現金・不動産と異なり、株式や投資信託は価格が毎日変動するため、相続税の評価には特別なルールがあります。 「どの時点の価格を使うのか」「どこで確認するのか」を正確に把握しないと、 申告額が変わってしまいます。この記事では有価証券の評価方法を種類別に解説します。
上場株式(東証・名証などに上場している株式)は、次の4つの金額のうち 最も低い金額で評価します。 国税庁の統計によると、2022年に相続税の申告があった被相続人は約15万人で、課税された割合は死亡者全体の約9.6%です。
相続人が有利な方を選べる仕組みになっています。 相続開始日が土日祝日で市場が開いていない場合は、前後最近の終値を使います。
上場株式の評価額 = 上記4つのうち最低値 × 株数
端数・株式分割などは調整が必要な場合があります
同族企業など上場していない会社の株式は、市場価格がないため 国税庁が定める評価方法(財産評価基本通達)に従って評価します。 評価方式は会社規模などによって異なります。
上場している類似業種の株価をもとに、評価対象会社の配当・利益・純資産を比較して算出する方式です。 大会社・中会社に適用されます。
会社の資産から負債を差し引いた純資産額をもとに1株あたりの価額を算出する方式です。 小会社や、資産が多い会社に適用されることがあります。
投資信託の評価方法は、上場型(ETF・REITなど)と非上場型で異なります。
上場株式と同じく、死亡日前後3か月の終値平均のうち最低値で評価します。
相続開始日の翌日以降で最初に計算される基準価額(1口あたり)× 口数で評価します。 さらに、解約時に源泉徴収される所得税に相当する金額を差し引くことができます。
投資信託の評価額 = 基準価額 × 口数 − 源泉徴収相当額
MRFなどの公社債投資信託は別途ルールあり
個人向け国債は額面金額で評価することが基本です。 ただし、経過利息(直前の利払い日から相続開始日までの利息相当額)も評価に加算します。
上場株式に準じて、相続開始日および前後3か月の終値・平均値のうち最低値で評価します。 経過利息も加算します。
有価証券の相続税評価には、証券会社が発行する残高証明書が必要です。 残高証明書には、死亡日時点の保有銘柄・口数・評価額が記載されます。
証券会社によっては発行まで数週間かかる場合があります。 申告期限(死亡から10か月)に余裕をもって手続きを開始してください。
相続税の申告は死亡から10か月以内ですが、評価額は相続開始日(死亡日)時点のものです。 申告時点の株価がどれだけ下落していても、相続税の評価額は変わりません。
たとえば、相続開始日に1株1,000円だった株が申告時点で600円になっていても、 評価額は1,000円ベースで計算されます。 このため、相続税の納税資金が不足するケースもあります。
株価変動による影響の例
| タイミング | 株価(1株) | 1,000株の評価額 |
|---|---|---|
| 相続開始日(死亡日) | 1,000円 | 100万円 |
| 相続税申告時(9か月後) | 600円 | —(参考値) |
| 相続税の計算に使う評価額 | — | 100万円(死亡日ベース) |
相続税の納税が株式の売却益で賄えない場合は、延納制度の活用も検討してください。
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