相続税の申告期限は「死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内」です
申告・手続き 2026年10月28日 読了 約10分

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相続税の還付とは?払いすぎが戻る場合・還付申告の期限・還付加算金・詐欺の見分け方

相続税が戻る(還付される)のは、大きく2つの場合です。1つは、申告した税額が多すぎたと分かり、更正の請求が認められたとき。期限は原則として法定申告期限から5年以内で、遺産分割や遺留分侵害額の確定などがあったときは、それを知った日の翌日から4か月以内です。もう1つは、相続時精算課税で払った贈与税を相続税から引ききれないときで、この場合は相続税の申告書を出すことで還付を受けられます。戻るときは、国税通則法第58条により、還付加算金が上乗せされます(令和8年の割合は年1.3%)。ただし、税理士に見てもらえば必ず戻るわけではなく、評価も控除も正しければ戻りません。「相続税の還付金がある」と言ってATMを操作させる電話は詐欺です。この記事では、払いすぎの原因、自分の場合の見分け方、還付までの流れ、詐欺の見分け方を、国税庁・e-Gov・警察庁の原文で整理します。

1. 相続税が戻る(還付される)のは、どんな場合ですか

「相続税の還付」は、次の3つの場面を指して使われます。手続きも期限も違うので、自分がどれに当たるかを先に確かめてください。

相続税の還付が出る場面と、期限

場面手続き期限根拠
申告した相続税が多すぎた(評価・控除の誤りなど)更正の請求書を税務署長に出す。認められると減額の更正があり、税金が還付される原則として法定申告期限から5年以内国税通則法第23条、国税庁 B1-27
申告後に事情が変わって税額が多すぎることになった(遺産分割・遺留分侵害額の確定・遺言書の発見など)更正の請求書を税務署長に出すその事由が生じたことを知った日の翌日から4か月以内相続税法第32条
相続時精算課税で払った贈与税が、相続税から引ききれない相続税の申告書を出す(申告書に還付を受ける口座を書く)相続税の還付を受けるための申告書は、相続開始の日の翌日から起算して5年を経過する日まで出せる国税庁「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」

法定申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月目の日です(国税庁 No.4205)。

3つ目は、相続時精算課税適用者がいるときの話です。相続時精算課税適用財産について課せられた贈与税があるとき、その贈与税額に相当する金額を相続税額から控除し、なお控除しきれない金額があれば、その税額の還付を受けられます(国税庁「相続税の申告のしかた」)。この還付を受けるには、相続税の申告書を提出しなければなりません。

名前が似ている還付に、亡くなった人の所得税の準確定申告で戻る還付金があります。この還付金は、相続人が手続きをして受け取っても、亡くなった人に帰属する財産なので、相続税の申告では相続財産として第11表の付表4に書きます(国税庁「誤りやすい事例集」事例⑦)。これは相続税が戻る話ではなく、相続財産が増える話です。

払いすぎの更正の請求の書き方と添付書類は相続税の更正の請求の書き方に、請求できる期限と戻る税額の目安は更正の請求の計算ツールにあります。

2. 相続税を払いすぎる原因は、何ですか

国税庁の公表資料から、払いすぎにつながる点を5つ挙げます。右の列は、見直すときの手がかりです。

払いすぎの主な原因と、国税庁の原文が示していること

見落としやすい点国税庁の原文が示していること見直す手がかり
未納の固定資産税・住民税を債務として引いていない固定資産税と住民税の納税義務は既に成立しているため、相続開始日に納税通知書が送付されていなくても、亡くなった年分の未納の固定資産税や住民税は債務控除の対象。被相続人の準確定申告で納付する所得税も債務控除できる(誤りやすい事例⑫)申告書の第13表に、これらが書かれているか
葬式費用の一部を引いていない遺産総額から差し引ける葬式費用は、火葬・埋葬・納骨の費用、遺体や遺骨の回送費用、お通夜などの葬式の前後に生じる通常かかせない費用、お寺への読経料などのお礼。香典返し、墓石や墓地の買入れ費用、初七日など法事の費用は含まれない(国税庁 No.4129)申告書の第13表と、葬儀社などの領収書
土地・家屋の評価額が高く出ている土地は路線価方式か倍率方式で評価する。路線価方式は、路線価を土地の形状等に応じた奥行価格補正率などの各種補正率で補正し、面積を乗じて計算する(国税庁 No.4602)。更正の請求書の記載要領には、請求理由の例として、家屋の評価誤りが挙げられている評価明細書の面積・補正率・路線価、倍率表
遺産が未分割のまま申告し、その後に分割した配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は、申告期限までに分割されていない財産には使えない。原則として申告期限後3年以内に分割したときは、遺産分割が行われた日の翌日から4か月以内に更正の請求書を提出して、これらを受けられる(国税庁 No.4158、「相続税の申告のしかた」)分割協議が成立した日
申告後に、相続人の異動・遺留分侵害額の確定・遺言書の発見があった未分割遺産の分割、認知や相続の放棄の取消しなどによる相続人の異動、遺留分侵害額の請求に基づき支払うべき金銭の額の確定、遺贈に係る遺言書の発見や遺贈の放棄があったときは、知った日の翌日から4か月以内に更正の請求ができる(相続税法第32条)事由が生じたことを知った日

