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遺留分 2026年10月24日 読了 約8分

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遺留分を請求されたら?払えないときの猶予(民法1047条5項)・負担する順番・調停を申し立てられたとき

遺留分侵害額の請求を受けたら、払うのは金銭です。民法第1046条第1項は、遺留分権利者が、受遺者または受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求できると定めています。すぐに現金を用意できないときは、第1047条第5項に、裁判所は受遺者または受贈者の請求により、支払について相当の期限を許与できるとあります。払う額は、遺留分の割合と遺産の額から計算でき、請求してきた人が兄弟姉妹なら、そもそも遺留分がありません(第1042条)。請求された側が、最初に確かめることを整理します。

1. 請求されたら、何を、いくら払うことになりますか

払うのは、遺留分侵害額に相当する金銭です。遺産の不動産そのものを返す必要はありません(民法第1046条第1項。改正前の「遺留分減殺」とは違い、現在は金銭の請求です)。額は、第1042条の遺留分の割合から、遺留分権利者が受けた遺贈・贈与の額と、取得すべき遺産の額を引き、承継する債務の額を加えて計算します(第1046条第2項)。

計算例(法定の割合を当てはめた設例。実際の額は事情で変わります)

項目内容・金額
設例被相続人に配偶者はなく、相続人は長男と次男の2人。遺言で、全財産(債務を引いたあとで6,000万円)を長男に相続させるとした。生前の贈与はない
次男の遺留分の割合直系尊属のみが相続人ではないので2分の1(民法第1042条第1項第2号)に、次男の相続分2分の1(第900条第4号)を掛けて、4分の1(同条第2項)
次男の遺留分の額6,000万円 × 4分の1 = 1,500万円
次男が受けた遺贈・取得すべき遺産0円(遺言で全財産が長男へ)
遺留分侵害額1,500万円(第1046条第2項)。長男に対して、この額に相当する金銭の支払を請求できる(同条第1項)

遺留分を算定するための財産の価額は、相続開始時の財産に、贈与した財産の価額を加え、債務の全額を引いた額です(民法第1043条第1項)。贈与は、原則として相続開始前の1年間のものに限って加えます。相続人への贈与は、婚姻・養子縁組のため、または生計の資本として受けた贈与に限り、10年間のものを加えます(第1044条)。

2. 遺言や贈与が複数あるとき、誰がどの順に負担しますか

民法第1047条第1項は、負担の順番を次のように定めています。

  1. 受遺者と受贈者がいるときは、受遺者が先に負担する。
  2. 受遺者が複数いるとき、または贈与が同時にされた受贈者が複数いるときは、目的の価額の割合に応じて負担する。ただし、遺言者が遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
  3. 受贈者が複数いて、贈与が同時でないときは、後の贈与の受贈者から順に、前の贈与の受贈者が負担する。

相続人が受遺者になっている場合、負担する額は、遺贈の価額から、その相続人自身が受けるべき遺留分の額を引いた額が上限です(同項柱書)。遺言で全財産を取得した長男であっても、長男自身の遺留分に当たる部分は、次男に払う対象になりません。

受遺者または受贈者の無資力によって生じた損失は、遺留分権利者の負担になります(同条第4項)。

3. お金がすぐに用意できないとき、支払いを待ってもらえますか

民法第1047条第5項は、裁判所は、受遺者または受贈者の請求により、負担する債務の全部または一部の支払につき、相当の期限を許与できると定めています。許与するかどうか、期限をどのくらいにするかは、裁判所の判断です。条文からは、期限を許与してもらえる額や期間の目安は読み取れません。

4. 請求を受けたら、払う前に何を確かめますか

  1. 請求してきた人に、遺留分があるか:遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人にあります(民法第1042条第1項)。被相続人のきょうだいが請求してきた場合、遺留分はありません。
  2. 請求が期限内か:遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始と遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年間行使しないと、時効で消滅します。相続開始の時から10年を経過したときも同じです(第1048条)。請求の意思表示がいつ行われたかは、時効の判断に関わります。
  3. 算入される贈与の範囲:相続開始前の1年間の贈与、相続人への贈与は婚姻・養子縁組・生計の資本としての10年間の贈与に限って、遺留分の算定に入ります(第1044条)。
  4. 金額の計算:相手が示した金額が、上の計算式に合っているか。不動産の評価額が高く出ていないか。

金額の計算は、不動産の評価を、固定資産税評価額、路線価、不動産鑑定のどの数字で行うかで変わります。評価の考え方は不動産の評価方法にあります。

5. 家庭裁判所の調停を申し立てられたら、どうなりますか

裁判所の公式ページによると、遺留分侵害額の請求調停は、遺留分を侵害された人(兄弟姉妹以外の相続人)か、その承継人が申し立てます。申立先は相手方の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所です。請求される側にとっては、自分の住所地の裁判所が申立先になります。

調停の費用は、申立人が収入印紙1200円分と連絡用の郵便切手を出します(裁判所の公式ページ)。弁護士に頼んだときの費用は遺留分請求の弁護士費用にあります。

よくある質問

遺留分の請求の書面を、無視してもよいですか?

この記事で確かめた原典には、無視した場合の扱いを定めたものはありません。裁判所の公式ページには、請求する側は調停を申し立てられると書かれています。内容を確認して、弁護士に相談してください。

遺留分は、不動産で払えますか?

請求の対象は金銭です(民法第1046条第1項)。不動産などで払う方法は、この記事で確かめた条文には書かれていません。相手と合意するかどうかを含めて、弁護士に確認してください。

遺留分を請求された人も、相続税の手続が必要ですか?

遺留分侵害額が確定すると、相続税の更正の請求をできる場合があります。遺留分を払った・受け取った場合の相続税で整理しています。

参考・出典

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