相続税は原則として申告期限(相続開始から10か月以内)に現金で一括納付する必要があります。 しかし不動産が多い遺産では、相続税額に見合う現金がない場合もあります。 そのような場合に活用できる「延納」(分割払い)と「物納」(現物納付)の仕組みを解説します。
相続税の申告・納税の期限は、相続開始を知った日(通常は被相続人が亡くなった日)の 翌日から10か月以内です。この期限内に税務署へ申告書を提出し、税額を現金で納付することが原則です。 国税庁の統計によると、2022年に相続税の申告があった被相続人は約15万人で、課税された割合は死亡者全体の約9.6%です。
相続財産の多くが不動産・自社株・美術品など換金しにくい資産で構成されている場合、 相続税の支払い資金として十分な現金がないことがあります。 このような場合のための救済措置が「延納」と「物納」です。
延納とは、相続税を分割して年払いすることを税務署に許可してもらう制度です。 延納期間は相続財産の種類によって異なり、不動産等の割合が高い場合は最長20年間まで認められます。
延納期間の目安
| 相続財産に占める不動産等の割合 | 最長延納期間 |
|---|---|
| 75%以上 | 20年(不動産等に係る税額)、15年(その他の財産に係る税額) |
| 50%以上75%未満 | 15年(不動産等)、10年(その他) |
| 50%未満 | 5年 |
延納中は元本に加えて「利子税」が発生します。 利子税率は年1.2%(特例基準割合が0.4%の場合)程度ですが、 延滞税よりも低い税率のため、資金繰りの改善に有効です。
延納が認められるためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
物納とは、金銭ではなく不動産・有価証券などの現物で相続税を納付する制度です。 延納によっても金銭での納付が困難な場合に、最後の手段として認められます。
物納される財産は相続税評価額で受け入れられるため、 市場価格が相続税評価額より高い財産を物納することは経済的に不利です。 逆に市場価格が相続税評価額以下の場合は物納のメリットが大きくなります。
物納できる財産は法令で定められた「管理処分不適格財産」以外の相続財産で、 次の優先順位で申請します。
延納・物納のいずれも、申告期限(相続開始から10か月以内)までに 税務署に申請書と必要書類を提出する必要があります。
延納・物納が特に有効なのは、次のようなケースです。
ただし延納中は利子税の負担が継続し、物納では相続税評価額での納付となるため、 場合によっては不動産を売却して一括納付する方が経済的に有利なことも多くあります。 選択肢を比較検討した上で判断してください。
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