小規模宅地等の特例は、相続税の申告書にこの特例の適用を受ける旨その他所定の事項を記載し、所定の書類を添付する必要があります(国税庁「相続税の申告のしかた」)。申告のときに書かなかった特例を、あとから更正の請求で受けられるかは、この記事で確かめた国税庁の案内には書かれていません。申告期限を過ぎて気づいたときは、税務署に確かめてください。

戻らないとき、逆に納める税金が増えるとき。税務署長は、更正の請求があると調査したうえで、更正をするか、更正をすべき理由がない旨を通知します(国税通則法第23条第4項)。評価も控除も当初のとおり正しければ、戻りません。また、生前に購入したお墓の借入金や、団体信用生命保険で返済が免除される住宅ローンは、債務として差し引けません(国税庁「誤りやすい事例集」事例⑪・⑬)。これらを引いていた場合は、戻るどころか、修正申告で納める税金が増えます。

3. 自分の場合は、いつまでに何をしますか

自分に近い行から見てください。右の列は、そのあとに読む記事です。

状況ごとの、手続きと期限

あなたの状況手続きと期限次に読む記事
自分で申告して、払いすぎに気づいた更正の請求書を税務署長に出せる。法定申告期限から5年以内。申告書の控えと、評価の明細書を手元に出して、上の表の5点と照らす相続税申告を自分でして間違えたとき
税理士に頼んで申告した期限の数え方は同じで、法定申告期限から5年以内。申告書の控えを手元に出し、見直しを依頼するかは自分で決められる相続税の税理士報酬の相場
申告のあとで遺産分割が決まった分割のあったことを知った日の翌日から4か月以内に更正の請求。特例を受けるときは、原則として申告期限後3年以内の分割が条件未分割のまま申告する方法、未分割申告の税額と分割後の差
遺留分侵害額を払った支払うべき金銭の額が確定したことを知った日の翌日から4か月以内に更正の請求。受け取った側は、同じ事由で税額が増えるときは修正申告を出す(国税庁「相続税の申告のしかた」)遺留分を払った・受け取った場合の相続税
申告のあとで遺言書が見つかった遺贈に係る遺言書が発見されたことを知った日の翌日から4か月以内に更正の請求(相続税法第32条第1項第4号)相続税の更正の請求の書き方
法定申告期限から5年を過ぎた計算の誤りを理由にする更正の請求は、法定申告期限から5年以内に限られる(国税通則法第23条第1項)。遺産分割など第32条の事由があるときは、事由を知った日の翌日から4か月以内の請求が別にある相続税の申告期限の計算

4. 還付はどう進み、還付加算金はいくら付きますか

払いすぎの更正の請求は、次の順に進みます。

  1. 更正の請求書を、納税地の所轄税務署長に出します。
  2. 税務署長が内容を調査し、更正をするか、更正をすべき理由がない旨を通知します(国税通則法第23条第4項)。
  3. 納め過ぎがあると認められると、減額の更正があり、税金が還付されます。更正の請求をした人に、その内容が通知されます(国税庁 No.2026)。
  4. 還付金は、請求書に書いた口座に振り込まれます。国税庁の記載要領は、振込みの口座は本人名義に限ると案内しています。

還付金には、還付加算金が付きます。国税通則法第58条は、還付金等を還付するときは、日数に応じ、その金額に年の割合を乗じて計算した金額を還付すべき金額に加算しなければならないと定めています。更正の請求に基づく更正で税額が減った場合は、加算が始まる日が決まっていて、更正の請求があった日の翌日から起算して3か月を経過する日と、更正があった日の翌日から起算して1か月を経過する日とのいずれか早い日の翌日から、還付の支払決定の日までが対象です(同条第1項第2号)。

