相続税の申告期限は「死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内」です
手続き 2026年5月5日 読了 約8分

相続した預金口座の凍結解除と払い戻し手続き【銀行ごとの必要書類】

家族が亡くなると、銀行口座は「凍結」され、ATMや窓口での引き出しができなくなります。 葬儀費用・当面の生活費が必要なのに口座が使えない——この問題を解決するために 2019年の法改正で「遺産分割前の払い戻し制度」が新設されました。 この記事では口座凍結の仕組みから手続き完了までを解説します。

1. 口座凍結の仕組みと時期

銀行口座の凍結は法律で義務付けられているわけではありませんが、 金融機関が預金者の死亡を知った時点で、相続手続きが完了するまでの間、 引き出し・振込・自動引き落としなどをすべて停止する運用が一般的です。 国税庁の統計によると、2022年に相続税の申告があった被相続人は約15万人で、課税された割合は死亡者全体の約9.6%です。

凍結のタイミングは「金融機関が死亡を知ったとき」です。 家族が連絡した場合はすぐに凍結されますが、 連絡しなければ新聞の訃報欄・役所からの通知などで知るまで凍結されないこともあります。

死亡前の引き出しは問題になる場合あり: 亡くなる直前に「後で使うため」と大きな金額を引き出すと、 税務調査で「名義預金」や「生前贈与」として指摘されることがあります。 引き出した場合は使途の記録を残しておくことが重要です。

2. 2019年改正:遺産分割前の払い戻し制度

2019年7月施行の改正民法により、相続人は遺産分割が完了していなくても、 一定額まで預金を払い戻せる制度が新設されました(民法909条の2)。

払い戻せる上限 = 口座残高 × 1/3 × 法定相続分

ただし1金融機関あたり150万円が上限

払い戻し上限の計算例

口座残高900万円
相続人配偶者・子2人(配偶者の法定相続分1/2)
配偶者が払い戻せる額900万円 × 1/3 × 1/2 = 150万円

この払い戻しには遺産分割協議書は不要ですが、 戸籍謄本など相続人であることを証明する書類は必要です。

3. 口座凍結解除の手続きと必要書類

遺産分割協議書が整った後、正式に口座の凍結解除・残高全額の払い戻しを行う場合の手順です。

  1. 金融機関の相続窓口に「相続発生の連絡」をする
  2. 金融機関所定の相続届(遺産整理依頼書)を取り寄せる
  3. 必要書類を揃えて窓口に提出する
  4. 審査・確認後、払い戻し・名義変更が完了

一般的に必要な書類

書類取得先・備考
被相続人の戸籍謄本(出生〜死亡)本籍地の市区町村
相続人全員の戸籍謄本各人の本籍地の市区町村
遺産分割協議書相続人全員の署名・実印
相続人全員の印鑑証明書各人の住所地の市区町村
払い戻しを受ける相続人の通帳・届出印払い戻し先の口座情報
法定相続情報一覧図の活用: 法務局で発行してもらえる「法定相続情報一覧図」(無料)を使えば、 複数の金融機関で戸籍謄本の束を何度も提出する手間が省けます。 相続人が多い・口座が多い場合に特に便利です。

4. 複数の銀行口座がある場合の効率的な手順

複数の銀行口座がある場合、それぞれの金融機関ごとに手続きが必要です。 書類を効率よく準備するためのポイントを紹介します。

5. タンス預金・郵便貯金・外貨預金の扱い

タンス預金

自宅に保管していた現金は、相続税の課税財産です。 申告漏れは税務調査で指摘されやすいため、金額を正確に把握・申告してください。 なお、タンス預金には「口座凍結」はありませんが、相続人間の分割についての合意が必要です。

郵便貯金(ゆうちょ銀行)

ゆうちょ銀行の相続手続きは窓口専用です。 「相続確認表」を提出して手続きを開始し、書類確認後に専用の相続手続き書類が送付されてきます。 完了までに2〜3か月かかることもあります。

外貨預金

外貨預金は死亡日の対顧客直物電信買相場(TTB)で円換算して相続税を計算します。 払い戻しは円換算または外貨のままで受け取れますが、為替レートの変動リスクがあります。

6. 証明書取得の費用と相続手続き代行サービス

証明書取得費用の目安

書類費用(1通)
戸籍謄本(現在戸籍)450円
除籍謄本・改製原戸籍謄本750円
印鑑証明書300円
住民票の除票300円程度
法定相続情報一覧図(認証付き)無料(法務局)

相続手続きの代行サービスは銀行・信託会社・司法書士事務所などが提供しています。 費用は財産額の0.5〜1%程度が多く、複数金融機関を一括で対応してもらえる利便性があります。

申告期限に間に合わせること: 預金の払い戻し手続きが完了していなくても、相続税の申告・納税は 死亡から10か月以内に行わなければなりません。 納税資金が口座から引き出せない場合は、早めに税理士・金融機関に相談してください。

参考・出典

相続財産の総額を把握して、申告期限までのスケジュールを確認しましょう

相続税を無料で計算する →

相続税計算機 運営事務局

本サイトは個人が運営する情報提供サイトです。相続税申告・遺産分割・生前対策について、国税庁・法務省・裁判所などの公開情報をもとに記事を編集・公開しています。お問い合わせは お問い合わせフォーム よりお願いします。