「配偶者の税額軽減を使えば相続税はゼロになる」と安心していると、 将来の二次相続で予想外の大きな税負担が発生することがあります。 一次相続・二次相続の合計税額を最小化する視点が、相続税対策の核心です。 この記事では、二次相続の問題と対策を具体的に解説します。
二次相続とは、父が亡くなった後に財産を引き継いだ母(配偶者)が亡くなった際の相続のことです。 父の死亡時の相続を「一次相続」、母の死亡時の相続を「二次相続」と呼びます。 国税庁の統計によると、2022年に相続税の申告があった被相続人は約15万人で、課税された割合は死亡者全体の約9.6%です。
一次相続で子がほとんど財産を取得せず、母がすべてを引き継いだ場合、 二次相続では母の財産(一次相続で受け継いだもの+もともと持っていたもの)が すべて子に移ることになります。
一次相続では配偶者の税額軽減(法定相続分または1億6,000万円までが非課税)があるため、 配偶者が多く相続しても相続税がかからないことがあります。 しかしこの判断が二次相続の税負担を大きくする原因になります。
法定相続人が減ることで基礎控除が下がる例
| 相続 | 法定相続人 | 基礎控除額 |
|---|---|---|
| 一次相続(父死亡) | 配偶者・子2人 = 3人 | 4,800万円 |
| 二次相続(母死亡) | 子2人 = 2人 | 4,200万円 |
一次相続だけを見れば、配偶者に多く引き継がせるほど一次相続の税額は低くなります。 しかし一次相続と二次相続の合計税額で見ると、必ずしも最小になるわけではありません。
最適な分割割合は「一次+二次の合計税額が最も少なくなる点」を探すことで決まります。 この計算は単純ではなく、財産の種類・将来の財産変動・二次相続までの期間・ 配偶者の生活費なども考慮する必要があります。
配偶者への相続を法定相続分よりも少なくして、子が一次相続で一定の財産を受け取ることが 有効なケースがあります。
一次相続の際に、自宅以外の流動性の高い財産(預貯金・有価証券など)を 子が受け取るよう遺産分割を組み立てます。 配偶者には生活費として必要な自宅と一定の預貯金を残し、 残りは子が取得する形にすることで二次相続時の課税財産を減らせます。
不動産などを配偶者が取得し、その代わりに配偶者が子に対して代償金を現金で支払う方法です。 これにより不動産は配偶者が引き継ぎつつ、子には現金を移転できます。
生命保険の死亡保険金は「500万円×法定相続人数」の非課税枠があります。 また受取人に子を指定した生命保険は、みなし相続財産として相続税の対象になりますが、 非課税枠の範囲内であれば課税されません。一次相続で子が一定の資産を非課税で取得できます。
一次相続と二次相続の合計税額を最小化するためには、具体的な数値でシミュレーションすることが不可欠です。 計算には財産評価・将来の相続税率・二次相続時の財産額の予測などの専門知識が必要です。
税理士への相談は「相続が発生してから」ではなく、元気なうちの早い段階で行うことが理想的です。 相続対策(生前贈与・保険加入・遺言書作成など)には時間が必要であり、 相続発生後では取れる選択肢が限られます。
一次相続の概算税額を確認して、二次相続対策の基礎データを揃えましょう
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