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家族信託の費用は、「契約書を作る専門家への報酬」と「公証役場・法務局に払う実費」に分かれます。この記事で確かめた公表料金では、専門家に契約書の作成を頼む報酬は、信託財産2,500万円の例で27.5万〜49.5万円(税込)です。実費は、公証人手数料が3.9万円、不動産を入れると登録免許税が加わります。預貯金2,000万円だけを信託する例の総額は、自分で手続きすると約3.9万円、専門家に頼むと約37万〜53万円。土地1,500万円・建物500万円(固定資産税評価額)の自宅と預貯金500万円(合計2,500万円)を信託する例では、自分で約10.4万円、専門家に頼むと約43万〜68万円です。ただし、弁護士や銀行の例には登記の司法書士報酬が入っていません。この記事では、費用の内訳、あなたの財産に当てはめた総額、頼む先ごとの料金表、自分でできる範囲を順に確かめます。
費用は5つに分かれます。専門家への報酬は事務所が決める額で、残りは法令や金融機関で額が決まります。
家族信託でかかる費用と、額の決まり方
| 費用 | 額の決まり方(原典) | 払い先 |
|---|---|---|
| 契約書の作成・信託の設計の報酬 | 事務所・銀行が料金表で決める。3つ目の節の表に並べた | 司法書士・弁護士・銀行 |
| 公証人手数料 | 公証人手数料令第9条の別表の額に、信託財産が1億円以下なら1万3,000円を加算(第22条の2)。原本が4枚(横書は3枚)を超えると、超える1枚ごとに300円(第25条) | 公証役場 |
| 登録免許税(不動産を入れる場合) | 所有権の信託の登記は不動産の価額の0.4%(登録免許税法別表第一)。土地は令和11年3月31日まで0.3%(租税特別措置法第72条) | 法務局(国) |
| 不動産の信託登記の司法書士報酬 | 司法書士法人あかつき総合法務事務所は8万8,000円(税込・不動産評価額5,000万円未満)、中下総合法務事務所は11万円(税込) | 司法書士 |
| 信託口口座の手数料 | 銀行ごとに違う。京葉銀行は11万円(税込)、北九州銀行は5万5,000円(税込)、三井住友信託銀行は無料 | 銀行 |
出典:各列の原典は末尾の参考・出典。登録免許税の税率は、e-Gov の原文(2026年10月27日確認)で確かめました。
公証人手数料のもとになる別表は、1億円以下の区分で次のとおりです(日本公証人連合会のページ)。
公証人手数料令第9条別表(法律行為に係る証書作成の手数料)
| 目的の価額 | 手数料 |
|---|---|
| 50万円以下 | 3,000円 |
| 50万円を超え100万円以下 | 5,000円 |
| 100万円を超え200万円以下 | 7,000円 |
| 200万円を超え500万円以下 | 1万3,000円 |
| 500万円を超え1,000万円以下 | 2万円 |
| 1,000万円を超え3,000万円以下 | 2万6,000円 |
| 3,000万円を超え5,000万円以下 | 3万3,000円 |
| 5,000万円を超え1億円以下 | 4万9,000円 |
1億円を超える区分は、日本公証人連合会のページにあります。信託の公正証書は、この額に1万3,000円が加算されます(信託財産が1億円を超えるときを除く)。
登録免許税は、不動産を信託したときに、信託の登記で納める税金です。土地の0.3%という軽減税率は、租税特別措置法第72条の原文で令和11年3月31日までの登記に適用されます。預貯金だけを信託するなら、登録免許税も登記の報酬もかかりません。
2つの財産の例で、頼み方ごとの総額を計算しました。1つ目は預貯金2,000万円だけ、2つ目は土地1,500万円・建物500万円(固定資産税評価額)の自宅と預貯金500万円(合計2,500万円)です。金額は税込で、万円単位に直しています。
頼み方ごとの総額(各社の料金表から本サイトが計算した例)
| 頼み方 | 預貯金2,000万円だけ | 自宅+預貯金(合計2,500万円) |
|---|---|---|
| 自分で手続きする | 3.9万円(公証人手数料) | 10.4万円(公証人手数料3.9万+登録免許税6.5万) |
| 司法書士法人あかつき総合法務事務所 | 42.4万円(報酬38.5万+公証人手数料3.9万) | 57.7万円(報酬38.5万+登記報酬8.8万+登録免許税6.5万+公証人手数料3.9万) |
| 中下総合法務事務所(司法書士) | 47.9万円(報酬44万+公証人手数料3.9万) | 68.15万円(報酬46.75万+登記報酬11万+登録免許税6.5万+公証人手数料3.9万) |
