相続税の申告期限は「死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内」です
基礎知識 2026年5月5日 読了 約8分

相続税の税率と速算表の使い方【累進課税の仕組みを具体例で解説】

相続税は課税遺産総額が大きいほど高い税率がかかる「累進課税」の仕組みを採用しています。 最低税率は10%、最高税率は55%と幅が広く、財産額によって税負担は大きく変わります。 この記事では、税率の仕組み・速算表の使い方・遺産1億円の具体的な計算例まで解説します。

1. 相続税が課税される仕組み

相続税の計算は次のステップで進みます。 国税庁の統計によると、2022年に相続税の申告があった被相続人は約15万人で、課税された割合は死亡者全体の約9.6%です。

  1. 課税価格の合計額(遺産総額から債務・葬式費用を差し引いた金額)を計算する
  2. 基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人数)を差し引く
  3. 課税遺産総額を法定相続分で仮に分割し、各人の取得額を算出する
  4. 各人の取得額に税率をかけて相続税額を計算し、合計して相続税の総額を出す
  5. 実際の相続割合に応じて按分し、各相続人が納める税額を確定する
  6. 各種控除(配偶者の税額軽減・未成年者控除・障害者控除など)を適用する
ポイント:税率は実際の取得額ではなく、まず「法定相続分で仮分割した額」に適用します。 実際の分割割合に関係なく、同じ遺産総額であれば相続税の総額は変わりません。

2. 法定相続分に応じた税額の計算方法

相続税は「各相続人が法定相続分どおりに取得したとしたら税額がいくらか」を計算してから、 合計した相続税総額を実際の取得割合で按分します。 これは、実際の分割割合によって税額が変わることを防ぐための仕組みです。

相続税総額 = Σ(法定相続分による各人の取得額 × 税率 − 控除額)

各人の税額を合算したものが相続税の総額

3. 税率速算表(10%〜55%の8段階)

相続税の速算表(法定相続分に応じた取得金額ベース)

法定相続分に応じた取得金額税率控除額
1,000万円以下10%なし
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

速算表の「控除額」は、累進課税の段階的な税率を簡便に計算するための調整額です。 たとえば取得金額が3,000万円の場合、3,000万円 × 15% − 50万円 = 400万円が税額になります。

4. 具体的な計算例(配偶者+子2人・遺産1億円)

前提条件

遺産総額(課税価格の合計額)1億円
法定相続人配偶者・子2人(計3人)
基礎控除額3,000万円 + 600万円×3 = 4,800万円
課税遺産総額1億円 − 4,800万円 = 5,200万円

法定相続分による仮分割

各人の税額計算

相続税総額

相続税の総額340万円 + 145万円 + 145万円 = 630万円

5. 配偶者の税額軽減適用後の税額

配偶者が法定相続分(この例では1億円の1/2 = 5,000万円)または1億6,000万円のいずれか大きい金額まで 相続する場合、配偶者の相続税は0円になります。

前の計算例で配偶者が法定相続分(5,000万円)以内で相続した場合、 配偶者の納税額は0円になります。相続税の総額630万円から配偶者分の税額(按分後)を引いた残りを 子2人で負担することになります。

二次相続への注意:配偶者の税額軽減は強力ですが、配偶者が亡くなった際の 二次相続では配偶者控除が使えません。配偶者にすべての財産を集中させると 二次相続での税負担が大きくなるため、一次相続時の分割方法も慎重に検討してください。

6. 按分計算(各相続人の負担額)

相続税の総額は、実際の取得割合で各相続人に按分されます。 たとえば子2人が2:1の割合で遺産を取得したとしても、総額630万円を2:1で按分して それぞれの納税額を算出します。

各人の納税額 = 相続税総額 × (各人の取得額 ÷ 課税価格の合計額)

実際の取得割合に応じて按分する

この仕組みにより、遺産をどのように分割しても相続税の総額は変わりません。 分割方法による税額の差は、主に「配偶者の税額軽減」の適用範囲が変わることによって生じます。

7. 二次相続への影響

一次相続(父が亡くなる)で配偶者(母)に多くの財産を相続させると、 母が亡くなる二次相続時に子が相続する財産が増え、税負担が増大します。

一次相続と二次相続を合算した税額の総額を最小化するには、 一次相続時に子へ一定程度の財産を振り分けることを検討する必要があります。 最適な分割割合はご家族の状況・財産内容・二次相続までの期間などによって異なるため、 税理士に相談することをお勧めします。

シミュレーション活用:当サイトの計算機で一次相続の概算税額を確認したうえで、 税理士に二次相続との合計を試算してもらうと、最適な分割方法を判断しやすくなります。

参考・出典

遺産総額と相続人を入力するだけで税額の概算を自動計算します

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