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延納と物納という言葉は知っているのに、要件までは読んでいない。 このページを開いた時点で、引っかかっているのはたぶんそこです。 2つとも「選べる制度」ではなく「要件を満たしたときだけ認められる制度」なので、 読む順番を間違えると、気づいた時点で選べる手が減っています。 この記事は、要件と時間の両方を10か月から逆算して並べます。
相続税は金銭で一度に納めるのが原則で、期限は相続の開始を知った日の翌日から10か月です (相続税法第33条)。財産の大半が不動産だと、税額は確定しているのに納める現金がない、 という状態が起きます。
このとき多くの人が延納と物納を思い浮かべます。ただしどちらも「使える制度」ではなく、 「要件を満たしたときだけ認められる制度」です。 要件を確かめないまま数か月が過ぎると、選べる手段が売却だけになり、しかも売る時間が 残っていない、という順番になります。
もうひとつ、この場面で見落とされやすいことがあります。 相続税は相続人ごとに納めるもので、「代表者がまとめて払う」形が制度として用意されているわけではありません。 さらに、他の相続人が納めなかった場合に備えて連帯納付義務という仕組みがあります。 自分の分は用意できていても、他の相続人が用意できていなければ、そこが自分に返ってくることがあります。 詳しくは相続税の連帯納付義務で扱っています。
つまり資金の見通しは、自分の分だけでなく相続人全員分をそろえて見る必要があります。 不動産を売って作るのか、それぞれが自分で用意するのかを、話し合いの中で決めておくことになります。
期限そのものと、遅れた場合の扱いは相続税の申告期限にまとめています。 控除や特例を織り込んだ税額は、当サイトの計算機で確かめられます。
延納は、相続税を分割して納めることを税務署に認めてもらう制度です。 認められるための条件は、おおむね次の4つです(相続税法第38条・第39条)。
注意が要るのは2番目と4番目です。 2番目は「手元の現金が少ない」という感覚ではなく、金銭で納付することが困難な事由がある範囲に限られます。 4番目は、申請の期限が申告期限と同じということです。 期限が来てから相談に行っても、その時点では延納の申請ができません。
加えて、延納の期間中は利子税がかかります。 制度の細かい内容は相続税の延納・物納にまとめています。
物納は、金銭ではなく不動産などの現物で納める制度です。 認められるのは、延納によっても金銭で納付することが困難な場合に限られます(相続税法第41条)。 つまり延納の検討が先で、物納はそのあとです。
物納できる財産には順位があり、第1順位は不動産・船舶・国債証券・地方債証券・上場有価証券とされています。 さらに、管理処分不適格財産にあたるものは物納できません(相続税法第42条ほか)。 境界が明らかでない土地や、権利関係に争いのある不動産などが、これに当たることがあります。
納税資金を作る方法は、おおむね次の4つです。 要件・かかる時間・最終的な手取りの3つで並べます。
4つの手
| 手 | 要件 | かかる時間 | 手取りへの影響 |
|---|---|---|---|
| 預貯金・生命保険金を充てる | 受取人が指定されていれば手続きは早い | 短い | 非課税枠がある(500万円×法定相続人の数) |
| 延納する | 10万円超・納付困難・担保・期限内申請 | 申請の準備に時間がかかる | 利子税がかかる |
| 物納する | 延納でも困難であること・財産の順位・管理処分不適格でないこと | 審査に時間がかかる | 相続税評価額での納付になる |
| 不動産を売る | 要件は無いが、買い手が要る | 売り方で大きく変わる | 時間をかけるほど高くなりやすい |
生命保険金の非課税枠については生命保険の死亡保険金と非課税枠で扱っています。 預貯金と保険金で足りるなら、そこで話は終わります。 足りない部分について、次の逆算に進んでください。
不動産を売って納税に充てる場合、売却は次の工程を通ります。 それぞれに必要な期間は物件と相手次第なので、当サイトの側で日数を断定することはできません。 できるのは、工程の数を先に把握しておくことです。
仲介で売る場合、3番目の「買主を探す」工程の長さがこちらでは決められません。 買取の場合は業者自身が買主になるので、この工程がありません。 公式サイトのよくある質問には、最短で即日の現金化についても別途相談できる旨の記載があります。
2番目の媒介契約にも違いがあります。 一般媒介は複数社に同時に頼めますが、専任媒介と専属専任媒介は1社に限られ、 契約期間の上限が定められています(宅地建物取引業法)。 期限が決まっている場面では、「合わなかったときに切り替えられるか」も判断に入ります。
査定を出すことに踏み切れないのは、金額よりも「そのあと何が始まるのか」が分からないからだと思います。工程を順に書きます。
公式サイトの査定フォームで選ぶのは、物件のタイプ、エリア、面積です。 物件のタイプには、戸建てやマンションの1室だけでなく、一棟マンションやビルも含まれています。 登記事項証明書と固定資産税の課税明細書が手元にあれば、見ながら入力できます。
申し込みのあと、電話またはメールで連絡が入り、相続人であることの確認が行われます。 この記事の広告主は、ここまでを成果として扱っています。 言い換えると、査定を受けることも、売ることも、成果の条件には入っていません。 連絡を受けて相続人であることを伝えた時点で、こちらのやることは終わります。
公式サイトには、弁護士・税理士・司法書士等の士業と提携しており、 相続財産について揉めている最中でも相談できる旨の記載があります。 分け方が決まっていないと売却はできませんが、売った場合にいくらになるかを先に知ることはできます。 分け方の話し合いに、金額という材料を持ち込めるという意味です。
現地に行けない場合も、オンライン面談・メール・チャット・電話で対応すると記載があります。 運営は株式会社ネクサスプロパティマネジメント、対応は全国です。 自社で買い取る形なので、仲介手数料はかかりません。
不動産を売るには、名義が相続人に移っている必要があります。 相続登記は2024年4月から義務化されており、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に 申請することとされています(法務省)。 登記が済んでいないと、決済まで進めません。 査定を取ることと登記は並行して進められるので、査定を待ってから登記に着手する必要はありません。
費用が発生する地点はありません。断るときは「今回は見送ります」で終わります。 他社にも査定を出して比べてかまいません。 むしろ、納税資金の見通しを立てるための材料としては、複数の金額があったほうが役に立ちます。
相続した不動産を売る場合、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例があります (租税特別措置法第39条)。相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで、 実質的に3年10か月以内に売却したときに、その不動産に対応する相続税額を取得費に加算できる制度です。 納税のために売る場合は、この期間の内側に収まることが多くなります。
売る時期による違いは生前売却と相続後売却の比較で扱っています。 適用の可否は個別の事情で変わるため、実際の申告は税理士等にご確認ください。
買取業者は、物件を仕入れて再び販売することを事業にしています。 売主から手数料を取る仕組みではないため、査定と相談の段階で費用は発生しません。
あわせて明記します。当サイトは、下のリンク経由で問い合わせがあった場合に広告主から報酬を受け取っています。 そのうえで、買取価格が仲介より低くなりやすいことと、延納・物納という別の手段を同じ記事の中に書いています。
相続が開始した日をカレンダーに書き、そこから10か月後の日付に印を付けてください。 そこから逆算して、いつまでに売却の判断をするかを決めます。
査定を取るのは、売ると決めるためではなく、その判断の材料をそろえるためです。 印を付けた日までは、まだ決めなくてかまいません。
納める税額そのものを、控除と特例を織り込んで確認しておきましょう
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