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相続税を納期限(死亡を知った日の翌日から10か月)までに納めないと、本来の税金のほかに延滞税が日割りでかかり、督促状が届き、それでも納めなければ差押えなどの滞納処分に進みます(国税庁 No.4205・No.9205、国税通則法第37条・第40条・第60条)。ただし、納期限の前に「払えない」と分かった時点で使える手段があります。延納(分割払い)・物納(財産での納付)・換価の猶予・不動産などを売って払うの4つです。払えなくても、申告は期限までに出します。申告をしないと、納める税金とは別に加算税がかかる場合があります(国税庁 No.4205)。この記事では、払えないとどうなるかを時系列で、自分に近い状況、4つの手段の違い、相続人が複数のときの連帯納付の責任を、国税庁と e-Gov の原文で整理します。
期限を過ぎたときの流れは、国税庁の案内と法令の原文では次の順です。
納期限を過ぎてからの流れ
| いつ | 起きること | 根拠 |
|---|---|---|
| 納期限(死亡を知った日の翌日から10か月。土・日曜日・祝日等に当たるときは翌日) | 申告と納税の期限です。申告しなかった、または少なく申告した場合は、本来の税金のほかに加算税や延滞税がかかる場合があります | 国税庁 No.4205 |
| 納期限の翌日から | 延滞税が日割りで自動的にかかります。納期限の翌日から2か月を経過する日までは年2.8%、それ以後は年9.1%です(令和8年1月1日から12月31日までの期間)。延滞税は本税だけにかかり、加算税には課されません | 国税庁 No.9205、国税通則法第60条 |
| 納期限から50日以内 | 税務署長が、督促状で納付を督促します。督促状は、別段の定めがある場合を除き、納期限から50日以内に発するものとされています | 国税通則法第37条 |
| 督促状を発した日から10日を経過しても完納しない | 滞納処分に進みます。国税徴収法は、この場合に徴収職員が滞納者の財産を差し押えなければならないと定めています | 国税通則法第40条、国税徴収法第47条第1項第1号 |
納期限を過ぎて納付も相談もない場合は、国税局(所)が電話や文書で納税催告を行うほか、滞納処分を行うことになる、と国税庁の納税に関する総合案内にあります。完納するまでは、納税証明書(その3)で「未納の税額がないことの証明」も受けられません。
延滞税の重さは、納めるまでの日数で決まります。納めるべき相続税が1,000万円の場合の、1年分の目安は次のとおりです。
相続税1,000万円を、1年間払えなかった場合の目安
| 場合 | 1年分の目安 |
|---|---|
| 納めないまま1年が過ぎた(延滞税) | 約80万円。納期限の翌日から2か月を61日として年2.8%、残りの304日を年9.1%で計算した概算です |
| 延納を許可された(利子税) | 約6万円。不動産等に係る税額で不動産等の割合が75%以上の区分は、年0.6%です。元本を返すにつれて下がります |
令和8年の割合で計算した概算です。割合は毎年変わります(国税庁 No.9205・No.4211)。延納には、担保などの要件と税務署長の許可が要ります。
期限に遅れて税額が増えるのを防ぐ手段が、次の「払えないときの手段」です。どれも、納期限までに申請するものが中心です。
自分に近い行から見てください。
払えない事情ごとの、考えられる手段
| あなたの状況 | 考えられる手段 | 次に読む記事 |
|---|---|---|
| 預貯金は少ないが、売れる不動産がある。期限までに間に合いそう | 不動産などを売って納めます。売ったときの譲渡所得の税金は別にかかります | 不動産を売って相続税を払う |
| 遺産の大半が、住み続ける自宅や土地で、売れない・売りたくない | 延納で年払いにします。それでも難しいときは物納です | 相続税の延納と物納の要件と手続き |
| 遺産の分け方が決まらないまま、期限が近い | 分割されていなくても、期限は延びません。民法の相続分で分けたものとして計算し、申告と納税をします。後で分割が決まったら、修正申告か更正の請求です(国税庁 No.4208) | 遺産が未分割のまま相続税を申告する方法 |
| すでに納期限を過ぎてしまった | 納めるのが早いほど延滞税は少なくなります。納付が困難なときは、督促が来る前に、所轄の税務署の徴収担当に納付相談をします(国税庁 納税に関する総合案内) | この記事の続き |