| 瀬合パートナーズ(弁護士法人) | 36.9万円(報酬33万+公証人手数料3.9万) | 43.4万円+登記の司法書士報酬(報酬33万+登録免許税6.5万+公証人手数料3.9万) |
| 川崎相続遺言法律事務所(弁護士) | 53.4万円(着手金16.5万+報酬金33万+公証人手数料3.9万) | 59.9万円+登記の司法書士報酬(着手金16.5万+報酬金33万+登録免許税6.5万+公証人手数料3.9万) |
| 京葉銀行(家族信託サポート) | 42.4万円(サポート27.5万+口座開設11万+公証人手数料3.9万) | 48.9万円+登記の司法書士報酬(サポート27.5万+口座開設11万+登録免許税6.5万+公証人手数料3.9万) |
公証人手数料は、信託財産の価額を公証人手数料令の別表の目的の価額に当てはめ、1万3,000円を加えた額(枚数による加算・正本謄本の交付手数料・戸籍や評価証明書などの取得費は含みません)です。実際の目的の価額は公証人が決めます。自分で手続きする例は、登記も自分で申請し、報酬がかからない場合の額です。あかつき総合法務事務所は、自宅と預貯金500万円の例を、公証人手数料などを加えて総額58万〜62万円程度と試算しています。
預貯金だけなら、専門家に頼む場合の総額は約37万〜53万円です。自宅を入れると、登記の報酬と登録免許税が加わり、約43万〜68万円(弁護士・銀行の例は登記の司法書士報酬が別)になります。報酬の計算が信託財産の額に連動する中下総合法務事務所や川崎相続遺言法律事務所は、財産が増えるほど差が開きます。
建物は登録免許税が0.4%で、土地の0.3%より高くなります。土地の評価額が同じでも、建物が大きい家は税額が増えます。評価額は、毎年の固定資産税の通知書や評価証明書で確かめられます。
公表されている料金表を、頼む先ごとに並べます。何が報酬に含まれ、何が別料金かを見てください。
家族信託の公表料金(頼む先ごと)
| 頼む先 | 公表されている報酬 | 含まれるもの・別料金になるもの |
|---|---|---|
| 司法書士法人あかつき総合法務事務所 | 家族信託お任せパック(信託財産3,000万円以下)38.5万円(税込)。不動産の登記は8.8万円(税込) | 契約書の原案作成、公証役場とのやり取り、信託口口座の開設支援を含む。不動産の登記報酬と実費は別 |
| 中下総合法務事務所(司法書士) | 信託財産の評価額×0.55%+33万円(税込)。不動産の所有権移転と信託登記は11万円(税込) | 登録免許税・公証役場の手数料などの実費は別 |
| 司法書士法人サインポスト | 契約書作成・コンサルティング35万円〜(不動産・自社株なし)、45万円〜(あり)(税抜) | 登録免許税・公正証書化の費用などの実費は別 |
| 瀬合パートナーズ(弁護士法人) | 信託財産の評価額が3,000万円以下で33万円、3,000万円超1億円以下は評価額の1.1%(税込) | 信託契約書の作成、信託口口座の開設・融資に関する金融機関との交渉を含む。費用は見積り |
| 川崎相続遺言法律事務所(弁護士) | 着手金16.5万円+報酬金(信託財産1億円以下の部分の1.1%、最低33万円)(税込) | 不動産の登記、公正証書の作成、税理士の関与は、別途報酬や税金・実費がかかる場合がある |
| 京葉銀行(家族信託サポート) | 新規27.5万円(税込)。口座開設手数料は11万円(税込) | 信託財産は現金、または現金と自宅のみ。司法書士の手数料・公証役場の手数料は別 |
| 北九州銀行(民事信託サポート) | コンサルティング料は金銭の信託5.5万円、不動産等の信託11万円〜(税込)。口座開設手数料5.5万円 | 信託契約書の作成は、紹介する専門家に別途報酬を払う |
| 三井住友信託銀行(信託口口座) | 信託口口座に関する費用は無料 | 信託契約の作成や信託事務の引き受けは行わない。申し込みは専門家を通じてのみで、公正証書の契約に限る。原則、預かり残高3,000万円以上の人が対象 |
| 家族信託の「おやとこ」(株式会社こころのカンパニー) | 初期費用は最低23.1万円(税込)〜。信託財産1億円までは1.1%。信託契約の締結後の継続サポートは月額2,728円(税込)〜 | 契約書の作成は弁護士、登記は司法書士が担当し、それぞれ別途費用がかかる。オプション価格がかかる場合があり、見積りは無料相談で出される |
