家族が亡くなると、銀行口座は「凍結」され、ATMや窓口での引き出しができなくなります。 葬儀費用・当面の生活費が必要なのに口座が使えない——この問題を解決するために 2019年の法改正で「遺産分割前の払い戻し制度」が新設されました。 この記事では口座凍結の仕組みから手続き完了までを解説します。
銀行口座の凍結は法律で義務付けられているわけではありませんが、 金融機関が預金者の死亡を知った時点で、相続手続きが完了するまでの間、 引き出し・振込・自動引き落としなどをすべて停止する運用が一般的です。 国税庁の統計によると、2022年に相続税の申告があった被相続人は約15万人で、課税された割合は死亡者全体の約9.6%です。
凍結のタイミングは「金融機関が死亡を知ったとき」です。 家族が連絡した場合はすぐに凍結されますが、 連絡しなければ新聞の訃報欄・役所からの通知などで知るまで凍結されないこともあります。
2019年7月施行の改正民法により、相続人は遺産分割が完了していなくても、 一定額まで預金を払い戻せる制度が新設されました(民法909条の2)。
払い戻せる上限 = 口座残高 × 1/3 × 法定相続分
ただし1金融機関あたり150万円が上限
払い戻し上限の計算例
| 口座残高 | 900万円 |
| 相続人 | 配偶者・子2人(配偶者の法定相続分1/2) |
| 配偶者が払い戻せる額 | 900万円 × 1/3 × 1/2 = 150万円 |
この払い戻しには遺産分割協議書は不要ですが、 戸籍謄本など相続人であることを証明する書類は必要です。
遺産分割協議書が整った後、正式に口座の凍結解除・残高全額の払い戻しを行う場合の手順です。
一般的に必要な書類
| 書類 | 取得先・備考 |
|---|---|
| 被相続人の戸籍謄本(出生〜死亡) | 本籍地の市区町村 |
| 相続人全員の戸籍謄本 | 各人の本籍地の市区町村 |
| 遺産分割協議書 | 相続人全員の署名・実印 |
| 相続人全員の印鑑証明書 | 各人の住所地の市区町村 |
| 払い戻しを受ける相続人の通帳・届出印 | 払い戻し先の口座情報 |
複数の銀行口座がある場合、それぞれの金融機関ごとに手続きが必要です。 書類を効率よく準備するためのポイントを紹介します。
自宅に保管していた現金は、相続税の課税財産です。 申告漏れは税務調査で指摘されやすいため、金額を正確に把握・申告してください。 なお、タンス預金には「口座凍結」はありませんが、相続人間の分割についての合意が必要です。
ゆうちょ銀行の相続手続きは窓口専用です。 「相続確認表」を提出して手続きを開始し、書類確認後に専用の相続手続き書類が送付されてきます。 完了までに2〜3か月かかることもあります。
外貨預金は死亡日の対顧客直物電信買相場(TTB)で円換算して相続税を計算します。 払い戻しは円換算または外貨のままで受け取れますが、為替レートの変動リスクがあります。
証明書取得費用の目安
| 書類 | 費用(1通) |
|---|---|
| 戸籍謄本(現在戸籍) | 450円 |
| 除籍謄本・改製原戸籍謄本 | 750円 |
| 印鑑証明書 | 300円 |
| 住民票の除票 | 300円程度 |
| 法定相続情報一覧図(認証付き) | 無料(法務局) |
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