相続税には「所得控除」ではなく「税額控除」が用意されています。税額控除は課税所得から差し引くのではなく、 計算後の税額から直接引けるため、節税効果が非常に高い制度です。 未成年者控除・障害者控除・相次相続控除・贈与税額控除・外国税額控除の5種類を、 それぞれの計算方法と適用条件とともに解説します。
税金の軽減措置には「所得控除」と「税額控除」の2種類があります。 相続税の「基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)」は課税遺産総額から差し引く控除ですが、 ここで紹介する税額控除はその後に算出された税額から直接差し引きます。 国税庁の統計によると、2022年に相続税の申告があった被相続人は約15万人で、課税された割合は死亡者全体の約9.6%です。
控除の種類と計算上の位置
| 種類 | 差し引くタイミング | 代表例 |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 課税遺産総額の計算時 | 3,000万円+600万円×法定相続人数 |
| 税額控除 | 税額計算後(最終段階) | 未成年者控除・障害者控除など |
税額控除は「1円引けば1円節税」になるため、適用できる場合は必ず申告書に記載しましょう。
相続人が18歳未満の未成年者である場合に適用できる控除です。 若いうちに親を亡くした子どもへの配慮として設けられています。
たとえば10歳で相続した場合、(18 − 10)× 10万円 = 80万円が税額から控除されます。 控除額が算出税額を超える場合、超過分は扶養義務者(親権者など)の税額から差し引くことができます。
未成年者控除の計算例
| 相続時の年齢 | 控除額 |
|---|---|
| 0歳 | 180万円 |
| 5歳 | 130万円 |
| 10歳 | 80万円 |
| 15歳 | 30万円 |
| 18歳以上 | 適用なし |
相続人が障害者である場合に適用できる控除です。 障害の程度によって控除額が変わります。
特別障害者とは、身体障害者手帳1・2級、精神障害者保健福祉手帳1級、 重度の知的障害者などが該当します。 未成年者控除と同様、控除額が算出税額を超えた分は扶養義務者の税額から差し引けます。
障害者控除の計算例(40歳で相続した場合)
| 区分 | 計算 | 控除額 |
|---|---|---|
| 一般障害者 | (85 − 40)× 10万円 | 450万円 |
| 特別障害者 | (85 − 40)× 20万円 | 900万円 |
10年以内に2回相続が発生した場合、2回目の相続税を一定割合軽減できる制度です。 短期間に続けて相続税を納めると財産が大きく目減りすることへの配慮として設けられています。
控除額は1回目の相続から2回目の相続までの期間(1年ごとに10%減)によって異なります。 1年以内なら1回目に支払った税額の100%、2年以内なら80%、…10年以内なら10%が控除されます。
相次相続控除の割合
| 経過年数 | 控除割合 |
|---|---|
| 1年以内 | 100% |
| 2年以内 | 80% |
| 3年以内 | 60% |
| 5年以内 | 40%(4年以内は60%) |
| 10年以内 | 10〜20% |
| 10年超 | 適用なし |
生前贈与を受けて贈与税を支払った財産が相続税の課税対象に含まれる場合、 支払済みの贈与税を相続税から差し引ける制度です。 「同じ財産に贈与税と相続税の両方がかかる」二重課税を防ぐためのルールです。
海外にある財産(外国所在財産)に対して外国の相続税(遺産税・遺産取得税など)が 課された場合、日本の相続税から差し引ける制度です。 国際的な二重課税を防ぐ目的で設けられています。
控除額は「外国で支払った相続税相当額」が上限で、 日本の相続税額に占める外国財産の割合を超えることはできません。
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