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相続時精算課税の申告は、初めてこの制度を選ぶ年の翌年2月1日から3月15日までに、「相続時精算課税選択届出書」と戸籍の謄本などの書類を、贈与税の申告書(第一表と第二表)に添付して、受贈者の納税地の所轄税務署へ出します(国税庁 No.4103・No.4304)。贈与を受けた財産の価額が相続時精算課税の基礎控除額110万円を超えるなら申告書も要り、超えないなら届出書だけを単独で出します。届出書は贈与者ごとに作り、一度出すと暦年課税には戻せません(相続税法第21条の9第6項、国税庁 No.4103)。この記事では、何を・いつ・どこへ出すか、第一表と第二表の書き方の要点、国税庁の記載例の数字を、原文の順に整理します。
初めて相続時精算課税を選ぶ年(その贈与者からの最初の贈与を受けた年)の翌年に、次のものを出します。
相続時精算課税を初めて選ぶ年に出すもの
| 出すもの | 内容 |
|---|---|
| 相続時精算課税選択届出書 | 贈与者(特定贈与者)ごとに1枚。受贈者が作ります。国税庁の「贈与税の申告書等の様式一覧」にあります |
| 贈与税の申告書 第一表 | 「兼贈与税の額の計算明細書」。贈与を受けた財産の種類・価額などを書きます |
| 贈与税の申告書 第二表 | 「相続時精算課税の計算明細書」。特定贈与者ごとに作ります(贈与者が2人なら2枚) |
| 添付書類 | 受贈者の戸籍の謄本または抄本などで、受贈者の氏名・生年月日と、受贈者が贈与者の推定相続人または孫であることが分かるもの。贈与を受けた日以後に作成されたものを出します |
国税庁 No.4103・No.4304、令和7年分「贈与税の申告のしかた」。申告書を出す場合、届出書と添付書類は申告書に添付して出します。
提出期間は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日です。提出期限が土・日曜日・祝日等に当たるときは、その翌日が期限です(国税庁 B1-1)。令和7年分は、令和8年2月2日から3月16日でした。提出先は受贈者の住所地の所轄税務署です。提出方法は、e-Tax、郵便・信書便での送付、税務署の受付への持参(時間外収受箱への投函も可)です。書面で出すときは正本だけを出し、控えに収受日付印は押されません。
使う申告書は、申告の内容で決まります。
申告の内容と、使う申告書
| 申告の内容 | 使う申告書 |
|---|---|
| 暦年課税のみ | 第一表 |
| 相続時精算課税のみ | 第一表と第二表 |
| 暦年課税と相続時精算課税の両方 | 第一表と第二表 |
| 住宅取得等資金の非課税と暦年課税 | 第一表と第一表の二 |
| 住宅取得等資金の非課税と相続時精算課税 | 第一表と第一表の二と第二表 |
令和7年分「贈与税の申告のしかた」2ページ。
贈与額が少なく申告書が要らない年でも、初めて選ぶ年は届出書の提出が要ります。その場合は届出書だけを単独で出します。申告書が要らない場合の整理は相続時精算課税の申告が不要な場合にまとめました。
贈与者は、贈与をした年の1月1日に60歳以上の父母・祖父母などです。受贈者は、贈与を受けた年の1月1日に18歳以上の、贈与者の直系卑属(子や孫など)である推定相続人または孫です(国税庁 No.4103)。自分に近い行から見てください。
状況ごとの、選べるかどうかと次に読む記事
| あなたの状況 | 国税庁の原文が示していること | 次に読む記事 |
|---|---|---|
| 親(60歳以上)から、18歳以上の子への現金 | 選べます。贈与財産の種類・金額・回数に制限はありません | この記事の続き |
| 祖父母(60歳以上)から、18歳以上の孫へ | 選べます。孫は、推定相続人になるかどうかにかかわらず18歳以上なら対象です | この記事の続き |
| 親が60歳未満で、住宅の購入資金をもらう | 住宅取得等資金の特例なら、贈与者が60歳未満でも選べます | 住宅取得資金の贈与の申告 |
| 父と母など、贈与者が2人いる | 届出書は贈与者ごとに作ります。同じ年に2人から受けると、基礎控除110万円は課税価格であん分します | この記事の続き |
