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相続税の計算をやり直した方は多いと思います。何度やり直しても、その金額に見合う現金は出てきません。 出てこないのは計算を間違えているからではなく、財産の中身が現金ではないからです。 この記事は、評価額はついているのに買い手がつきにくい不動産を相続した方に向けて、 評価額と売却価格が離れる理由と、10か月という期限の使い方を整理します。
相続税の計算では、土地は路線価方式または倍率方式、建物は固定資産税評価額をもとに評価します。 路線価は公示価格のおおむね80%を目安に定められています(国税庁)。 つまり、計算機で見た税額は「市場よりやや低めに作られた数字」の上に乗っています。
ところが、評価額どおりに買い手がつく不動産と、評価額はついても買い手がつかない不動産があります。 この2つを区別しないまま10か月を数え始めると、納税資金の見通しだけが立たないまま日が過ぎます。
評価額は課税のための数字であって、その値段で売れることの保証ではありません。 評価の仕組みそのものは不動産の相続税評価額の計算方法で解説しています。 ここでは「評価はつくのに売れない」という状態だけを扱います。
売りにくさは「立地が悪いから」だけで決まるわけではありません。 次の5つは、立地に関係なく買い手が限られる型です。ご自身の不動産がどれに当たるかを確かめてください。
買い手が限られる代表的な5つの型
| 型 | なぜ買い手が限られるか | 根拠となる法令等 |
|---|---|---|
| 再建築不可 | 建て替えができないため、住宅ローンの担保として扱われにくい | 建築基準法第43条(接道義務) |
| 共有持分 | 共有物の変更・処分には他の共有者の同意が要る | 民法第251条ほか |
| 借地権・底地 | 土地と建物の権利者が別々で、単独では自由に使えない | 借地借家法 |
| 事故物件 | 過去に人の死があった場合、告知が必要になることがある | 国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」 |
| 市街化調整区域 | 原則として新たな建築が制限される | 都市計画法 |
相続税の評価では、これらの事情に応じた減額の補正が用意されている場合があります。 ただし補正があることと、市場で買い手がつくこととは別の話です。 評価が下がったからといって、その金額で買う人が現れるとは限りません。
借地権や底地、貸家建付地の評価の考え方は 貸家建付地・貸宅地の評価で扱っています。 農地・山林については農地・山林を相続したらを参照してください。
相続税の申告と納付の期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月です(相続税法第27条・第33条)。 納付は金銭で一度に行うのが原則です。
ここで多くの方が「払えなければ延納か物納がある」と考えます。 ただし延納は、納付すべき税額が10万円を超え、金銭で納付することが困難な事由があり、 原則として担保を提供することが条件になります。利子税もかかります(相続税法第38条)。
物納はさらに条件が絞られ、延納によっても金銭で納付することが困難な場合に限られます (相続税法第41条)。また、管理処分不適格財産にあたるものは物納できません。 つまり「売れないから物納にする」という順番は成立しません。 売りにくい不動産ほど、物納でも受け入れられにくい側にあります。
売りにくい不動産について、実際に取れる手はおおむね次の4つです。 10か月という期限があるので、それぞれ「間に合うか」で見比べるのがこの場面の判断軸になります。
4つの手と、期限との相性
| 手 | 内容 | 期限との相性 |
|---|---|---|
| 共有者全員で売る | 共有者がそろって1つの物件として売る。価格は最も高くなりやすい | 同意集めに時間がかかる。連絡が取れない相続人がいると止まる |
| 自分の持分だけ売る | 持分に限って買い手を探す | 買い手が限られる。他の共有者との関係に影響しうる |
| 隣地の所有者に打診する | 再建築不可の土地などは隣地と一体になると価値が変わることがある | 相手の事情次第で、こちらから時期を決められない |
| 専門の買取業者に当たる | 業者が自ら買主になる | 買主を探す工程が無いぶん、時期の見通しは立てやすい |
