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亡くなった人の貸金庫は、銀行に相続を届け出て、相続人全員の署名・実印と戸籍謄本・印鑑登録証明書などを出したうえで、契約している店舗で開けて解約するのが基本です。三井住友銀行と三菱UFJ銀行の案内は、どちらも相続人全員の署名・捺印(実印)を求めています。りそな銀行は、貸金庫の手続きを取引店への来店に限っています。全員の署名がそろわないまま中身だけ確かめたいときは、公証人に貸金庫を開けて中身を点検・確認してもらう「事実実験公正証書」という方法があります(日本公証人連合会)。この記事では、銀行の案内の原文、手順、事実実験公正証書の費用、遺言執行者がいるとき、開ける前後の注意を順に書きます。中身にかかる相続税は貸金庫の中身と相続税に書きました。
貸金庫は、銀行と契約した本人(借主)が使う設備で、遺産の一部として相続人が引き継ぎます。相続人が数人いるときは、遺産は相続人全員の共有になります(民法第898条第1項)。銀行の案内も、全員の署名を求める形になっています。
銀行の案内(2026年10月28日に公式ページで確認)
| 銀行 | 貸金庫の手続き先 | 全員の署名・実印 | 出すもの |
|---|---|---|---|
| 三井住友銀行 | 貸金庫の契約がある店舗。鍵・カードを持って来店 | 「相続に関する依頼書」に、すべての相続人が署名・捺印(実印) | 亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、すべての相続人の戸籍抄本または謄本(いずれも発行から1年以内)、すべての相続人の印鑑登録証明書(発行から6か月以内)、キャッシュカード、貸金庫の鍵・カード |
| 三菱UFJ銀行 | 相続の手続きで、必要書類に「貸金庫の鍵など」を含めて提出 | 遺言書も遺産分割協議書もない共同相続では、相続届に法定相続人の全員が署名・捺印(実印) | 戸籍謄本等、法定相続人全員の印鑑証明書(発行から6か月以内)、通帳・キャッシュカード・貸金庫の鍵など(原本) |
| りそな銀行 | 貸金庫の手続きは、必ず取引店への来店が必要 | 来店時に実印を持参 | 相続手続の必要書類(遺言・遺産分割協議の有無で異なる) |
三井住友銀行の案内は2023年1月更新の表示、三菱UFJ銀行の貸金庫規定は2026年10月1日現在です。ほかの銀行は、契約している銀行の案内で確かめてください。書類は、遺言書や遺産分割協議書の有無で変わります。
三菱UFJ銀行の貸金庫規定は、借主は申し出ればいつでも解約でき、その場合はカード・正鍵・届出の印章を持参して所定の手続きをするとしています。また、借主について相続の開始があったときは、銀行のほうからいつでも契約を解約できるとも定めています(第13条)。解約したら、貸金庫は直ちに明け渡します。
預金口座の凍結解除と払い戻しは貸金庫とは別の手続きです。相続した預金口座の凍結解除と払い戻しと、銀行別の金融機関別 預貯金の相続手続きに書きました。
自分に近い行から見てください。右の列に、次に読む節を書きました。
状況ごとの、進め方
| あなたの状況 | 進め方 | 読む節・記事 |
|---|---|---|
| 相続人全員が協力できる | 全員の戸籍と印鑑登録証明書をそろえ、全員が署名・実印で銀行に提出して、契約店で開ける | 「手順」の節 |
| 連絡のつかない相続人がいて、署名がそろわない | 銀行の手続きは全員の署名が前提。連絡先が分からない相続人への対応は裁判所の手続になる。中身の確認だけなら公証人の方法がある | 「相続人の一部だけで」の節、裁判所の家事事件Q&A |
| 遺言書があり、遺言執行者が決まっている | 遺言執行者が相続財産の管理や遺言の執行をする。銀行へは執行者の書類を出す | 「遺言執行者」の節 |
| 鍵やカードが見つからない | 銀行所定の手続きで開閉できる場合がある。期間や費用がかかる | 下のよくある質問 |
| 貸金庫があるかどうか分からない | 鍵・カード、通帳の引き落とし欄、銀行からの郵便物を探す。貸金庫の使用料は預金口座から引き落とされる | 「手順」の節 |
| 中身だけ確認して、貸金庫は使い続けたい | 三井住友銀行の案内では、いったん解約して新たに契約する | 「開ける前後の注意」の節 |
| 遺言書が出てくるかもしれない | 封印のある遺言書は家庭裁判所で開封する | 「遺言執行者」の節 |
書類をそろえる作業が重いときは、相続手続きを頼むという選び方もあります。費用の相場は相続手続きの代行費用の相場にあります。