| 配偶者の父母(養子縁組なし)から | 推定相続人ではないため、原則として相続時精算課税は使えません | 贈与税の申告を自分でする手順 |
| この年の贈与は110万円以内に収まる | 申告書は要りません。初めて選ぶ年は届出書を期限内に出します | 申告が不要な場合 |
国税庁の令和7年分「贈与税の申告のしかた」の事例4は、孫(18歳以上)が祖母(60歳以上)から、宅地(自用地・路線価地域)と上場株式5,000株の贈与を受け、相続時精算課税を選ぶ例です。申告書の第一表・第二表に、選択届出書を添付して出します。
事例4(祖母から孫へ、宅地と上場株式)の数字
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 宅地(自用地)86.50㎡ × 路線価300,000円 | 25,950,000円 |
| 上場株式 5,000株 × 1株290円 | 1,450,000円 |
| 特定贈与者(祖母)からの贈与財産の価額の合計 | 27,400,000円 |
| 相続時精算課税に係る基礎控除額 | 1,100,000円 |
| 基礎控除後の額 | 26,300,000円 |
| 特別控除額(限度2,500万円) | 25,000,000円 |
| 特別控除後の課税価格 | 1,300,000円 |
| 贈与税額(一律20%) | 260,000円 |
国税庁 令和7年分「贈与税の申告のしかた」【事例4】。特別控除後の課税価格は、基礎控除後の額から特別控除額を引いた差です。
記入の要点を、国税庁の「申告書の書きかた」から拾います。
特別控除は、期限内に出した申告書に控除を受ける金額を書いた場合に使えます(相続税法第21条の12第2項、国税庁 No.4103)。第二表の特別控除の欄は、書き落とさないようにしてください。
特定贈与者から翌年以降に受ける贈与は、すべて相続時精算課税の対象です。改めて届出書を出す必要はありません。国税庁の質疑応答では、翌年に実父から現金50万円を受けた人は、基礎控除110万円以下なので、その年の贈与税の申告は要らないとされています(国税庁 No.4103 Q&A)。同じ年に2人以上の特定贈与者から受けた財産の合計が110万円を超えるときは、申告が要ります。
特定贈与者が亡くなったときは、贈与を受けた財産を相続財産に加えて相続税を計算し、すでに納めた贈与税相当額を引きます。引ききれない額は、相続税の申告をすることで還付を受けられます。相続税の申告が要らない場合でも、納めた贈与税があれば、相続開始の日の翌日から5年を経過する日まで、還付を受けるための申告書を出せます(国税庁 No.4301)。
国税庁の案内から、手間が増える場面を3つに絞ります。
手が止まったときは、国税庁の電話相談センターや税務署の面接相談で一般的な取扱いを確かめられます。窓口ごとの違いは相続の税理士に無料相談する方法にまとめました。パソコンやスマホでの提出は贈与税の申告をe-Taxとスマホでする手順に書いています。
贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。提出期限が土・日曜日・祝日等に当たるときは、その翌日が期限です。初めて選ぶ年は、この期間に選択届出書も出します。
初めて相続時精算課税を選ぶときは、贈与税の申告期間内に、贈与者ごとに届出書を出す必要があります(国税庁 No.4402)。申告書を出さないときは、届出書を単独で出します。
国税庁の質疑応答では、提出期限を過ぎてから届出書を出した場合は、相続時精算課税の適用を受けられないとされています。
届出書は贈与者ごとに作ります。第二表も特定贈与者ごとに作るので、2人なら2枚です。同じ年の基礎控除110万円は、特定贈与者ごとの課税価格であん分します。
出しません。国税庁の質疑応答では、翌年以降の特定贈与者からの贈与にも改めて届出書を出す必要はなく、基礎控除110万円が適用されるとされています。
贈与額ごとの贈与税の目安は、早見一覧で確かめられます
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