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基礎知識 2026年5月5日 読了 約8分

不動産の相続税評価額の計算方法【路線価方式・倍率方式の仕組み】

相続財産に不動産が含まれる場合、その評価額は市場価格(時価)ではなく、 税務上の独自の方法で計算します。 土地は「路線価方式」または「倍率方式」で評価し、建物は「固定資産税評価額」を使います。 この記事では、不動産の評価方法を具体的な手順で解説します。

1. 土地の評価方法(路線価方式と倍率方式)

相続税における土地の評価方法は、その土地が路線価地域(市街地など)にあるか、 倍率地域(農村・山間部など)にあるかで異なります。 路線価は国税庁が毎年7月に公表しており、公示価格の約80%水準で設定されています。

評価方法の使い分け

評価方式対象地域評価額の基準
路線価方式路線価が設定されている地域(主に市街地)路線価 × 補正率 × 面積
倍率方式路線価が設定されていない地域固定資産税評価額 × 倍率

どちらの方式が適用されるかは、国税庁の「財産評価基準書」(路線価図・評価倍率表)で確認できます。 国税庁ウェブサイトで住所を検索することで確認可能です。

2. 路線価とは何か・路線価図の見方

路線価とは、道路に面した土地の1平方メートルあたりの評価額(単位:千円)です。 毎年1月1日時点を基準として国税庁が発表し、通常は公示地価の約80%水準に設定されています。

路線価図は国税庁の「財産評価基準書 路線価図」で公開されています。 地図上に数字と記号が書かれており、たとえば「200C」と書かれていれば 1㎡あたり20万円(200千円)、借地権割合Cの路線であることを意味します。

借地権割合の記号:A=90%、B=80%、C=70%、D=60%、E=50%、F=40%、G=30%。 借地権がある土地では、この割合が評価に影響します。

3. 路線価方式の計算式

路線価方式で土地を評価する基本的な計算式は次のとおりです。

土地の評価額 = 路線価 × 奥行価格補正率 × 土地面積(㎡)

角地・不整形地などには追加の補正率が適用される

主な補正率の種類

計算例:路線価200千円/㎡・奥行補正率0.97・土地面積150㎡の場合 → 200,000円 × 0.97 × 150 = 2,910万円が土地の評価額

4. 倍率方式(路線価のない地域)

路線価が設定されていない地域の土地は、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて評価額を計算します。

土地の評価額 = 固定資産税評価額 × 評価倍率

倍率は国税庁の「評価倍率表」で確認できる

固定資産税評価額は毎年送付される固定資産税納税通知書や、市区町村の窓口で取得できる 「固定資産税評価証明書」で確認できます。 倍率は地域・土地の種類(宅地・田・畑・山林など)によって異なります。

5. 建物の評価(固定資産税評価額)

建物(家屋)の相続税評価額は、固定資産税評価額がそのまま適用されます。 土地のように路線価から計算する必要はなく、シンプルです。

賃貸物件は評価が下がる:入居者がいる賃貸用建物は、借家権割合(通常30%)分だけ 評価額が下がります。また賃貸用土地(貸家建付地)も路線価から借地権割合・借家権割合分が控除されます。 これが賃貸不動産が相続税対策に使われる理由の一つです。

6. 小規模宅地等の特例との関係

路線価方式や倍率方式で計算した評価額に対して、さらに「小規模宅地等の特例」が適用できる場合があります。 被相続人が住んでいた自宅の土地(特定居住用宅地等)は、330㎡まで評価額を最大80%減額できます。

たとえば路線価方式で評価した土地が5,000万円でも、小規模宅地特例が適用されれば 1,000万円(80%減額)として相続税の計算ができます。 不動産を相続する場合はこの特例の適用可否を必ず確認してください。

詳細は関連コラムへ:小規模宅地等の特例の要件・手続き・ 「家なき子特例」については「小規模宅地等の特例で土地の評価額が最大80%減額」の記事で詳しく解説しています。

7. 評価を下げる正当な方法(測量・賃貸など)

不動産の相続税評価額は、適切な方法によって合法的に下げることができる場合があります。

測量・境界確定

土地の実際の面積を測量で確認し、登記上の面積よりも実測面積が小さい場合は 実測面積で評価額を計算できます。 また不整形地・路地状敷地・がけ地などの補正率を適切に適用することで評価額を下げられる場合があります。

賃貸用途への活用

自己使用の土地・建物を賃貸に出すと、借家権割合・借地権割合に応じて評価額が下がります。 ただし相続直前の賃貸開始は「租税回避目的」と認定されるリスクがあります。

評価誤りに注意:不動産の相続税評価は専門知識が必要です。 補正率の適用漏れ・誤りは過大評価・過少評価につながります。 特に評価額が大きい場合は税理士(不動産鑑定士との連携がある事務所が理想)に依頼することを検討してください。

参考・出典

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