全員の署名がそろわない、連絡がつかない、他の相続人が中身を明かさない。そのようなときの方法の一つが、公証人が貸金庫の開披に立ち会い、中身を点検・確認して公正証書にする「事実実験公正証書」です。日本公証人連合会は、相続人から依頼を受け、相続財産を把握するために、亡くなった人名義の銀行の貸金庫を開けて内容物を点検・確認する事実実験公正証書を作る場合があると説明しています。
事実実験公正証書(日本公証人連合会の説明)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 何ができるか | 公証人が五感で直接体験した事実に基づいて公正証書を作る。貸金庫の中身を点検・確認した結果を、証拠として残せる |
| 手数料 | 事実実験に要した時間と証書作成に要した時間の合計について、1時間までごとに1万3000円。休日や午後7時以降の事実実験は、手数料の10分の5が加算される |
| 進め方 | どのように実施し、どのような内容の公正証書を作るかは、依頼する公証人と事前に十分に打合せをする |
| 証明力 | 原本は公証役場に保存され、公務員である公証人が作った公文書として高度の証明力がある |
他の相続人に黙って開けて、中身を持ち出すのはやめてください。遺産の使い込みを疑われる元になります(遺産を使い込まれたらどうする?)。
遺言執行者がいるときは、遺言執行者が、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を持ちます(民法第1012条第1項)。遺言執行者がいる場合、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げる行為ができません(第1013条第1項)。貸金庫の中身を相続人が勝手に処分するのは避けてください。
遺言書の有無と、貸金庫の手続き
| 場面 | 銀行の案内 |
|---|---|
| 遺言書があり、遺言執行者がいる | 三菱UFJ銀行の必要書類の案内では、遺言執行者の手続きの書類にも「貸金庫の鍵など」が入っている |
| 手続きする人が相続人以外(遺言執行者など) | 三井住友銀行の案内では、追加で提出する書類がある。窓口に問い合わせる |
| 遺言書がある | 三井住友銀行の貸金庫の案内では、遺言書がある場合は事前に問い合わせる |
遺言書を見つけた相続人は、遅滞なく家庭裁判所に提出して検認を請求します。封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人が立ち会わなければ開封できません(民法第1004条第1項・第3項)。公正証書による遺言には検認は要りません(同条第2項)。検認の窓口は家庭裁判所別 遺言書の検認・相続放棄の申立て先にあります。法務局の自筆証書遺言書保管制度を使った遺言書も、検認は不要です(遺言書は法務局で預かってもらえる?)。
確認した三井住友銀行と三菱UFJ銀行の案内は、相続人全員の署名・捺印(実印)を求めています。りそな銀行は、取引店への来店と実印を求めています。一人で開けられるかは、銀行の規定や案内によります。確認した案内からは、一部の相続人だけに開ける取扱いは確認できませんでした。契約店に先に聞いてください。
三井住友銀行の案内では、鍵を紛失した場合は別途手数料がかかります。三菱UFJ銀行の貸金庫規定では、銀行所定の手続きをしたうえで開閉でき、手続の完了まで相当の期間をおくことがあります。正鍵を失ったときは錠前の取替えに要する費用がかかります。
三井住友銀行の案内では、いったん契約を解約したうえで、新たに契約の手続きをします。新たな契約者の取引印なども必要です。ほかの銀行は、確認した案内に書かれていませんでした。
日本公証人連合会の説明では、事実実験に要した時間と証書作成に要した時間の合計について、1時間までごとに1万3000円です。休日や午後7時以降は手数料の10分の5が加算されます。開披の日時や進め方は、公証人と事前に打ち合わせます。
封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人が立ち会わなければ開封できません。遅滞なく家庭裁判所に提出して検認を請求します(民法第1004条)。公正証書遺言は検認が要りません。
貸金庫の手続きそのものに、法令が定めた期限は見つけられませんでした。ただし三菱UFJ銀行の貸金庫規定は、借主に相続の開始があったとき、銀行がいつでも契約を解約できると定めています。中身に相続税がかかるものがあれば、申告期限は10か月、相続放棄を考えるなら3か月なので、早めに中身を確かめると選べる幅が広がります。
貸金庫の中身を含めた遺産にかかる相続税は、先に計算機で確かめられます
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