還付加算金の割合(国税庁)

期間還付加算金特例基準割合
令和3年1月1日〜12月31日1.0%
令和4年1月1日〜令和7年12月31日(各年)0.9%
令和8年1月1日〜12月31日1.3%

法律上の上限は年7.3%で、各年の特例基準割合(銀行の新規の短期貸出約定平均金利に基づく割合に年0.5%を加算したもの)がそれより低いときは、その割合になります。

目安の計算は、還付額 × 年の割合 × 加算の対象日数 ÷ 365日です。たとえば、還付額が1,000万円で、令和8年の割合1.3%が1年間(365日)続いたとすると、加算金は約13万円です。割合は年ごとに変わり、対象日数は税務署の手続きの進み方で決まるので、実際の額は還付の通知で確かめてください。

5. 「相続税の還付金がある」と連絡が来たら、本物ですか

警察庁は、還付金詐欺を、税金還付等に必要な手続きを装って被害者にATMを操作させ、口座間送金により財産上の不法の利益を得る手口と説明しています。自治体、税務署、年金事務所の職員などと名乗り、医療費・保険料の過払い金や、一部未払いの年金があるなど、お金を受け取れるという内容で電話をかけてきます。「払い戻しには期限がある」と焦らせて、今すぐ携帯電話を持って近くのATMに向かうよう指示するのが典型です。

本物の相続税の還付と、還付金詐欺の違い

相続税の還付の流れ還付金詐欺の手口
きっかけ自分が更正の請求書や申告書を税務署に出す「還付金がある」という連絡が先に来る
受け取り方請求書に自分で書いた本人名義の口座に振り込まれる(国税庁の記載要領)「ATMで手続きができる」と、ATMの操作を指示される
急がせ方期限は法律で決まっている(法定申告期限から5年、事由を知った日の翌日から4か月)「払い戻しの期限が今日まで」と急がせる
結果減額更正のあと、還付金と還付加算金が振り込まれる指示どおりに操作すると、犯人の口座に送金される

警察庁は、ATMでお金が返ってくることは絶対にありません、と案内しています。被害を防ぐ方法として、知らない番号を着信拒否する、最寄りの警察署にかけ直して本物かを確認する、ATMではお金は受け取れないと知っておく、ATMの利用限度額を低く設定しておく、が挙げられています。不安を感じたときの相談先は、警察相談専用窓口の#9110と、消費者ホットラインの188です。

よくある質問

相続税の還付金とは、何のお金ですか?

払いすぎた相続税が戻るお金です。申告した税額が多すぎたときは更正の請求で、相続時精算課税で払った贈与税を相続税から引ききれないときは相続税の申告書で、還付を受けます。亡くなった人の所得税の準確定申告で戻る還付金は別のもので、相続税の申告では相続財産になります。

相続税の還付申告の期限は、いつまでですか?

相続時精算課税の贈与税額控除を引ききれない場合の還付を受けるための申告書は、相続開始の日の翌日から起算して5年を経過する日まで提出できます(国税庁「相続税の申告のしかた」)。払いすぎの更正の請求は、原則として法定申告期限から5年以内、遺産分割などの事由があったときはそれを知った日の翌日から4か月以内です。

還付加算金は、いくら付きますか?

還付額に年の割合を乗じて、日数に応じて計算した金額が加算されます(国税通則法第58条)。国税庁の公表では、令和8年の還付加算金特例基準割合は年1.3%です。更正の請求に基づく更正の場合は、請求の日の翌日から3か月を経過する日と、更正の日の翌日から1か月を経過する日のいずれか早い日の翌日から、支払決定の日までが対象です。

税理士に頼まないと、払いすぎは戻りませんか?

更正の請求書は、納税申告書を提出した本人が税務署長に出せます(国税通則法第23条)。税理士に頼むかは自分で決められます。評価や控除が当初のとおり正しければ、頼んでも戻りません。

「相続税の還付金がある」という電話やメールが来ました。どうすればよいですか?

警察庁は、ATMでお金が返ってくることは絶対にないと案内しています。指示された操作はせず、最寄りの警察署にかけ直して本物かを確認してください。相談先は、警察相談専用窓口の#9110と、消費者ホットラインの188です。

参考・出典

戻る税額と、更正の請求ができる期限は、計算ツールで確かめられます

更正の請求の期限と戻る税額を計算する →
運

相続税計算機 運営事務局

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