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全財産を1人に相続させる、という遺言は、形式の要件を満たせば書けます。ただし、兄弟姉妹以外の相続人には遺留分があり、遺言で取り分がなくなった相続人は、遺留分侵害額に相当する金銭を請求できます(民法第1042条・第1046条)。たとえば、相続人が長男と次男の2人で、全財産6,000万円を長男に渡すと遺言した場合、次男の遺留分は6,000万円×4分の1=1,500万円です。一方で、子のいない夫婦で、相続人が配偶者と被相続人の兄弟姉妹なら、兄弟姉妹には遺留分がないため、全財産を配偶者に残せます。
遺言は、民法に定める方式に従えば、することができます(第960条)。自筆証書遺言なら、全文・日付・氏名の自書と押印が要件です(第968条)。「全財産を長男に相続させる」と書くこと自体は、方式を満たしていれば妨げられません。
日本公証人連合会のページも、「もとより、遺留分侵害額請求があれば、紛争は残ります」と書いています。遺言があっても、遺留分を侵害された相続人は、受遺者に対して金銭の支払を請求できます(民法第1046条第1項)。
全財産を長男に渡す遺言の設例(法定の割合を当てはめた計算例)
| 項目 | 内容・金額 |
|---|---|
| 設例 | 配偶者はなく、相続人は長男と次男の2人。全財産(債務を引いたあとで6,000万円)を長男に相続させる遺言。生前の贈与はない |
| 次男の遺留分の割合 | 2分の1(直系尊属のみが相続人ではないので。民法第1042条第1項第2号)×相続分2分の1(第900条第4号)=4分の1 |
| 次男の遺留分の額 | 6,000万円 × 4分の1 = 1,500万円 |
| 長男が払う額 | 遺留分侵害額1,500万円(次男は遺贈も遺産の取得もない場合。第1046条第2項) |
遺留分を算定するための財産には、贈与も加わります。相続人への贈与は、婚姻・養子縁組のため、または生計の資本として受けたものに限り、相続開始前10年間のものが対象です(第1044条第1項・第3項)。
払う額は金銭です。自宅の不動産しか財産がなければ、長男は現金を別に用意するか、不動産を売る必要が出ます。請求された側の対応は遺留分を請求されたらにあります。
民法第1042条第1項は、遺留分を受けるのを、兄弟姉妹以外の相続人としています。子のいない夫婦で、被相続人の両親がすでに亡くなっているとき、相続人は配偶者と被相続人の兄弟姉妹です(第900条第3号)。この場合、兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言をしておけば、全財産を配偶者に残せます。日本公証人連合会のページにも、同じ趣旨の説明があります。
相続人に子がいる場合は、子には遺留分があります。誰が相続人かは、戸籍で確かめます(相続手続きの必要書類一覧)。
遺留分の放棄を相続人に頼む場面では、本人の意思が大切です。許可の申立ては、遺留分を有する相続人が行います。
遺言で全財産を取得した人は、遺留分権利者から金銭を請求される可能性があります。請求の時効は、遺留分権利者が相続の開始と遺留分を侵害する遺贈があったことを知った時から1年、相続開始から10年です(民法第1048条)。請求が来たときの確認事項は遺留分を請求されたらに、調停の流れは遺留分を自分で請求するには(請求する側の手順)に整理しています。
払った額が確定すると、相続税の更正の請求ができる場合があります(遺留分を払った・受け取った場合の相続税)。
次男は兄弟姉妹以外の相続人なので、遺留分があります。遺留分侵害額に相当する金銭を、長男に請求できます(民法第1042条・第1046条)。
遺留分侵害額の請求は、遺言を無効にするものではなく、金銭の支払を求めるものです(民法第1046条第1項)。
この記事で確かめた条文には、遺言でそう書いた場合の効力は書かれていません。条文にある方法は、相続開始前に、家庭裁判所の許可を受けた放棄です(民法第1049条)。
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