体の事業で決めるという役割の違いがあります。名古屋市の事業のように、遺言による遺言執行者を条件とする例もあります。

参考・出典

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