| 相続人の1人だけが払えない | 他の相続人に連帯納付の責任が及ぶ場合があります(相続税法第34条) | この記事の続き |
| 親が存命で、今のうちに備えたい | 納税資金の見込みを立てます | 相続税が払えない理由と、亡くなる前にできる準備 |
期限そのものが分からないときは、相続税の申告期限計算ツールで日付を確かめられます。
払えないときの手段の比較
| 手段 | 内容 | 申請の時期 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 不動産などを売って払う | 売却代金で納めます。売却益に所得税などがかかる場合があります | 売却が納期限に間に合うかで決まります。間に合わないときは延納の申請も、納期限までに出します | 国税庁 No.4211 |
| 延納 | 相続税額が10万円を超え、金銭で納付することが困難な事由がある場合に、担保を出して年払いにします。延納期間中は利子税がかかります | 納期限(申告期限)までに、延納申請書を税務署長に出します | 国税庁 No.4211 |
| 物納 | 延納によっても金銭で納付することが困難な事由がある場合に、一定の相続財産で納めます。順位などの決まりがあります | 納期限(申告期限)までに、物納申請書を税務署長に出します | 国税庁 No.4214 |
| 換価の猶予 | 国税を一時に納付することで、事業の継続や生活の維持が困難になるおそれがある場合などに、原則1年以内の期間、納付や差押えが猶予されます。担保が要るのが原則で、猶予期間中の延滞税は軽減されます | 納期限から6か月以内に申請します。既に滞納がある場合も、税務署長の職権で受けられることがあります | 国税庁 納税に関する総合案内、国税徴収法第151条 |
延納と物納の対象は相続税の本税です。相続税に付く加算税・延滞税は延納の対象になりません(国税庁 延納・物納申請等)。換価の猶予を相続税で使えるかは、所轄の税務署の徴収担当で確かめてください。
延納と物納の順序は、国税庁の説明では、延納を先に検討する形です。物納は、延納によっても金銭で納付することが困難な場合の制度です(国税庁 No.4214)。要件や期間の詳しい内容は相続税の延納と物納の要件と手続きに、利子税の概算は延納の利子税の計算ツールにあります。
相続税は、各相続人が自分の分を納めるのが基本です。ただし、相続税法第34条第1項は、同じ被相続人から相続や遺贈で財産を取得した全員が、取得した財産について受けた利益の価額を限度として、互いに連帯して納付する責任を負うと定めています。ただし書きに、責任を負わない場合の例外があります(申告期限から5年を経過する日までの税務署の手続の有無など)。詳しくは相続税の連帯納付義務で扱っています。
手順は同条第5項以下に定められています。納税義務者に督促をした相続税が、督促状を発した日から1か月を経過する日までに完納されないとき、税務署長は連帯納付義務者に、完納されていない旨を通知します。続いて納付通知書で納付を求め、その通知から2か月を経過しても完納されなければ、督促をします(同条第5項から第7項)。
申告で間違えたときの追徴課税は相続税の申告漏れの追徴課税はいくらに、納税資金の考え方は不動産を売って相続税を払うにあります。
よくありません。申告期限までに申告しなかった場合は、本来の税金のほかに加算税や延滞税がかかる場合があります(国税庁 No.4205)。払えない見込みでも、申告は期限までに出します。
納期限の翌日から2か月を経過する日までは年2.8%、それ以後は年9.1%です(令和8年1月1日から12月31日までの期間。国税庁 No.9205)。延滞税は本税だけにかかり、加算税には課されません。
督促状を発した日から10日を経過しても完納されない場合、滞納処分に進みます(国税通則法第40条)。納付が困難なときは、早めに所轄の税務署の徴収担当に納付相談をします。
延納の制度があります。相続税額が10万円を超え、金銭で納付することが困難な事由があり、担保を出せる場合などに、納期限までに申請して許可を受けます。延納期間中は利子税がかかります(国税庁 No.4211)。
物納は、延納によっても金銭で納付することが困難な事由がある場合の制度です(国税庁 No.4214)。まず延納で払えるかを確かめ、足りない部分を物納で考える順になります。
できません。延納と物納の対象は相続税の本税で、相続税に付く加算税・延滞税は対象になりません(国税庁 延納・物納申請等)。
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