相続税の申告期限は「死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内」です
基礎知識 2026年5月5日 読了 約8分

相続した株・投資信託・国債の評価方法と相続税の計算方法

現金・不動産と異なり、株式や投資信託は価格が毎日変動するため、相続税の評価には特別なルールがあります。 「どの時点の価格を使うのか」「どこで確認するのか」を正確に把握しないと、 申告額が変わってしまいます。この記事では有価証券の評価方法を種類別に解説します。

1. 上場株式の評価方法(4つの株価の最低値)

上場株式(東証・名証などに上場している株式)は、次の4つの金額のうち 最も低い金額で評価します。 国税庁の統計によると、2022年に相続税の申告があった被相続人は約15万人で、課税された割合は死亡者全体の約9.6%です。

相続人が有利な方を選べる仕組みになっています。 相続開始日が土日祝日で市場が開いていない場合は、前後最近の終値を使います。

上場株式の評価額 = 上記4つのうち最低値 × 株数

端数・株式分割などは調整が必要な場合があります

月別終値平均の確認方法: 日本取引所グループ(JPX)のウェブサイトや各証券会社のサービスで 月別終値平均を確認できます。また残高証明書に記載されている場合もあります。

2. 非上場株式の評価(類似業種比準・純資産価額)

同族企業など上場していない会社の株式は、市場価格がないため 国税庁が定める評価方法(財産評価基本通達)に従って評価します。 評価方式は会社規模などによって異なります。

類似業種比準方式

上場している類似業種の株価をもとに、評価対象会社の配当・利益・純資産を比較して算出する方式です。 大会社・中会社に適用されます。

純資産価額方式

会社の資産から負債を差し引いた純資産額をもとに1株あたりの価額を算出する方式です。 小会社や、資産が多い会社に適用されることがあります。

非上場株式の評価は複雑: 非上場株式の評価は計算が複雑で、税理士でも専門的な知識が必要な分野です。 相続財産に非上場株式が含まれる場合は、必ず相続税専門の税理士に相談することをお勧めします。

3. 投資信託の評価(基準価額×口数)

投資信託の評価方法は、上場型(ETF・REITなど)と非上場型で異なります。

上場投資信託(ETF・REIT)

上場株式と同じく、死亡日前後3か月の終値平均のうち最低値で評価します。

非上場の公募投資信託

相続開始日の翌日以降で最初に計算される基準価額(1口あたり)× 口数で評価します。 さらに、解約時に源泉徴収される所得税に相当する金額を差し引くことができます。

投資信託の評価額 = 基準価額 × 口数 − 源泉徴収相当額

MRFなどの公社債投資信託は別途ルールあり

4. 国債・社債の評価方法

個人向け国債・利付国債

個人向け国債は額面金額で評価することが基本です。 ただし、経過利息(直前の利払い日から相続開始日までの利息相当額)も評価に加算します。

上場している社債・転換社債

上場株式に準じて、相続開始日および前後3か月の終値・平均値のうち最低値で評価します。 経過利息も加算します。

外貨建て有価証券: 外国の株式・債券は外貨建ての評価額を相続開始日の対顧客直物電信買相場(TTB)で 円換算して評価します。

5. 証券会社の残高証明書の取得方法

有価証券の相続税評価には、証券会社が発行する残高証明書が必要です。 残高証明書には、死亡日時点の保有銘柄・口数・評価額が記載されます。

取得手順

  1. 証券会社の相続手続き窓口に「相続発生」を連絡する
  2. 死亡診断書・戸籍謄本などを提出して本人確認
  3. 残高証明書の発行を依頼する(死亡日付での発行が必要)

証券会社によっては発行まで数週間かかる場合があります。 申告期限(死亡から10か月)に余裕をもって手続きを開始してください。

ネット証券の注意点: ネット証券(SBI証券・楽天証券など)の場合、相続手続きは郵送のみ対応が基本です。 書類の往復に時間がかかるため早めの対応が必要です。

6. 評価時点の重要性と株価変動リスク

相続税の申告は死亡から10か月以内ですが、評価額は相続開始日(死亡日)時点のものです。 申告時点の株価がどれだけ下落していても、相続税の評価額は変わりません。

たとえば、相続開始日に1株1,000円だった株が申告時点で600円になっていても、 評価額は1,000円ベースで計算されます。 このため、相続税の納税資金が不足するケースもあります。

株価変動による影響の例

タイミング株価(1株)1,000株の評価額
相続開始日(死亡日)1,000円100万円
相続税申告時(9か月後)600円—(参考値)
相続税の計算に使う評価額100万円(死亡日ベース)

相続税の納税が株式の売却益で賄えない場合は、延納制度の活用も検討してください。

参考・出典

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