相続税の申告期限は「死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内」です
節税対策 2026年5月5日 読了 約8分

贈与税の非課税枠と節税活用法【暦年課税・相続時精算課税の使い分け】

相続税対策として有効な「生前贈与」ですが、贈与税の課税方式には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類があります。 2024年の税制改正で両制度に大きな変更がありました。 この記事では、各制度の仕組み・改正のポイント・特例・どちらを選ぶべきかの判断基準を解説します。

1. 暦年課税の基本(年110万円の基礎控除)

暦年課税は、1月1日から12月31日までの1年間(暦年)に受け取った贈与の合計額が 110万円以下であれば贈与税がかからない仕組みです。 この110万円の非課税枠を「基礎控除」といいます。 国税庁の統計によると、2022年に相続税の申告があった被相続人は約15万人で、課税された割合は死亡者全体の約9.6%です。

受贈者(もらう側)一人につき年110万円まで非課税であるため、 たとえば子2人・孫2人の計4人に毎年110万円ずつ贈与すれば、 年間440万円を非課税で渡すことができます。

2024年改正で持ち戻し期間が延長:2024年1月1日以降の贈与から、 相続開始前7年以内(改正前は3年以内)の贈与が相続税の課税対象に持ち戻されるようになりました。 ただし延長された4年分(3〜7年前の贈与)については、合計100万円を超える部分のみが対象です。

暦年贈与で注意すべきこと

2. 相続時精算課税制度の仕組み

相続時精算課税制度は、60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与を対象に、 累計2,500万円までの贈与を贈与税ゼロで行える制度です。 ただし「精算課税」という名称のとおり、相続発生時に贈与財産を相続財産に加算して相続税を計算します。

相続時精算課税の基本的な仕組み

対象者贈与者:60歳以上の父母・祖父母 / 受贈者:18歳以上の子・孫
非課税枠累計2,500万円(超えた部分は一律20%課税)
相続時の扱い贈与財産を相続財産に加算して相続税を計算(持ち戻し)
贈与税申告選択届出書の提出が必要(一度選択すると暦年課税に戻れない)

3. 2024年改正のポイント

2024年1月1日以降の贈与から、相続時精算課税制度にも年110万円の基礎控除が新設されました。 この改正により、相続時精算課税の使い勝手が大幅に向上しました。

改正前後の比較

相続時精算課税の改正比較

項目改正前(〜2023年)改正後(2024年〜)
年間基礎控除なし110万円/年
持ち戻しの範囲すべての贈与財産年110万円超の部分のみ
実質的な節税効果相続税との差額のみ年110万円分は完全に相続財産から除外
改正のメリット:2024年以降は、精算課税を選択しても年110万円以内の贈与なら 相続財産に持ち戻されません。これにより、将来値上がりが期待できる財産(自社株・不動産など)を 早期に贈与する節税戦略が取りやすくなりました。

4. 教育・結婚子育て資金の一括贈与特例

直系尊属(祖父母・親)から子・孫への教育資金や結婚・子育て資金の一括贈与には特別な非課税枠があります。

教育資金の一括贈与

結婚・子育て資金の一括贈与

注意:贈与者が死亡した時点で残額がある場合、相続財産として課税されます(教育資金は一部例外あり)。 特例期間に期限があるため、最新の税制を確認してから活用してください。

5. 住宅取得資金の贈与特例

父母・祖父母など直系尊属から住宅取得資金を贈与される場合、一定額まで贈与税が非課税になります。 非課税限度額は住宅の種類(省エネ等住宅か否か)によって異なります。

この特例は年110万円の基礎控除と併用できるため、基礎控除と合算した金額まで 贈与税ゼロで受け取ることができます。 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅に居住することが要件の一つです。

確認が必要:住宅取得資金の非課税特例は適用期限が設定されており、 限度額も年度によって変わります。利用する際は必ず最新の税制を国税庁ホームページまたは 税理士に確認してください。

6. どちらの制度を選ぶべきか

暦年課税 vs 相続時精算課税の選び方

状況向いている制度
長期間にわたって少額を贈与したい暦年課税
将来値上がりが期待できる財産を早期に渡したい相続時精算課税
相続まで時間が少ない(7年以内に相続が予想される)相続時精算課税
相続財産が基礎控除内に収まる見込みどちらでも(贈与不要の可能性も)
将来値下がりが予想される財産暦年課税(精算課税は贈与時の評価で課税)

相続時精算課税は一度選択すると同じ贈与者・受贈者の組み合わせでは暦年課税に戻れません。 どちらを選ぶかは、被相続人の年齢・財産の種類・相続人の状況などを総合的に判断する必要があります。 迷う場合は税理士への相談をお勧めします。

参考・出典

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