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申告漏れが見つかったときに納めるのは、足りなかった相続税(本税)に、加算税と延滞税を足した額です。 申告漏れの財産が400万円でも、追徴される相続税が400万円になるわけではありません。 財産にかかる税率を掛けた額が本税で、加算税はその本税に割合を掛けます。 たとえば申告漏れの財産が400万円、その財産にかかる税率が20%なら、追徴される相続税は80万円。 調査を受けたあとに修正申告した場合、過少申告加算税は8万円、法定申告期限から273日後に納めた延滞税は16,700円で、合計は約89.7万円です(前提は第3節)。
申告漏れの話では、2つの金額が出てきます。混ぜて読むと、負担を大きく見誤ります。
2つの金額の違い
| 金額 | 中身 | 加算税の基準になるか |
|---|---|---|
| 申告漏れの財産の額 | 申告していなかった財産の評価額 | ならない |
| 追徴される相続税の額(本税) | 漏れた財産を加えて計算し直した相続税から、すでに納めた相続税を引いた差額 | なる(加算税・延滞税はこの額から計算) |
追徴される相続税は、全体の課税価格を計算し直した差額です。次の節以降の例では、漏れた財産に仮に10%・20%・30%の税率がかかるものとして、簡略に出しています。
いずれも国税通則法に定められた割合です。割合を掛ける相手は、財産の額ではなく追徴される相続税(本税)です。
加算税・延滞税の割合(令和8年時点)
| 種類 | どんな場合か | 割合 |
|---|---|---|
| 過少申告加算税 (第65条) | 期限内に申告していたが、少なかった。調査の通知より前に自分から修正申告した | かからない |
| 調査の通知を受けたあと、更正を予知する前に修正申告した | 5% | |
| 調査を受けたあとに修正申告した、または更正を受けた | 10% | |
| 上の割合に加えて、本税が「期限内申告で納めた額」と50万円のいずれか多い額を超える部分には、さらに5% | +5% | |
| 無申告加算税 (第66条) | 申告していなかった。調査の通知より前に自分から申告した | 5% |
| 調査の通知を受けたあと、決定を予知する前に申告した | 10%(50万円超300万円以下の部分15%、300万円超の部分25%) | |
| 調査を受けたあとに申告した、または決定を受けた | 15%(50万円超300万円以下の部分20%、300万円超の部分30%) | |
| 重加算税 (第68条) | 事実の隠蔽・仮装があった。過少申告加算税に代わる | 35% |
| 事実の隠蔽・仮装があった。無申告加算税に代わる | 40% | |
| 延滞税 (第60条・措置法第94条) | 法定納期限の翌日から納付する日まで。納期限の翌日から2か月を経過する日までと、その翌日以後で割合が違う | 年2.8%/年9.1% |
延滞税の割合は国税庁 No.9205(令和8年4月1日現在法令等)で、令和8年1月1日から12月31日までの期間の割合です。令和4〜7年は年2.4%・年8.7%でした。延滞税は本税だけにかかり、加算税にはかかりません。
申告漏れの財産が200万円と400万円の場合を、漏れた財産にかかる税率を10%・20%・30%として並べます。 前提は次のとおりです。
申告漏れの財産の額と、追徴される額の例
| 申告漏れの財産の額 | 税率の仮定 | 追徴される相続税の額 | 過少申告加算税 | 延滞税 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 200万円 | 10% | 20万円 | 20,000円 | 4,100円 | 224,100円 |
| 200万円 | 20% | 40万円 | 40,000円 | 8,300円 | 448,300円 |
| 200万円 | 30% | 60万円 | 60,000円 | 12,500円 | 672,500円 |
| 400万円 | 10% | 40万円 | 40,000円 | 8,300円 | 448,300円 |
| 400万円 | 20% | 80万円 | 80,000円 | 16,700円 | 896,700円 |
| 400万円 | 30% | 120万円 | 120,000円 | 25,100円 | 1,345,100円 |
合計は、追徴される相続税の額+過少申告加算税+延滞税です。申告漏れの財産の額は合計に入りません。
延滞税の算式は、国税庁の「延滞税の計算方法」にある、本税(1万円未満切り捨て)×割合×日数÷365です。 納付が遅れるほど日数が増えるため、延滞税は納付する日まで毎日増えます。
過少申告加算税・無申告加算税の割合は、税務署の調査との関係で変わります。 条文でいう「調査通知」は、実地の調査を始める日時・場所・調査の対象となる税目と期間などの事前通知のことです(国税通則法第74条の9第1項、第65条第6項)。
また、過少申告では、漏れた事実のうち正当な理由があると認められるものに基づく税額が加算税の計算から除かれ(第65条第5項)、 無申告では、期限内に申告しなかったことに正当な理由があると認められるときは加算税がかかりません(第66条第1項ただし書)。 正当な理由があるかどうかは個別の事実で判断されるため、ここでは例を挙げません。
税額の計算の基礎となる事実を隠したり、仮装したりして申告していた場合は、過少申告加算税に代えて35%、無申告加算税に代えて40%の重加算税が課されます(国税通則法第68条)。 先の例の追徴される相続税800,000円で比べると、過少申告加算税10%は80,000円、重加算税35%は280,000円です。 過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されたことがあると、さらに10%が加わります。
隠蔽・仮装にあたるかどうかは、事実関係で判断されます。名義預金や申告から漏れた財産があったという事実だけで、重加算税になると決まるわけではありません。
この記事は、申告したあとに漏れを指摘される側の話です。 まだ一度も申告していない人が、自分から期限後に申告する場合は、無申告加算税と延滞税の計算になります。 本税の額と納付日から概算できる期限後申告の延滞税・無申告加算税の計算ツールがあります。 期限後申告でも小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減が使えるかどうかも、同じページで原典に沿って整理しています。
かかりません。加算税は、追徴される相続税(本税)の額に割合を掛けて計算します。申告漏れの財産が400万円でも、その財産にかかる相続税が80万円なら、加算税の基準は80万円です。
かかりません。国税庁のタックスアンサー No.9205 に「延滞税は本税だけを対象として課されるものであり、加算税などに対しては課されません」とあります。
計算の基礎になる本税は1万円未満を切り捨て、できあがった加算税が5,000円未満、延滞税が1,000円未満なら、その全額が切り捨てられます(国税通則法第118条第3項・第119条第4項)。
自分から期限後に申告するときの延滞税・無申告加算税は、計算ツールで概算できます
期限後申告の延滞税を計算する →