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手続き 2026年5月5日 読了 約7分

配偶者居住権とは?2020年改正民法で新設された権利の仕組みと活用法

2020年4月に施行された改正民法で「配偶者居住権」が新設されました。 これにより、亡くなった配偶者の自宅を相続人全員で共有せずに、 配偶者が終身にわたって住み続けながら、所有権は子に渡すという形が可能になりました。 この記事では、配偶者居住権の仕組み・設定方法・税務上の扱いを解説します。

1. 配偶者居住権の概要

配偶者居住権とは、被相続人(亡くなった方)の配偶者が、 相続開始時に被相続人が所有していた建物に、終身または一定期間にわたって 無償で居住できる権利です。 国税庁の統計によると、2022年に相続税の申告があった被相続人は約15万人で、課税された割合は死亡者全体の約9.6%です。

この権利により、自宅の所有権を子が取得しつつも、配偶者は引き続き自宅に住み続けることができます。 配偶者は「居住権」という財産的価値のある権利を相続財産として取得し、 子は「負担付きの所有権」(居住権という負担がある)を取得します。

ポイント:配偶者居住権を活用することで、配偶者は自宅に住み続けながら、 老後の生活資金として預貯金などの金融資産も相続しやすくなります。 改正前は「自宅を取得すると他の財産が取れない」という問題がありました。

2. 新設された理由(2020年民法改正)

改正前の相続では、配偶者が自宅の所有権を取得すると、その評価額が相続分の大部分を占め、 生活に必要な預貯金など他の財産をほとんど取得できないケースがありました。

例えば遺産が自宅4,000万円と預貯金2,000万円(合計6,000万円)の場合、 配偶者の法定相続分は1/2(3,000万円)ですが、自宅を取得すると預貯金はほとんど取れません。 住む場所は確保できても日々の生活費に困る問題が生じていました。

配偶者居住権を使えば、自宅を「居住権(例:2,000万円)」と「負担付き所有権(例:2,000万円)」に分割できるため、 配偶者は居住権2,000万円+預貯金1,000万円を取得し、子は負担付き所有権2,000万円を取得するという バランスのよい分割が可能になります。

3. 通常の所有権との違い

所有権と配偶者居住権の比較

項目所有権配偶者居住権
売却可能不可(居住権のみの売却は不可)
賃貸(第三者に貸す)可能所有者の同意があれば可能
期間永続終身または遺産分割で定めた期間
登記所有権登記配偶者居住権の登記が必要
相続・贈与可能不可(一身専属の権利)

配偶者居住権は配偶者本人だけが持てる権利で、子や他の人に相続・贈与することはできません。 配偶者が亡くなると自動的に消滅し、所有者である子が完全な所有権を取得します。

4. 設定方法(遺言または遺産分割協議)

配偶者居住権を設定するためには、次のいずれかが必要です。

設定後は、配偶者居住権の登記を行うことが必要です(登記しなければ第三者に対抗できません)。 登記費用は別途発生します。

所有者との関係:配偶者居住権が設定された後、所有者(子など)が建物を第三者に売却したとしても、 登記されていれば配偶者は居住を続けることができます。 ただし登記がなければ新たな所有者に対抗できないため、登記は必須です。

5. 相続税の評価方法

配偶者居住権が設定された場合、建物と土地の評価額は「配偶者居住権等の価額」と 「居住建物等の所有権の価額」に分けて評価します。

配偶者居住権の評価は、配偶者の平均余命・居住権の存続期間・法定利率を用いた 複利現価の計算式で算出されます。計算が複雑であるため、 実際には税理士に依頼するのが一般的です。

節税効果の可能性:配偶者が相続する「居住権」の評価額を配偶者控除の範囲内に収めながら、 配偶者が一定の金融資産も取得できるよう設計できる場合、相続税の最適化につながることがあります。

6. 活用が有効なケース

7. デメリットと注意点

配偶者居住権は万能ではない:すべてのケースで有利なわけではありません。 配偶者の健康状態・今後の生活設計・二次相続までの期間・家族関係などを総合的に考慮して判断する必要があります。 導入を検討する際は、相続専門の税理士・司法書士への相談を推奨します。

参考・出典

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