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相続で揉める最大の構造的な理由は、民法が相続分を「割合」でしか決めていないことです。誰がどの財産を取るかは、相続人全員の協議で具体的に決めなければなりません。協議がまとまらず家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件は、令和6年に終局したものだけで15,379件ありました。当事者が2〜3人の事件は調停が成立した割合が55.2%、5人以上では21.1%で、人数が増えるほど調停で終わりにくくなっています。原因の全体像と、数字から読めることを整理します。
司法統計から出せるのは、話し合いがつかず家庭裁判所に来た件数までです。令和6年の遺産分割事件(遺産分割の調停・審判)で、終局したのは全国で15,379件でした。相続全体の件数は、この統計には載っていないため、「相続の何割が揉める」とは言えません。裁判所に来る前に当事者だけで決着した相続や、揉めたまま放置されている相続も、この件数には入っていません。
この記事では、15,379件の中身から、どんな相続が決着しにくいのかを見ます。
同連合会のページには、「少しでも多く、少しでも良いものを取りたいというのが人情なので、協議をまとめるのは、必ずしも容易なことではありません」とあります。
令和6年の遺産分割事件を、終局時の当事者の数で分けると、人数が増えるほど、調停が成立する割合が下がり、調停に代わる審判で終わる割合が上がります。
遺産分割事件の終局区分(当事者の数別・令和6年・全家庭裁判所)
| 当事者の数 | 終局件数 | 調停成立 | 調停に代わる審判 | 取下げ |
|---|---|---|---|---|
| 2人 | 4,618件 | 58.1% | 16.1% | 14.8% |
| 3人 | 4,247件 | 52.1% | 21.9% | 16.1% |
| 4人 | 2,286件 | 43.4% | 31.1% | 16.1% |
| 5人 | 1,217件 | 36.1% | 38.4% | 15.5% |
| 6人 | 701件 | 25.2% | 51.4% | 12.6% |
| 7人 | 490件 | 21.8% | 54.7% | 15.3% |
| 8〜10人 | 815件 | 14.4% | 69.2% | 10.2% |
| 10人を超える | 1,003件 | 5.1% | 76.9% | 11.8% |
最高裁判所の司法統計年報(令和6年)第46表の件数から割合を計算しました。終局時の当事者が1人の事件は計上されていません。認容・却下などは表から省いたため、各行の合計は100%になりません。
2〜3人の事件の合計(8,865件)では、調停成立が55.2%、調停に代わる審判が18.9%です。5人以上の合計(4,226件)では、調停成立が21.1%、調停に代わる審判が57.5%になります。
相続人が多いのは、代襲相続(孫が相続人になる)や、兄弟姉妹が相続人になる場合で起きやすい形です。誰が相続人かは、戸籍で確かめます(相続手続きの必要書類一覧)。
遺産分割事件のうち、調停が成立するか認容された7,974件について、特別受益が考慮されたかを見た表があります。
この表は、共同相続人の中に民法第903条の特別受益者がいて、遺産の分割にあたってその特別受益分が考慮された事件を「有」に数えたものです(司法統計年報の注記)。決着した事件の8%程度では、生前の贈与や遺贈が分け方に反映されたことになります。
特別受益や寄与分は、証拠の有無で主張が通るかが変わります。通帳の記録、振込の日付、介護の記録は、争いになってから集めると難しくなります。主張するつもりがあるなら、早い段階から保存しておくと使いやすくなります(筆者の整理です)。
日本公証人連合会のページは、遺言で、たとえば「妻には自宅と○万円、長男にはマンションと□万円」というように具体的に決めておけば、遺言に基づいて相続手続をスムーズに行え、争いを未然に防げると説明しています。同時に、遺留分侵害額請求があれば紛争は残る、とも書いています。
遺言の書き方は自筆証書遺言の書き方、費用は公正証書遺言の費用で整理しています。遺言で全財産を1人に渡すと何が起きるかは、「全財産を長男に相続させる」遺言の記事を見てください。
令和6年に終局した遺産分割事件のうち、当事者が2人の事件は4,618件ありました。調停成立は58.1%です。2人でも、分け方の意見が割れれば裁判所に持ち込まれます。
調停が成立しない場合に、家庭裁判所が事情を考慮して審判で結論を出すものです。裁判所の公式ページには、調停が不成立になった場合は自動的に審判手続が開始されると書かれています。
民法第907条第1項は、共同相続人はいつでも、協議で遺産の全部または一部の分割ができると定めています。全員が合意すれば、遺産分割協議書にまとめて手続を進められます。この統計は、協議がまとまらず家庭裁判所に来た事件だけの数字です。
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