価格だけを見るなら、時間をかけて一般の買主を探すほうが高くなりやすいのが通常です。 この記事は買取を勧めるためのものではありません。 期限が決まっている場面では、価格と時間のどちらを優先するかを先に決める必要がある、という話です。
査定を頼むことに踏み切れない理由の多くは、金額ではなく「そのあと何をされるのか分からない」ことにあります。 ここでは、申し込んだあとの工程を順に書きます。
公式サイトの査定フォームで選ぶのは、物件のタイプ、エリア、面積です。 登記事項証明書と固定資産税の課税明細書が手元にあれば、確認しながら入力できます。 その場で金額が確定するわけではなく、あくまで問い合わせの入口です。
申し込みのあと、担当者から連絡が入り、本人確認と、物件の状況についてのヒアリングがあります。 接道の状況、共有者の有無、建物の傷み、残置物の有無といった、フォームでは書ききれない部分です。 この記事の広告主は、ここまで進んだ時点を成果として扱っています。 つまり電話やメールで話す工程が必ず1回入ります。ここは隠さずに書いておきます。
公式サイトでは、買取を強化している物件として次の11種類が挙げられています。 事故物件、再建築不可物件、共有持ち分物件、違反建築物件、旧耐震・築古物件、借地権、債務整理物件、 長屋連棟式物件、立ち退き物件、底地、紛争物件です。 仲介で断られた理由が、そのまま買取の対象条件になっている構図です。
査定と相談の段階で費用は発生しません。自社で買い取る形なので、仲介手数料もかかりません。 運営は株式会社ネクサスプロパティマネジメント(宅地建物取引業免許 国土交通大臣(1)第10311号)で、 対応は全国です。
査定額を見てから断ってかまいません。金額に納得できなければ「今回は見送ります」で終わります。 申し込んだことで売却の義務が生じるわけではありません。 他社にも査定を出して見比べる進め方も、こちらの自由です。
成果条件と否認条件から、対象になる方とならない方を整理します。想像で書いたものではありません。
向いている人/向かない人
| 向いている人 | 向かない人 |
|---|---|
| 公式が挙げる11種類のいずれかに当たる不動産を相続した方/ 他社に断られた方/全国どこでも可/残置物がある方/ 近隣に知られずに売却の見当をつけたい方 | 売却を目的としない相談(近隣トラブルの相談など)/ 同一世帯で既に申し込んだことがある方/ 氏名や連絡先を正確に入力できない方/ 本人確認と物件情報のヒアリングに応じられない方 |
売却が目的でない相談は、広告主の側でも対応していません。 該当する場合は、市区町村の空き家相談窓口や、弁護士・司法書士の相談先のほうが適しています。
相続した不動産を売る場合、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例があります (租税特別措置法第39条)。相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで、 つまり実質的に3年10か月以内に売却したときに、その不動産に対応する相続税額を取得費に加算できる制度です。 納税のために売る場合、この期間の内側に収まることが多くなります。
売る時期による税負担の違いは 生前売却と相続後売却の比較で扱っています。 適用の可否は個別の事情で変わるため、実際の申告は税理士等にご確認ください。
買取業者は、物件を仕入れて手を入れ、再び販売することを事業にしています。 売主から手数料を取る仕組みではないため、査定と相談の段階で費用は発生しません。
あわせて明記します。当サイトは、下のリンク経由で申し込みがあった場合に広告主から報酬を受け取っています。 そのうえで、対象にならない方の条件と、買取価格が低くなりやすいことを同じ記事の中に書いています。
登記簿と公図を出して、2つだけ確かめてください。前面道路に2メートル接しているか、 名義が単独か共有か。この2つで売りにくさの大半が決まります。
そのうえで、売れるかどうかの当たりを付けるために査定を出してください。 売ると決めるためではなく、10か月の使い方を決めるためです。
いま結論を出す必要はありません。決めるのは、査定額という材料が手元にそろってからで足ります。
納税資金の見通しを立てる前に、税額そのものを確認しておきましょう
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