出典:各事務所・銀行・事業者の公表ページ(2026年10月27日確認。京葉銀行は2026年9月1日現在のガイド)。税込・税抜は各社の表示のままです。事務所によって、報酬に含める作業が違うため、金額だけでは比べられません。
銀行は、頼み方が3つに分かれます。京葉銀行のように、銀行が契約案の文書化から公証役場への同行まで行うところがあります。北九州銀行のように、専門家を紹介して契約書の作成はその専門家に払うところもあります。三井住友信託銀行は、契約書を作らず、信託口口座だけを受け付けます。銀行の料金だけを見て「安い」と決めると、あとで契約書の報酬が別に出ることがあります。
家族信託の仕組みやメリット・デメリットは家族信託の仕組みとメリット・デメリットにまとめています。遺言のほうの公証人手数料は公正証書遺言の費用にあります。
法律の上では、できます。信託法第3条第1号は、財産を託す人と託される人が「信託契約」を結ぶ方法を定めていて、公正証書にすることを要件には書いていません。ただし、実務では次の3点が壁になります。
自分で手続きするときの条件
| 場面 | 原典に書かれていること | 自分で進めるときの影響 |
|---|---|---|
| 公正証書にするか | あかつき総合法務事務所は、公正証書にしなければ成立しないわけではないが、信託口口座を開く金融機関から公正証書の提出を求められることがあると書いている | 口座を開く金融機関に、先に条件を確かめる |
| 信託口口座を開くか | 三井住友信託銀行は、信託口口座の申し込みを専門家(弁護士・司法書士・行政書士・税理士・公認会計士)を通じてのみ受け付け、公正証書の信託契約に限り、契約内容を事前に確認して開設できない場合もあると書いている | 自分で作った契約書では、この銀行の信託口口座は開けない |
| 不動産を入れるか | 信託法第14条は、登記や登録をしなければ権利の得喪を第三者に対抗できない財産(不動産など)は、信託の登記や登録をしなければ、信託財産であることを第三者に対抗できないと定めている | 不動産を入れるなら、信託の登記が要る。登録免許税のほか、自分で申請するか、司法書士に頼むかを決める |
前の節の例で、自宅と預貯金2,500万円を信託する場合、自分で手続きすると約10.4万円、あかつき総合法務事務所に頼むと57.7万円で、差は約47万円です。この差が、契約書の設計と登記・口座の手続きを専門家に任せる値段です。
自分で進めるなら、公証役場に相談する方法があります。日本公証人連合会のページには、公証業務に関する相談は無料と書かれています。契約書の内容(誰を受託者にするか、いつ終わるか、受託者が先に亡くなったらどうするか)は、家族の事情で決まります。迷う点が多いときは、見積りだけ先に取って、頼む範囲を絞る方法もあります。
報酬の額より先に、次の5点を見積りの前に確かめてください。
財産が預貯金だけで、受託者が決まっていて、家族の同意も取れているなら、自分で手続きする余地があります。自宅を入れる、収益物件がある、家族の合意に不安がある、といった場合は、専門家に頼む費用を前提に、見積りの比べ方を決めてください。
公表料金から計算した例では、預貯金2,000万円だけを信託すると、自分で手続きして約3.9万円、専門家に頼んで約37万〜53万円です。自宅を含む2,500万円では、自分で約10.4万円、専門家に頼んで約43万〜68万円(弁護士・銀行は登記の司法書士報酬を除く)です。実際の額は、財産の内容と頼む先の見積りで変わります。
公証人手数料令の別表の額に、信託財産が1億円以下なら1万3,000円が加算されます(第22条の2)。信託財産の価額が1,000万円超3,000万円以下の例なら、別表の2万6,000円に1万3,000円を足して3万9,000円です。原本の枚数による加算は別です。
所有権の信託の登記は、不動産の価額の0.4%です(登録免許税法別表第一)。土地は令和11年3月31日まで0.3%です(租税特別措置法第72条)。固定資産税評価額が土地1,500万円、建物500万円なら、4.5万円と2万円で合計6.5万円です。
安くなるとは限りません。京葉銀行は新規27.5万円と口座開設11万円で、司法書士の手数料や公証役場の手数料は別です。三井住友信託銀行は信託口口座が無料ですが、契約書は作らず、専門家を通じた申し込みと公正証書の契約が条件です。
信託法第3条第1号は信託契約の成立に公正証書を要件としていません。ただし、三井住友信託銀行の信託口口座は、専門家を通じた申し込みと公正証書の信託契約に限っています。不動産を入れるなら、信託法第14条により信託の登記が必要です。
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